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腰抜けパラディンの不殺無双


「貴様はクビだ。フィル・ウォレス」


 そう告げられても、聖騎士フィル・ウォレスはへらりと笑っただけだった。怒りの色も失望の表情も浮かべない。

 ここは皇都。この国に二つある首都の一つ。フィルはその皇都の治安を守る「皇都監察隊」の隊員だった。


 反聖王府勢力が革命を狙い、治安が急速に悪化した皇都。その皇都において、皇都監察隊は最強の名をほしいままにし、反政府の浪士たちを捕らえ、殺して回っていた。


 ところが、つい半年前に副隊長に任命されたばかりなのに、フィルはもうクビだという。

 隊長のレオンは渋い顔をしている。この監察隊の構成員はすべて聖騎士(パラディン)、この国の事実上の支配者である聖王に代々使える家系だ。そのなかでもレオンは名門聖騎士の当主だった。


 彼は二十代後半なので、フィルと年齢はほぼ同じだ。ただし、レオンは長男で、フィルは三男坊だが。

 レオンが黒髪黒目で精悍な見た目なのに対し、フィルは金髪碧眼で長身の優男。レオンは真面目、フィルはいい加減な性格をしている。

 

 見た目も性格も正反対だ。


 そのレオンがフィルに解雇を通告した。

 フィルは肩をすくめる。


「皇都守護の宮宰閣下から、僕は直接隊員に任命されてますよ」


「その宮宰閣下も了承済みだ」


「すると、クビの理由はあるんでしょうね? 隊長さん」


「それはおまえが一番よくわかっているだろう?」


「わからないから聞いているんです」


「だとしたらおまえは腰抜けなだけじゃなくて、間抜けでもある。いいか、おまえは我々の敵と戦わない。憎むべき浪士たちと遭遇しても一切斬らないではないか。これは任務放棄だ!」


「人を殺すなんて怖いじゃないですか」


 その言葉にレオンは唖然とした様子だった。しばらくして、レオンは首を横にふる。


「我々は監察隊だぞ。人を殺すのも必要なら当然やらないといけない。だから、貴様は『腰抜け聖騎士(パラディン)』と呼ばれるんだ」


「ですが、このやり方で大きな問題も起きていない」


 へらへらと笑いながら、フィルは言う。実際、フィルの担当領域はそれで治安は維持できていた。

 聖王府に楯突く浪士たちを奇襲し、ほぼ無抵抗で捕縛する。こちらが襲われたときは無理をせず撤退、といえば聞こえがいいが逃げてしまい、あとは数を頼りに降伏させる。

 そして、日頃から酒場や宿屋にいる平民に情報網をめぐらせ、なるべく先手を打つ。


 これがフィルのやり方だった。だが、それは誇りを重視する聖騎士レオンには受け入れられなかったらしい。


「敵を前にして背を向けるとは言語道断。このようなやり方では皇都監察隊の威厳も損なわれる。それにそのおまえのへらへらした態度も舐められる原因だ」


「要するに隊長は僕のことが気に食わないわけだ。ええ、実際、僕は腰抜けです。人を殺すなんてまっぴらごめんだ。自分が死ぬ危険を犯すなんて、もっと嫌です。隊長は違うようですが」


「そうしなければ貫けない正義もある」


 レオンの言葉に、フィルはうなずいた。もっともな考え方だ。フィルも昔はそう思っていた。

 だが、今は違う。


 それよりもっと大事なことがある。たとえば……。


「ところで、退職金は出ますかね?」


 フィルの気の抜けた問いに、レオンは呆れたように「用意してやる」と応えた。





 それから一週間後。

 フィル・ウォレスは、皇都の下宿で昼間から寝そべっていた。

 目下、職を失って浪人中。監察隊の退職金はすべて賭博で泡となって消えた。


「金がない。腹が減った」


 フィルのつぶやきが、狭い部屋に虚しく響く。一応フィルも鍛えた聖騎士である。体格も良いから少し食ってもすぐに腹が減るが、食料を得る金がない。

 このアルバ皇国の君主は建国以来「皇主」だが、この二百年にわたり「聖王」が武力で国を支配している。


 その聖王家に直属する聖騎士3,000家のなかでも名門なのがウォレス家だ。だが、フィルはその庶子にすぎず、実家とは疎遠だ。

 一度は地方貴族の重臣の家に養子に出たものの――。


「臆病すぎてクビになったわけだ。さすが『腰抜けフィル』」


 おかしそうに言うのは、部屋に上がり込んだ友人のロバートだった。彼は聖堂学問所という学校の同級生だった。


 会うのは久々だ。

 騎士身分のフィルに対し、ロバートは平民だった。だが、ロバートは豪商の跡継ぎだから、彼の方がはるかに羽振りが良い。


 フィルは起き上がると、ロバートを眺めた。


「酒と飯をおごってくれるというなら大歓迎だけどね、ロバート」


 豪商だが、ロバートはケチで有名だった。奢ってくれたことなど一度もないし、わかっていてフィルは言ってみた。


 だが、ロバートは上機嫌そうにうなずく。


「おまえの仕事の成り行き次第では、酒ぐらいおごってやるさ」


「仕事? 僕に?」


「金に困っているんだろ? あまり向いてそうだとは思えないが、払いは良いぞ」


 ロバートからフィルはひったくるように案内の紙を奪った。

 皇姫殿下の護衛。そのように依頼は書かれていた。

 しかも、皇姫は暗殺者に狙われているという。


 フィルは青ざめて、ロバートを見上げる。


「なぜ私に頼む? 自慢じゃないが、僕は『腰抜けフィル』だぞ」


「本当に自慢じゃないな。おまえの姉弟子の推薦だ。あの人はなぜかおまえを買っているからな」


 姉弟子というのは、シャロン・パーシー。フィルの剣の師匠であるウィリアム・パーシーの娘であり、ともにウィリアムから剣を学んだ仲だ。


 彼女はフィルを高く評価している。同時に、フィルのことをとても心配している。姉弟子とはいってもシャロンの方が年下なのだが、顔を合わせれば「いつまでもダラダラしてちゃダメでしょ!」と説教をされる。


 そのシャロンのお節介なのだろう。フィルは首を横に振った。


「あいにくだが、お断りだ。人死にが出るようなのは柄じゃない。本当に嫌だ」


 フィルは淡々と言う。血を見るのは嫌だ、と繰り返し言うと、ロバートは呆れたような顔をする。


「おまえは本当に臆病だな。剣の腕はそれなりなんだろ?」


「僕は『腰抜けフィル』だ。実戦では何の役にも立たないよ」


 ロバートは肩をすくめ、部屋を見回して、それからにやりと笑った。


「おまえ、シャロンさんにかなりの借金があるだろ? あれ、全部、俺の方で返済しておいた」


「は?」


「つまり、今の債権者は俺ってことだ。引き受けてくれたら、借金を棒引きにしてもいい」


「だが……」


「ついでに――」


 ロバートが提示したのは桁違いの報酬だった。仕事が終わっても、この日当なら余裕で1年は遊んで暮らせるだろう。


 だが、逆に言えば、それだけの危険がある仕事、ということだ。

 ロバートはそこで表情を緩め、優しげな笑みを浮かべる。


「暗殺者からちゃんとお姫様を守れば、誰も死にはしない。シャロンさんもおまえにならできるって言っていたぞ」


 フィルはそれでも断ろうと思ったが、依頼内容のある文言を見て、気が変わった。


 結局、フィルは首を縦に振った。

 それは報酬よりも詳細な依頼内容が理由だった。





 フィルが皇都のとある屋敷に赴くと、すぐに護衛対象と引き合わされた。


「あなたがフィル・ウォレスさん?」


 歌うようなきれいな声で名前を呼んだのは、皇姫マリアだった。


 14歳だという彼女は、「天使のように美しい」という表現がぴったりくる。銀色の髪は完璧な白金のようで、青い瞳はサファイアのように輝いている。

 小柄で幼いが、誰が見ても可憐だ。あと五年経てば、絶世の美女となっているだろう。


 フィルは彼女の前に跪く。


「フィル・ウォレスは僕の名前ですが、皆は僕のことをこう呼びます。『腰抜けパラディン』と」


 マリアは困惑するかとフィルは想像したが、マリアはくすりと笑うと「面白いあだ名ですね」と言った。

 冗談の通じる性格なのかもしれない。


 そうだとすれば、フィルはマリアに内心で同情する。彼女は政治のため、尊い犠牲になることが運命づけられている。

 皇姫マリアは次期聖王ジェラルド・ブルースの許嫁だった。


 アルバ皇国には300家ほどの地方貴族が存在し、「領邦」、俗に言う「藩」を統治している。その頂点にはブルース聖王家が君臨する。が、聖王は皇主によって任命される職であり、皇主こそが建国以来2,500年にわたる皇国の君主であった。


 もっとも皇主は君臨すれども統治せず。ブルース聖王家が武力で支配を確立して以来、皇主はただのお飾りである。

 権威を皇主が、権力を聖王が掌握する。ところが、この体制もここ数年、綻びが生じている。


 魔法を用いる東方の列強国が、皇国に圧力をかけてきた。開国と交易の要求だ。

 皇国は二百年以上、他国との交流を絶ってきた。その対応をめぐり、聖王家は揺れている。列強国の要求は不当に皇国に不利であり、民衆の反発も強い。

 鎖国方針は初代聖王の遺訓でもある。しかし、列強国は武力行使をちらつかせ、聖王家に迫った。

 

 結局、開国派の聖王家大宮宰(筆頭重臣)ヴァレンタインは排外派を弾圧し、開国を断行した。


 だが、彼は独裁政権を築いたものの、排外派の刺客によって暗殺された。その後、中間派が政権を握ったが、排外派は皇主を担ぎ出し、聖王家を打倒しようと陰謀をめぐらせている。聖王家の権威は失墜しているし、飢饉と物価高による民衆の暴動はひっきりなしに起きている。


 そこで中間派の宮宰キャンベルは考えた。


 皇主の娘を聖王家に嫁がせれば良い。皇聖合体。これしか事態を打開する手はない。

 美少女の誉れ高い皇姫マリア殿下に白羽の矢が立った。彼女には幼い頃からの許嫁がいたにも関わらず、婚約は破棄された。


 そして、聖王家に人質も同然に差し出されるわけだ。

 皇主のいる皇都から、聖王のいる王都へ。そのあいだの護衛をフィルは務めることになっている。


 無論、護衛は一人ではない。

 皇姫殿下の護衛ともなれば、二十人はいる。フィルはその一人にすぎない。

 排外派、今では聖王家を打倒する意味を込めて「倒聖派」とも呼ばれる一派は、この結婚に強く反対している。排外倒聖派の刺客が必ず送り込まれてくるだろう。


 マリアとフィルを面会させたのは、護衛隊長のアン・スコットだった。女性の彼女は地方貴族の三女であり、まだ19歳の若者だった。

 凛とした雰囲気の黒髪黒目の美人だ。女性としては背が高い。だが、いささか実戦経験が不足しているようにも思える。


 彼女は剣術では実力者らしいが、隊長に任命されたのは有力貴族の娘だからだろう。

 そのアンは渋い表情でフィルを睨んだ。

 

「貴様が腰抜けだと呼ばれていることは知っている。だが、それを臆面もなく口にするのか」


「事実ですからね」


「私たちは命をかけて殿下を守ると誓っている。貴様は?」


「命をかけることはできません。だが、僕は報酬分のお仕事はいたします」

 

 フィルは飄々と答えたが、当然、アンを激怒させた。アンがつかみかかろうとするが、それを止めたのはマリアだった。

 マリアは何が面白いのか、にこにことしている。


「いいではありませんか。一人ぐらいこういう方がいても。それに、このフィルさんは、あの天下最強の名が高いパーシー道場四天王なのでしょう?」


 アンは苦々しい表情でうなずいた。いかにもフィルはアストラル剣術神明無心流の名門道場で四天王と呼ばれていた。

 剣聖アレン・パーシーを開祖とし、新興道場とはいえ、その実力は皇国でも五本の指に入る。


 その四天王は天下にとどろく剣の達人。アレンの娘にして現在の道場主シャロン・パーシー、クイーンズベリー公爵世子アーチボルト、そして聖王家分家の光橋家当主ジョン・ブルース、そしてフィル・ウォレス。


 しかしーー。


「その三人と僕の名前が並んでいるのがおかしいですね」


 けらけらとフィルは笑った。アンが奇妙なものを見るようにフィルを眺める。


「まあ、たしかに貴様と令名高い他の三人では格が違うだろうな。身分も実力も彼らのほうが上だろう」


「身分はともかく実力は僕の方が上ですよ。シャロンはともかく、他の二人は残念ながら僕より実力は遥かに劣ります」


「貴様、畏れ多くも聖王のお身内と、公爵世子をそのように……」


「二人も認めていることですよ」


 フィルは淡々という。道場時代に決して仲の良かった二人ではないが、彼らもフィルに実力が及ばないことを認めていた。

 マリアはフィルとアンを見比べ、くすりと笑う。


「ともかく、この方も護衛に加えましょう。きっと役に立ってくださるような気がします」


 フィルは心の中でマリアのことを「人を見る目がある」と高く評価することにした。

 そして、幸か不幸かこの評価は当たっていた。




「ほぼ全員逃げ出したってわけか」


 雨が降りしきる泥道で、フィルは舌打ちをした。予想通り、倒聖派の刺客による襲撃があった。

 皇都と聖都のちょうど中間。クイーンズベリー公爵領手前の宿場町からかなり離れた地点だ。


 街道とはいえ、人通りは少ない。土砂降りの雨の中、襲撃に及んだわけだ。


 ただし、敵の実力は予想を遥かに上回っていた。どこかの地方貴族の家臣だろう。腕利きの剣士十人ほどが馬車を包囲した。


 斬り合いになり、初めは良かった。人数では二十人近いこちらに数の利はある。だが、刺客側は決死の覚悟で来ている。寄せ集めの護衛とは違う。


 隊長のアン・スコットはよく粘ったものの、副隊長が怖気づいたのか逃亡を図り、そこから一気に護衛の剣士たちは敗走した。


 残ったアンも捕らえられ、すでに気力を失っている。フィルは馬車の近くでの護衛を命じられていたため、戦いには参加していなかった。本来、予備戦力の護衛が他にもいたのだが彼らはすでに逃亡済み。

 御者も逃げたから、どのみちすでに馬車は使えない。


 フィルは馬車の中に入る。豪勢な馬車の中で、マリアが震えていた。


「ふぃ、フィルさん……」


「殿下。ここから逃げますよ」


「む、無理です。フィルさんだけでもお逃げになった方が……」


「報酬分の仕事はすると言ったでしょう?」


「え?」


 フィルはマリアの華奢な身体を抱き上げる。きゃっ、とマリアが悲鳴を上げて、顔を赤くする。

 本来なら、ただのパラディンにすぎないフィルが、皇姫の身体に触れるなどあってはならないことだろう。だが、そうも言っていられない。


「しばらく我慢してくださいよ。身分の低いパラディンですみませんが」


「……身分なんて気にしません!」


 マリアは気丈に言い、フィルはにやりと笑う。


「それは大変助かりますね」


 フィルはマリアを馬車から連れ出す。すでに馬車の降り口にも、刺客が集まっていた。

 彼らのリーダーらしき男がアンの首筋に剣を当てている。フィルと同じぐらいの年齢だろう。長身で髭面の男だ。


 彼はフィルを見ると、驚いたように眉を上げ、「なぜ貴様がここに……」と口走り、だが続きは言わなかった。

 代わりに彼はフィルを睨む。


「私は倒聖派組織・立志社の幹部トマス・ノックスだ。名乗らなくても貴様は知っているだろうが」


 腕の中のマリアが驚いたようにフィルを見上げる。その表情は恐怖に凍りついていた。

 パラディンのフィルと倒聖派のトマスが知り合いだということは、マリアからしてみれば理解できないだろう。フィルが裏切り者だと思われてもおかしくない。

 フィルはマリアを地面に下ろすと、ぽんと肩を叩いた。そして、微笑みかける。


「ご安心ください。僕は殿下の味方ですよ。それ以上に、僕はあいつらの敵なんです」


 フィルは剣を腰から抜き放った。その刀身は青色に輝いている。

 皇国で使われる剣は、アストラル刀と呼ばれる片刃刀だ。アストラル鉱石という特殊な鉱石を用いており、決して刃こぼれしない。


 魔法の使用を禁じた皇国で、唯一、超常の力を示す存在でもある。このアストラル刀は、騎士以上の身分であればすべての人間が身につけている。

 フィルも例外ではない。

 

 フィルは愛用の宝刀テトラコルドをまっすぐに構えた。


「久しぶりだね、トマス。相変わらず、正義の志士気取りかな」


「黙れ。この裏切り者のクズが。腰抜けパラディンめ。かつて我々と理想を同じくしながら、聖王家に寝返った臆病者に用はない」


 トマスの言うことは事実だった。フィルはかつて立志社の幹部だった。

 だが、今は違う。


「久闊を叙す時間もないのかな。倒聖派の志士も楽じゃないね」


「私に皇姫殿下を渡していただこうか。我々は聖王家を倒し、皇主陛下を守り立てる者。殿下に危害は加えない」


「どうだか。信用できないね。倒聖派のやり口はきれいなものじゃない。おかげさまでよく知っているけれど。マリア殿下を倒聖派のアジトに拉致して傀儡にする。あるいは、この場で殺害すれば口封じにもなる。そのぐらいのことはするだろう?」


 トマスは黙っていた。それは肯定の意味だろう。彼らがマリアを無事に返す理由はない。マリアは自らの意思ではないとはいえ、形式上は聖王家に嫁ぐことを了承した。

 忌まわしい聖王家への協力者だ。


 トマスは剣の位置をずらす。そして、震えるアンの右手の小指を剣先で切った。


「きゃあああああっ」

 

 アンの甲高い悲鳴とともに、小指から大量の血が流れる。真っ青な表情のアンが目から涙を流す。

 トマスは冷たい表情をした。


「次は首をはねる。お仲間を死なせたくなければ、殿下を渡せ!」


「渡したところで殺すくせに」


「正義のためには非情にならなければならないこともある。人を殺さなければならないこともある。これは世界の真理だ。おまえが一番よく知っているはずだ」


「あいにく宗旨替えしたものでね。人を殺す正義なんてないさ」


 そして、フィルは小声で、マリアの耳元でささやく。


「じっとしていてくださいね。それと僕がいいと言うまで、絶対に目をつぶっていてください」


「……殺し合いになるのですか?」


 フィルはにやりと笑う。


「残念ながら、殺し合いにはなりませんよ。それは僕の好みではないですし、決してできない(・・・・・・・)ことなのだから」


 そして、フィルは今度はトマスの方へとにやりと笑いかける。


「実力で君が僕に敵うとでも?」


 フィルの言葉に、トマスが緊張した面持ちで一歩後ずさった。

 

「こちらには人質がいるんだぞ!? わかっているのか?」


 ほぼ同時にアンが叫ぶ。


「私の命などいい! 殿下をお助けして、この場から逃げろ!」


 フィルは「命を懸ける、というのも嘘じゃなかったわけか」とつぶやいた。

 

「魅力的な提案ですがね、スコット隊長。諦めるのが少し早いですよ」


 フィルは左手で懐から火薬を詰めた筒を取り出す。それを眼の前へと放り投げた。

 トマスがバカにしたように、フィルを笑う。


「雨の中で煙幕か? そんなものが効くはず……な、なんだこれは!?」


 雨の中にも関わらず、フィルの投げた火薬筒は激しく発火し、まばゆいほどの光が周りを包む。

 途端にその場の全員の視界が閉ざされる。強すぎる光を浴びたから、少しの間は行動不能だろう。


 直前に目をつぶっていたフィルとマリアを除いて。

 フィルはトマスにさっと近づくと蹴り飛ばす。そのままアンを抱き寄せた。


 アンのすらりとした柔らかい身体がレオンの腕の中に収まる。


「ふぃ、フィル・ウォレス!?」


「さあ逃げますよ、スコット隊長!」


 光で視界を奪っても、所詮、時間稼ぎにすぎない。人数差を考えると、ここで全員を倒して行くのは難しい。


 敵の中の馬を強奪すると、フィルはまずマリアを次にアンを載せ、自分も飛び乗った。


「お二人とも、しっかりと僕の腰に捕まっててくださいよ」


 フィルは馬を走らせ、トマスの「卑怯者!」と喚く声を背後にその場から逃げた。




 

 フィルはアンとマリアを連れて、なんとか近場の宿までたどり着くことができた。

 もっとも、そのままの格好では姫と護衛というのが露骨にわかるので、フィルが用意した服に二人には着替えてもらった。


 で、宿にはアンをフィルの妻、マリアを娘ということにして同じ部屋を取ったわけだ。怪しまれないための措置だし、路銀も限られているし、二人には我慢してほしいところなのですが、アンはなぜか顔を赤くして「私がこいつの妻!?」と不満そうにし、一方のマリアは「フィルさんの娘というのも悪くないですね」となぜかちょっと嬉しそうだった。


 ともかく、追っ手はいったんは振り払えている。あとはどうやって聖都まで向かうか、が問題だ。

 アンは負傷しているし、手当はできたとはいえ戦力にならない。もちろん、マリアは護衛対象であり、皇姫殿下に戦う力を期待するのはお門違いだ。


 すると、フィルが二人を守りながら聖都まで行かないといかないが、距離はニ週間。そのあいだに倒聖派の襲撃は必ずあるだろう。

 せめてクイーンズベリー公爵領に入れば、あそこは聖王府を支持する勢力なので、かなり話が違ってくるのだが。そこにたどり着くのも現状では厳しそうだ。


 そうであれば、発想を変える必要がある。倒聖派のテロリスト、トマス・ノックスたちを待ち構え、返り討ちにするのだ。

 マリアやアンをかばいながらでなければ、フィルはフリーハンドでその実力を発揮できる。


 勝算はある。たった一つ、問題があるが。

 ということで、数日にわたり、フィルたちは宿に滞在していた。二階の部屋は簡易な敷居で、女性陣の場所をわけてある。

 手前側がフィルの寝場所だ。


 ある日の夜。

 夜更けに部屋の窓から月明かりを眺め、フィルは作戦を考えていた。


「月が綺麗ですね」


 美しく澄んだ声がする。

 声をかけられても、フィルは驚かなかった。


 さっきから気配は感じとっていたからだ。皇姫マリアが自分を見つめていることを。


 フィルは後ろを振り向く。マリアはふわりと微笑んだ。銀色の髪が月明かりに照らされて輝く。

 庶民的な寝間着を着ていても、その立ち居振る舞いは楚々としていた。


「綺麗な月だけを眺めて生きていられれば、それが一番良いのですが」


 フィルのつぶやきにマリアはおかしそうに笑った。


「わたしもフィルさんと同じです。あらゆるしがらみを忘れて、ただ、一人の人間として月を愛でることができれば、どれほど良いか」


「殿下の背負うものと比べれば、僕のような根無し草は気楽なものです」


 政治の犠牲となり、婚約者と別れさせられ、聖王府に差し出される悲劇の姫。それが彼女だ。

 彼女のしがらみは、この国そのものだ。フィルとは重みが違う。


 だが、マリアは首を横に振った。


「そうでしょうか。所詮、わたしはただの小娘です。でも、フィルさんには過去があります」


 過去。そう。問題は過去なのだ。

 忌むべき過去。恥ずべき過去。それがフィルを縛っている。


「殿下は僕の過去が気になりますか? 立志社……今の僕らの敵。かつて僕はその一員でした」


「気にならないといえば嘘になります。でも、それはそれほど大事なことではないと思っています」


 フィルはちょっと驚いてマリアを見つめた。マリアは恥ずかしそうに目を伏せる。


「フィルさんが今、わたしを守ってくださる。それがわかっていれば、それで十分ではありませんか」


「殿下は聡明な方ですね」


「わたしはただの臆病な子供ですよ」


「差し出がましいようですが、臆病であることは上に立つ者の大事な素質です。誰もが殿下のようであれば、僕らはきっと苦労しないでしょう」


「この争いはいつまで続くのでしょうか」


 聖王府と倒聖派。社会不安を背景に、二つの勢力の対立は激化している。

 この争いが収まらないかぎり、フィルも、そしてマリアにも平和な生活は訪れないだろう。


 マリアはためらった様子で、フィルの横に腰掛ける。

 そして、上目遣いにフィルを見た。


「フィルさんなら、この争いを終わりにできますか?」


「そんな大それたことはできません。僕にできるのは、せいぜいこの瞬間、殿下をお守りすることだけです」


「それは大事なことですね」


 おどけたようにマリアは言い、くすくすと笑う。フィルはこの可憐な少女を害そうとする倒聖派に、改めて憤りを感じた。

 そして、それは過去の自分を裁くことにもつながるのだ。


「わたしは倒聖派に悪い感情は持っていなかったんです。これでもわたしは皇姫ですし、皇宮は反聖王府の考えを持つ貴族が多いですから」


「まあ世間では英雄視する声も多いですからね」


 聖王府への反感は民衆のあいだで強まっている。人々の暮らしは楽にならず、外国には圧迫され。

 この国を支配する勢力は聖王府だから、反感を買うのは当然だ。


 だが、だからといって、フィルは倒聖派のやり口には賛同できなかった。

 マリアは自嘲するように言う。


「独裁者だった大宮宰ヴァレンシュタイン。わたしの母方の親族も彼に殺されたんです。あのヴァレンシュタインを、一人の勇敢な志士が倒したと聞いた時は、わたしも心のなかで拍手喝采したんですよ? 英雄がこの国を救ってくれるんだって。でも、今度はわたしが志士たちに殺される番ということですね」


 大宮宰ヴァレンシュタイン。聖王府の筆頭家臣であり、皇国をすべて支配する勢いだった彼は、ある日突然死んだ。たった一人の志士の手で。

 大勢の護衛は志士に瞬殺された。そしてアストラル剣術の達人だったヴァレンシュタインも、一刀のもとに斬り伏せられた。


 聖王府はその志士の凶行に恐怖し、そして、多くの民衆は彼に熱狂した。だが、この事件を最後にその志士は姿を現していない。

 フィルは首を横に振る。


「気にすることはありませんよ。ヴァレンシュタインはたしかに強引な手法で多くの人間を弾圧し、無実の賢者を粛清した。だが、彼を殺した人間は英雄なんかじゃない。ただの殺人者です」


 フィルは、決してヴァレンシュタイン殺害の犯人を許すつもりはなかった。いや、フィルがこの世で最も許せない人間こそ、その暗殺者なのだ。

 人を殺す正義などない。そんな正義のまがい物に酔いしれるぐらいなら、フィルは「腰抜けパラディン」と呼ばれることを甘んじて受け入れるだろう。


 フィルの語気の強さに、マリアがびくっと震える。


「たとえどんな暗殺者が現れても、僕が殿下をお守りします」


「その言葉……信じます。フィルさんだから、信じるんです」


「ありがとうございます、報酬分の仕事は果たすのが、僕の信義です」


 フィルは立ち上がった。

 正義なんてものは信じない。だが、人と人のあいだの「信義」。それがフィルを支えている。


 マリアはなにかに怯えたように小声でささやく。


「わたし、フィルさんに隠し事をしています」


 彼女のいう隠し事、とは何のか、フィルは少し気になった。フィルにも多少の予想はあるが。

 だが、隠し事はお互い様だ。フィルも大事なことを話していない。


「殿下が誰であれ、僕が守るべき人間です。今はそれで十分でしょう?」


 マリアはこくりと小さくうなずいた。

 そろそろ時間だ。


「殿下。スコット隊長とともに奥に隠れていてください」


「え?」


「腰抜け野郎の仕事の時間なんです」


 フィルはマリアを奥の部屋に隠すと、その刻を待った。

 はたして、トマス・ノックスとその配下の志士たちがけたたましい音を鳴らし、上がってくる。


 ノックスはにやりと笑った。


「なんだ逃げないのか。観念したのかね。大人しく我々に殿下を引き渡せ。我々の正義に従うというのなら……」


「僕がそんな素直な人間に見えるかい?」


 フィルは腰の宝剣テトラコルドに手をかけた

 ノックスは舌打ちをする。


「貴様が忌々しい疫病神だということは忘れてはいないさ。だが、疫病神には退散してもらうに限るからな」


 ノックスの後ろから手練れらしき剣客が現れる。顔に大きなキズが入っている。

 いかにも歴戦の勇者という風体だ。


 ノックスはにやりと笑った。


「貴様もこの方には勝てんさ。ヴァレンシュタインを暗殺した『影の志士』。我らの英雄、我らの希望。たとえどれほど優れた剣客でも、倒すことは敵わない。フィル・ウォレスも例外ではないさ」


 フィルは笑いをこらえられなくなり、くすりと笑ってしまう。


「なにがおかしい!」


「いや、滑稽だなと思っただけだ。間違いなく、百回やったら百回、僕が勝つだろうからさ」


「大した自信だな。だが、はったりで切り抜けるのは少し難しい事態だぞ」


「はったりではないさ。試してみればわかる。そこの影の志士さんが口だけの男だということがね」


 自称「影の志士」は怒りに顔を赤くし、アストラル刀を抜いた。なかなかの速さでフィルへと剣を振りかぶる。

 だが……。


 フィルは刀を一閃させた。たった、それだけの動作で影の志士の刀は弾け飛んだ。

 のみならず、その刀は真っ二つに折れていたのだ。


 そのままフィルはアストラル刀を男へと振りかざす。男は「ひいいいい! 殺さないでくれ!」と懇願した。

 同時にフィルの剣が止まる。


 ノックスは苦虫を噛み潰したような顔で、フィルと男を睨んでいた。

 フィルは平然と言う。


「そこの影の志士さんが偽物だということに、どうして気づかない?」


「むしろ貴様はどうして確信が持てた?」


「それはもちろん、影の志士とは……つまり、ヴァレンシュタインを殺した人間とは、僕のことだからさ」


 フィルがあまりにもあっさりと言ったせいか、ノックスはきょとんとした表情を浮かべた。

 それから、さあっと顔を青くする。


「貴様が? まさか、そんな……」


「そのまさかだよ。僕はあの頃、立志社の幹部だった。君も知っての通りね。そして、ある日、立志社総帥の命を受けた。大宮宰ヴァレンシュタインを暗殺せよ、とね」


 フィルにはそれを可能にするだけの力があった。パーシー道場四天王の一人。アストラル剣術の最高峰の使い手。文字通り、フィルは最強の一人だった。

 そして、ヴァレンシュタインを殺すこと。それこそが正義だとフィルは信じて疑わなかった。

 

 フィルはヴァレンシュタインを殺した。国を救うために、敬愛する立志社総帥のために。

 だが、その代償は大きかった。


「知っての通り、この国では魔法が禁じられている。だが、開国派のヴァレンシュタインはね、禁断とされる魔法に手を出していた。彼は最後の力で僕に魔法、いや、呪いをかけた。決して人を殺せない、というね」


 そして、フィルは人を殺せなくなった。人を殺せなくなった暗殺者。考えただけで笑ってしまうほど滑稽な存在だった。

 だが、どちらにせよ、フィルに人を殺す力は必要なくなったのだ。ヴァレンシュタイン暗殺を後悔し、立志社を抜けたフィルには。

 

 彼を殺す前の少しの時間。フィルはヴァレンシュタインと話した。


 実際に会ったヴァレンシュタインは、尊敬に値する人間だった。無論、彼が行った非道は許せるものではない。

 けれど、ヴァレンシュタインがそうしなければならない理由も理解できてしまった。


 いずれこの国は魔法を用いる列強に屈せざるを得ない。それは遅いか、早いか、の時間の問題だ。

 排外倒聖派の主張通り、列強国と戦端を開けば、この国は滅びる。


 そして、ヴァレンシュタインを殺しても何も世の中は良くならなかった。

 人を殺せない、そして殺す意思も失ったフィルは、こう呼ばれるようになった。


 腰抜けパラディン、と。

 ノックスは「なるほど」とつぶやく。

 

「それで貴様は聖王府の中間派と取り引きして、彼らの側についたわけか」


「僕は誰の味方でもないさ。自分と自分を信じてくれる人間以外にはね」


「貴様に何ができる? どれほど剣に優れていようとも、人を殺せない貴様に」


「自分を頼ってくれる人間を守る。そのぐらいのことはできるさ」


 ノックスが剣を構えるが、フィルはその剣を即座に叩き落とした。

 そして、さらにノックスの配下の剣も叩き折る。


 ノックスは呆然としていたが、急に高笑いをしはじめた。


「貴様は因縁のある私に引導を渡したいのだろう? だが、貴様は私を殺せない。ならばこちらは人数に任せて、ここを押し通って皇姫殿下をお連れするまで!」

 いくらフィルが剣の達人でも、相手を殺すことができない以上、数の暴力には打ち勝てない。

 ノックスの言う通りだ。


 結局のところ、英雄ではなく、数が勝負の決着をつける。

 フィルはにやりと笑った。


「そろそろ後はお任せしてもいいかな。アーチボルト・クイーンズベリー」


 その言葉に、ノックスははっとした表情で後ろを振り返る。

 一人の美男子がそこには立っていた。すらりとした高い背丈で、線が細い。


 まだ若い男だ。そして、彼の手にあるアストラル刀にはクイーンズベリー公爵家……この国の七大貴族の紋章が刻まれていた。


 彼は……クイーンズベリー公爵家の跡継ぎ、アーチボルトは不機嫌そうだった。


「公爵世子を呼びつけるとは、いい度胸だな。フィル」

 

 あらかじめ、アーチボルトにはこの離れた宿場町に来てもらうように頼んでいたのだった。

 かつてフィルとアーチボルトは同じパーシー道場の門客だったから。


「これも国のためだ。勘弁してくれないかな」


「君が国のため、なんていうのはどうも納得がいかないが……全員、このテロリストどもを拘束しろ」


 合図とともに、クイーンズベリー公爵家の家臣たちがノックスたちを逮捕する。

 だが、そのときだった。


 偽の影の志士が落ちていた剣を拾い、アーチボルトへと斬り掛かったのだ。普通の人間なら避けれていない距離だった。


 だが、アーチボルトはたやすく彼の剣をいなすと、アストラル刀でその身体を一刀両断した。


「このアーチボルト・クイーンズベリーがパーシー道場四天王の一人だということを忘れてもらっては困るね」


 淡々とアーチボルトは言う。そして、フィルに向き直った。


「かつてあれほどの剣の腕を誇った君が……惨めなものだな。人の一人も殺せないなんて」


「惨め? そうじゃない。僕は神から人を殺さないで済む恩寵を受けたのさ」


「悪魔のヴァレンシュタインからの呪い、の間違いだろう?」


 フィルは微笑んだ。

 

「たとえ人を殺せなくても、僕は必要なら剣を取るさ。腰抜けパラディンと言われても、不殺の呪いを揶揄されてもね。ま、それに今は君なんかより大事なことがある」

「仮にも助けに来た人間だぞ!? おい、フィル!」


 アーチボルトが熱したやかんのように怒るのを無視して、フィルは奥の部屋へと入った。

 そこではマリアとアン・スコットが震えて、抱き合っていた。


 フィルはほっとする。

 ともかく、護衛の任務は果たせた。今日のところは。


 これが正義の行いだったなんて言うつもりはない。フィルは立志社の味方でも、聖王府の味方でもない。

 

 ただ、皇姫殿下……いや、可憐な一人の少女との約束を守り、信義を違えなかったことだけが事実だ。


 マリアはフィルに駆け寄ると、心配そうに上目遣いにフィルを見た。


「お、お怪我はありませんか?」


「ご心配いただかなくても、こう見えて、僕は最強なんですよ。どんな敵相手でも無双してみせます」


 冗談めかしてフィルは言うが、マリアは少し頬を赤くして「かっこいい……」とつぶやく。

 そこは笑ってもらうところだったのだが、とフィルは思うが、あえて口には出さなかった。


 ……聖王府が倒れるまで、あと八年。

 歴史は大きく動こうとしていた。


 そして、後世の人々はフィルの活躍をこう呼んだ。「腰抜けパラディンの不殺無双」と。 




いかがでしたでしょうか? 


「面白かった」

「フィルがかっこよかった」

「フィルやマリアたちの今後を知りたい!」


と思っていただけましたら……


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