初雪
アリスの収穫スピードに驚きながらも畑関連の作業をすべて終わらせてから1週間…朝、外に出るとそこそこの量だが雪が積もっていた。
最近ほんとに寒くなってきてたけど、たった一晩で雪って積もるんだな。
「わ~雪!みのる!雪がつもってる!」
外に出てみると、どうやら早起きしたらしいルナがゴレさんとスイを連れて雪で遊んでいた。
あたりを見渡すと、多分ゴレさんが作ったであろう雪の城や動物の雪像に多分スイが魔法で作った後ろの方まで見える透明な氷像。
いや『雪まつり』かよ。
「みのる!これわたしがつくった!」
そう言ってルナが指さしたのは俺たちが数か月前に戦ったドラゴンと瓜二つの氷像だ。
「どう?じょうず?」
「…いや上手だけど、なんでこいつ?俺あんまりいい思い出ないんだけど…。」
めっちゃうるさかったし。
「はんばーぐ美味しかったから!」
なるほど食べ物として記憶に残ってるわけね。
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「どうだ?この中あったかいだろ。」
「うんあったかい!」
俺は〈建築〉スキルの〈スコップ〉を取り出し、一度作ってみたかったかまくらを作った。
意外とこの中暖かいんだな…う~ん、なんだ餅でも食べたい気分だ。
でも米はまだ作ったことないんだよな~。
……来年温かくなったら田んぼ絶対田んぼを作ろう。
「あんた達…こんな寒いところで何やってるのよ?」
俺とルナ、あと精霊コンビが『かまくら』のなかで小さな雪だるまとか雪ウサギみたいなかわいいやつを作っていると、寒いと眠いですごい顔をしてるベリルがやってきた。
「何って…ルナと一緒に遊んでるんだよ。」
一度テンションの高いルナのところにいったが最後、一緒に遊ぶしか選択肢はない。
ちなみにスイとルナが作っていた氷像を魔法で作る方法を教えてもらったのだが…悲しいかな、俺は全く水を凍らせれなかった。
どうやら俺はスキルのサポートがなかったら、本当に魔法の才能がないらしい。
「いや、あんたはなんで急に苦いもの食べた顔みたいになってるのよ…遊んでるって顔じゃないわよ。」
「うるさいな…お前だって今にも凍死しそうな顔してるぞ。」
「だったら私を生き返らせるためにご飯作って…アリスも『おなか減った』って言ってたよ。」
「…わたしもちょっとおなか減ったかも…」
あ~そういえば、朝ごはんまだ食べてなかったな。
今の時間は…うげぇ、もう9時じゃん。
「アリスどんな感じ?怒ってた?」
「いや、子供を見るおばあちゃんの顔して…ウッ。」
ベリルがおばあちゃんといい終わった後、地面から生えてきた木がベリルの首の裏をすごいスピードで叩いた。
「あ~あ、アリスにおばあ…いや何でもないです。」
アリスを叩いた木がこっちを見たような木がしたので、アリスが唯一キレる禁忌の言葉をぐっと飲みこんだ。
…ていうか、首の裏を叩かれたらちゃんと気絶するんだな。
俺は木がアリスを運ぶというシュールな姿を見ながら俺たちはご飯を食べるために一度小屋に戻った。
そして小屋に入った時、アリスの笑顔がめっちゃ怖かったのは多分気のせいじゃない。
勇者 おばあちゃん言うな!
女神 いやあなたはおばあちゃんじゃない…
勇者 違う!




