9口目「伝説と呼ばれる料理」
2人の若き料理人。
己の信念を貫く。
司会「さあ!新進気鋭の若き料理人が相見える!これに勝てばついに、街の長に料理を振る舞える…つまりこの街の英雄となります!」
2人の視線がぶつかる。
互いの信念を貫くために…
店主「行くぞ…!鉄火…!」
鉄火「お前には絶対に負けない!」
司会「ディッシュバトル!レディーゴー!」
…数時間前
鉄火とマスターの試合の後…
他の料理人の試合が行われている。
店主「他の選手も腕利きばかりだなぁ。」
店主は様々な料理や技術に圧倒されていた。
その時…
鉄火「お前がさっきのハンバーグ屋か…」
冷たい目をした男、鉄火だった…
店主「君は村崎鉄火…。」
鉄火「なぜお前が…お前だけがハンバーグを知っている。」
店主「僕もちょうど聞きたかったんだ。なぜ君が寿司の存在を知っているのか。」
鉄火「仕方ない…俺はこの街から遙か遠い国から来た。その国の名前はシャリィ王国。」
店主「シャリィ王国…」
鉄火「そこでは寿司が郷土料理だった…」
店主「そうだったのか…」
…
なら同じ世界から来たって訳では無いのか…
鉄火「俺は自分の国の為にディッシュタウンに来た。優勝してこの街の長に会うために。」
店主「長に会ってどうするの?」
鉄火「それはお前には関係ない…!俺はただ…優勝するだけだ!」
…鉄火は形相を変え、まるで復讐するかのような表情だった。
鉄火「すまない取り乱した。そういえば何故お前がハンバーグを知っている?」
店主「ここだけの話なんだけど気がついたらこの世界にいたんだ。前までは全然違う世界にいたっていうか…こんな文化や雰囲気、ディッシュバトルなんて聞いたことも無かったよ。」
鉄火「そうか…。」
店主「前にいた世界でハンバーグ店を出していたんだ。」
鉄火「ハンバーグの店だと…!?」
…彼は目を見開き、動揺した。
店主「え?僕そんな変なこと言った?」
鉄火「ハンバーグなんて…俺の国のはるか昔歴史…文献に乗っている伝説と呼ばれる料理だ…!」
店主「そ、そんな歴史だなんて…!ディッシュタウンのみんなはその歴史を知らないの…?」
鉄火「観客の反応を見る限り…多分この街で知っている人はいなさそうだった…やはり長に聞くしかないのだろう…。」
店主「なるほど。なら尚更負けられない…!僕の世界とハンバーグの謎を知るために…。」
アナウンス「間もなく試合が始まります…。」
店主「あ、もうすぐ出番だ。次の相手は…。」
掲示板には2人の名が…
鉄火「戦う時が来たのか…。」
店主「お互いのためにも負けられないね。」
店主がステージに歩き出したその時…
「ゴトン。」
リゴラから託されたハンバーグ石が落ちた。
店主「あ、しまった。割れてないかな…。」
それを見た鉄火は目の色を変えた。
鉄火「お前それどこで手に入れた!!」
店主「え!いやこれは…!」
鉄火「お前もヤツらの手先だったのか!」
店主「これはある人から渡されたもので…!」
鉄火「そうか…!お前も石を狙う奴らと同じだというのか…!」
店主「おい!何を言ってるんだ!」
アナウンス「両者ステージに上がってください。」
鉄火「いいだろう…俺の…俺たちの国の仇を討ってやる…!」
店主「ちょっと待てって!俺は君の国のことなんて何も知らない…!」
鉄火は聞く耳を持たずただ復讐のことしか頭に無かった…
店主「でも…こんな所で負けたら…俺の世界も、リゴラさん達から受け継いだことも何も分からない…」
司会「さあ!新進気鋭の若き料理人が相見える!これに勝てばついに、街の長に料理を振る舞える…つまりこの街の英雄となります!」
店主「行くぞ…!鉄火…!」
鉄火「お前には絶対に負けない!」
司会「ディッシュバトル!レディーゴー!」
続く
激突する…