魔剣
アリスの張った結界がすべて粉々に砕けて数秒…あたりは静寂に包まれた。
…いや、前に魔法が消えるってベリルが言ってたけど、この広い空間の魔法を全部消滅させるほどの効果とは思わないだろ。
「ちょっとそれ見せて。」
「あっ…どうぞ。」
俺はアリスに魔法を消す効果を持った黒い剣を渡す。
アイスは剣をジッと見た後、体から木を生やして剣を貫こうとしたが、もちろん木は粉々に砕ける。
「へぇ、ワタシのこの魔法もこうなるんだ…すごいね。
まあ、この魔剣は他の魔法を壊すからさすがに飾れないけど。」
「へ?これって魔剣なの?……ていうか、魔剣って何?」
魔剣って言ったら、振ったときに炎が出たりする剣ってイメージが強いけど…。
「まあ説明する前に……この剣もう一回しまえる?結界張りなおしたいから。」
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アリスが結界を張った後、俺とアリスはまだ蹲ってブツブツ言ってるベリルを連れて本館のリビングにやってきた。
「ホントに無駄に装飾が多いなこの屋敷。」
俺は今座ってる椅子や机に刻まれてる装飾を触りながらつぶやく。
「それじゃあ魔剣についてだけど、まあ簡単に言えば『特殊な剣を魔法で創れる術者がそれ以前に使っていた剣または武器』のこと。」
「?どういうこと??」
特殊な剣を創る魔法?どんな魔法だ?
「魔法…いや今は〈魂源魔法〉って言うんだっけ?まあこの魔法って結構人によって違いがあるわけよ。
ベリルちゃんみたいに『強化を付与する』こともあれば、『植物を操作』したり、『精霊を生み出す』、中には空間や時間に干渉する魔法もあるわけ。」
まあ〈魂源魔法〉ってその人のオリジナル魔法らしいし人によって違いはありそうではある。
「で、その中に『特殊な能力を持った剣…武器を創れる』っていう魔法があるのよ。」
「特殊な能力ってどんなやつがあるんだ?」
「私が知ってるのは三振り、〈なんでも切れる剣…絶対切断〉と〈二つのものを合体できる…複合合成〉、あと〈傷口に種を寄生させる…種植え〉って能力かな?」
うーーん…はじめの2つはすごい厨二心が引き寄せられる能力だな。
最後のはよくわからんけど。
「まあその武器っていうのは、いくらでも魔法で創ったり消したりできるわけだけど、その剣が体の一部になるほどなじまないと創れるようにならないのよ。
…数年……下手したら数十年はずっと剣を持ってなきゃいけないわけ。」
「…それ〈メリット〉と〈デメリット〉釣り合ってる?」
「この魔法を使える身としては釣り合ってると思うね…こうして剣を見せびらかして意識のないところから『ブスッ』…とか出来るから。」
いや、こえぇぇぇよ。
「まあそんなこんなで魔剣ってのは、この魔法を使えるようになるまでの数年間使ってた武器に特殊な能力が定着したものなのよ。」
「……もしかして、魔剣ってめっちゃ貴重?」
「う~ん…そもそもこの魔法の使い手が少ないし、剣が壊れたタイミングで結構使えるようになったりするから、世界に100振りはないんじゃない?」
いやめっちゃ貴重じゃねーか魔剣!
…じゃあ、この〈魔法を消す魔剣〉もだれかの痕跡ってことか…。
「ん?てことはアリスの魔剣もこの世界のどっかにあったりするのか?」
「誰かに壊されてなかったらあるんじゃない?まあ、ワタシの魔剣って〈種植え〉の能力だから使う人なんていないと思うけど。」
あっ〈種植え〉ってアリスの剣の能力だったのね。
作者 いや~ちょっと魔剣って何て言えばいいかあんまりわからなかったんだよな。
女神 凄腕の剣士が訓練に使ってた剣って感じじゃないの?
作者 うーん、当たらずとも遠からずって感じだな。




