1級と『特級』
「それで1級冒険者についてじゃが…これは基準となるものが明確に存在しておる。それは『スタンピードの時に主力となれるだけの実力を持っていること』…じゃ。」
また出た『スタンピード』…冒険者『スタンピード』大好きすぎるだろ。
そういえば、ベリルも骨折してる時もちらちらアリスが倒した魔物から出た魔石を見てたし、稼ぎ時だったりするのか?
ちなみに、魔石とかの戦利品はまだ回収できてない。
「魔物と魔獣はあたり前に倒せ、魔神とも対抗することができる…ということじゃ。ただ、それだけの実力が必要なため試験の難易度が高く、慢性的な人手不足なのも特徴じゃな。1級冒険者の中には自分の趣味を優先する奴が多いからのう…まったく、まじめにやってほしいもんじゃ。」
あれ?なんか長老の目がめっちゃ遠くを見つめているな…まあ、俺の知ってる1級冒険者も守銭奴だし多分苦労することがあったんだろうな。
俺は隣にいるベリルを見ながらそんなことを考える。
「ん?なによ。」
「いや何も…」
やばい目が合った…とりあえずそらしとこ。
長老のほうに再び視線を向けた俺はラストの特級の説明を聞く。
「いよいよ最後の『特級』じゃが…ぶっちゃけあんまり言うことはないんじゃよな。世間だと『人類最強』とか『人間をやめたニンゲン』なんて言われておるが…まあ、間違ってはおらぬな。」
いや、『人類最強』はわかるけど『人間をやめたニンゲン』ってなんだよ!
ベリルはずっと頭を縦に振ってるし…世間一般的な常識なのか?
「そんな特級冒険者じゃが、人数は数えるほどしかいない。10数年前の記録じゃが、1級が3万人…全人口の0.001%ほどいるのに対し、『特級』はたった7人。冒険者協会ができてから1万年近く経つんじゃが、歴代で『特級』に選ばれたのは25人…まあ要するに化け物ってことじゃ。」
ああ、結局化け物なのね…ていうか、ここ1万年で25人って少なすぎん?
そんなもんなのか?
「そしてこれが一番伝えておきたいことなんじゃが、『特級冒険者とは関わらないことじゃ!』。何か依頼を受けているときに関わると高確率で面倒ごとに巻き込まれ、かと言って非番の時に会っても大抵ロクな目に合わんからな……とりあえず関わるんじゃないぞ?冒険者カードを見て『特級』なら逃げてもいい…いいか?絶対に関わるんじゃないぞ?」
長老はこれまでの授業とは違い、ものすごい勢いで力説している。
「いや何てこと言ってるんだよあの爺さん…」
「何言ってるの?あのお爺ちゃんは正しい…うん、絶対に関わるべきじゃない間違いない。」
今度はベリルがなんか遠い目をしている。
おい、子供たちもなんかおびえてるじゃねーか…絶対化け物を想像してるだろ。
「まあ今回の授業はこれで終わりじゃ。ここからは実際の冒険者ランクごとの強さを確認しに行くぞ。」
長老はそう言うと子供たちを外に誘導する。
んーー…少なくともジェットは不憫な目に合いそうな気がする。
作者 やっぱりアウトプットが必要だよな?
女神 準1級と1級の違いを視覚的に分からせに使われそうですね。




