世界樹の屋敷
「お~~!おっきな家におっきな木!」
朝食を食べた俺たちは昨日逆バンジーで飛びたった世界樹の下までやってきていた。
…ただ、ここに来る方法がもう一回逆バンジーしたわけじゃなく、転移魔法っぽいのを使ったことには文句を言いたい。
「だから言ってるでしょ、昨日はこの魔法じゃあんたたちの拠点には行けなかったんだって。」
どうやらアリスの転移魔法は地脈の入り口と出口が必要なタイプらしく、自然にできたものがない場所だと、一回自分で行く必要があるらしい。
…なんて言うか、俺の〈転移門〉の上位互換みたいな魔法だな。
「あっ、そうそうベリルちゃん。
これとそれ、あとあれとかももう絶滅してる植物だよ。」
「…ちなみに売ったらどれくらいの値段になると思う?」
「さぁ…でも、1万年前に絶滅したやつとかもあるから相当高く買い取ってくれるんじゃない?
あっ、これその種ね。」
「あなたが神か?」
なんかアリスとベリルが離れたところで二人でひそひそ話してる。
どうせろくでもないこと話してるんだろうな。
「みのる!中に入っていいの?」
「う~ん…別にいいんじゃね?」
「やったぁ!」
ルナはかなり興奮した様子で屋敷の扉を開けて中に入る。
「…ふわぁ~なにこれ!」
扉をくぐった先は玄関…とは思えないほどデカいけど玄関がある。
使っている素材は木だけなはずなのにそうとは思えないほど多彩に見える。
そして天井には光る果物みたいなのがあり、壁にも植物を使った装飾がしてある。
「…なんかホントに貴族の屋敷って感じだな。」
玄関を上がって奥に進むと左右に長い廊下、目の前には階段もあり、この屋敷の広さを体感できる。
「この屋敷って宝物庫とかあるのかな。」
「ねぇみのる、探検してきていい?」
「いいけど、ゴレさんと離れないようにな。」
「うん!」
ルナはゴレさんと一緒に上の階へ上がっていった。
「俺は左に行ってみるか。」
アリスとベリルは未だに外でしゃべってるし、スイは辺りに咲いてる花に水をやっているため俺は一人で左の廊下を歩き始めた。
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「まあとりあえずかなり昔に絶滅した植物はそのくらいかな。」
世界樹の周りに咲いてるこの森の外では絶滅してる花や野菜、果物なんかをベリルに紹介して種を渡していた。
種は一粒ずつ渡したのに、その量は大きな袋5つをぱんぱんにするくらいだ。
「フフフ…これで私も大金持ちに…。」
ベリルはあくどい笑顔を浮かべながらぶつぶつといろいろ言っている。
ただ、思い出してほしい。
そもそもこの森は危険だ。
いろんな強い動物がいるし、この森を出るまでの距離も相当ある。
そんな森から大きな袋を抱えて移動できるのだろうか。
…残念ながらベリル一人ではほぼ不可能だろう。
今はこの種を売って儲けた金で『夢の金持ちドリーム』を妄想して気づいていないが、数日後この事実に気づいたときベリルは実に一緒に街に行ってほしいと頼みこんだ。
もちろん断られた。
作者 絶滅したと思われてた植物を見つけて売ったらどのくらいの値段になるんだろ。
女神 さぁ、ていうかベリルちゃんて【金銀財宝】を見つけたからもうお金持ちよね?
作者 今回の種を運べない問題と同じでみのるの〈アイテムボックス〉がないと殆ど運べないから今のところ金にはならないんだよな。ちなみにベリルがずっと帰らないのもそれが理由。
女神 なんて言うか…不憫ね。