転移門とゴレさんの服
「なんだ?お前まさか徹夜したのか?」
俺たちが【宝の地図の迷宮】を攻略した次の日。
寝る前にベリルが見つけた金銀財宝を眺めているのは見たが、まさか朝までやってるとは。
「何言ってるの?朝から晩までじっくり愛でなかったらこの子達に失礼でしょ!」
いや、この子達って………しかも今の場合、朝から晩じゃなくて晩から朝じゃね?
まあどうでもいいけど。
俺はベリルが見ている金銀財宝を〈アイテムボックス〉にしまう。
「ちょっと何すんの⁉︎」
「うるせぇ、森の家に帰るぞ。」
「えぇ…もうちょっと休んでも良くない?」
「大丈夫…すぐ着く。」
「???」
「まあついてこい。
ルナはもう先に行ってるから。」
俺はさっきまで寝てたコテージの方に歩き、ベリルがその後ろをついてくる。
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コテージ入った俺たちは、地下に作った食料庫に降りる。
「あれ?ルナちゃんどこ?」
「この先だよ。」
俺はそう言いながら食料庫の端にある木の扉を開く。
そこには大きな【洋風の門】がある。
「何……コレ。」
「説明すんのもめんどくさい…おら、さっさとくぐれ!」
「ちょっと何すん………の?」
門をくぐった先は小さな小屋…そして扉の先にあるのは1ヶ月ほど前に見た森に畑…つまるところここまで転移してきたわけである。
「え?え?え⁉︎」
「どうだ、スゲーだろ!コレでいつでもバカンスに行けるぞ!」
まあ貰い物だけど…。
「いや…すごいなんてもんじゃないよね…コレ。
私が見つけた金銀財宝の【宝】よりお金になりそうじゃん。
…私に1組くれない?」
「いや、譲渡不可だから……まあ出来てもしないけど。」
「あっ、そう言えばルナちゃんは?ここに来てんでしょ?」
「この1ヶ月でゴレさんが作った服を試着しに行ったぞ。
ちなみに俺たちの分も有るらしいから後で時間作れよ。」
「えー〜私あんまり服とか興味ないんだけど…」
「この森にある加工しにくい素材とかも無理矢理に使ってるらしいから結構貴重な品だと思うけ…「さぁ早速試着に行こう!」」
……ホント…現金な奴だな。
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徹夜のくせに上機嫌なベリルを連れてゴレさん裁縫小屋に行くと、ルナがthe 姫様みたいな白いドレスを着ている。
「あっみのる!コレ似合う?」
「…似合うけど、汚したら弁償とかしなきゃいけないんじゃないか…コレ。
ちょっとゴージャス過ぎて怖いぞ。」
「弁償って…コレレンタルじゃなくて所有物よ?」
そんなことわかってるよ…
「でも、このコレ動きづらいしべつの着てみる!」
「そうか…汚すなよ?」
「ルナちゃん、コイツのことは気にしなくていいよ。」
「うん?わかった?」
俺たちがそんなことを話していると、入り口とは別の扉が開き、中からルナの服を持ったゴレさんが出てくる。
……なんか…奥に100着は下らない量の服が見えたんだが、まさか全部作ったのか?
まあ今はそんなことより…
「よっゴレさん。ずっと留守番させて悪かったな。」
すると、ゴレさんが胸に手を当てて胸を張る。
コレは『任せろ』とか『大丈夫』って感じのジェスチャーか、特になんの問題もないようでよかった。
「ところでゴレさん、さっきちょっとだけあった時に俺たちの服も作った的なこと言ってたよな。
試着しに来たぜ。」
ゴレさんは少し考えた後、ルナに『ここで待ってて』みたいなジェスチャーをする。
ルナが頷いたのを見たら、俺たちを連れて隣の小屋に歩いて行く。
そこには俺とベリルがちょうど合うくらいの服がそれぞれ置いてあった。
こっちも100着は下らなさそうだけど、よくこんな量作ったなぁ。
「……ホントにすごいわね…」
コレ、スキルで作ってるから俺でも作ろうと思えば作れるはずだけど、作れる気しねぇわ。
俺たちが服の数に圧倒されてボーッとしてると、ゴレさんが後はご自由にみたいなジェスチャーをして部屋から出ていった。
「ねぇ、なんで私とあんたのクローゼットがセットになってるの?」
「いや、俺に言われても知らんがな。
まあ俺は動きやすいジャージみたいな服と下着取ったら出てくから後はご自由にしてくれ。」
豪華そうな服は着方わかんねぇし…。
俺はいかにも下着が入ってます…って感じのタンスを開ける。
そこには確かに下着が入っていた…入っていたんだ……男女両方の下着が。
………スーーー
俺は何も反応を見せずにタンスを閉めて部屋を出て行…こうとしたところ、背中にとんでもない衝撃が走る。
…いや……コレは理不尽だ…ろ。
ゴレさん…わかんないかもだけど男女はしっかり分けといてくれ……
作者 ゴレさん書くのめっちゃ久しぶりな気がする。
女神 まあずっと海に居たから…
作者 ちなみにゴレさんは主人公の召喚ゴーレムとでも思ってくれてたらOK。
女神 主人公の一部のスキルも使えますよ。




