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到着

 俺たちが結界から出て歩くこと1週間ほど、ずっと木木木森って感じの景色で飽き飽きしていたが、今の俺の前には今までの景色と全く違うものが見えている。


 俺たちが向かっていた目的地、海に到着した。


「うわ〜、すごいね。」


「これは…たしかにすごいな。」


 俺の前には文字通り、壮大な海が広がっている。


 しかし、俺が驚いているのはそこではない。


 よく海の向こう側を見てみると、そこには陸地が見える。


 つまり湖のようになっているのだ。


 それでいてルナと一緒に水を舐めてみるとしっかりと酸っぱい。


 この場所はいわゆる内海ないかいと呼ばれる場所なのだ。


「2人ともそんな海に初めてきた人がするようなことしなくていいから、さっさとキャンプの準備するよ。」


「えー、釣りしようぜ釣り。

 俺、海で釣った採れたてで新鮮の魚を食べたいんだけど。」


「つり!やりたい!」


 俺がベリルに文句を言ってると、ルナが食いついてきた。

 多分、魚という未知の食べ物に興味を惹かれたんだろう。


「よっしゃ、竿作って釣りやるか。」


「ああ、もう勝手にやってていいよ。

 こっちでテントとか立てとくから。」


「ありがと、その代わり料理は任せといてくれ。」


「うん、期待しないで待ってる。」


「期待して待っとけ。」


 こうして俺とルナは釣りをするための竿を探しに行き、ベリルはおそらくのんびりするためにテントを立てに行った。



 ————————————————————




 俺とルナは竿に使えそうな枝を見つけると、今まで縛るために使っていた糸を枝にくくりつけて釣り糸にする。


 そして釣り針だが、これは鹿の骨を〈建築〉スキルのヤスリで削って作った。


 なんか縄文時代の教科書でこういうの見たことあるなって感じにできた。


「……こんな感じで大丈夫だろ。」


 俺はそう言いながらルナに作った釣り竿を渡す。


「…これ…どうやって使うの?」


「ああ、これはこうやって釣り針に餌をつけて……海に投げ入れるんだよ。」


「わかった。」


 俺とルナは適当な大きさに切った鹿肉を餌にして、釣りをやってみる。



 そうして待つこと5分、俺は竿が引いたので思いっきり竿を引き上げる。


「キタキタきた!」


 そうして引き上げたのだが、引いている途中で軽くなり、魚に逃げられた俺は『おお…』っと変な声を出してしまった。


「ふふふ、はっはっは。」


 俺が魚に逃げられた姿を見て気持ちよさそうに笑っている奴が1人。


 テントで寝っ転がってこっちを見ているグータラ女ことベリルである。


「………お前何笑ってるんだよ。」


「いや別に〜ただ今日のご飯は期待しとくね。ふふ。」


「お前…俺のこと馬鹿にしてるだろ。」


「いやいや、馬鹿になんてしてないよ。

 ただ頑張ってるな〜って見てただけで。」


「おまえn。」


「キタ!きたよ!すっごい重たい。」


 俺とベリルが話している間にどうやらルナの方に当たりが来たらしい。


 ルナが重いと言ってるので手助けに行こうとしたのと同時にルナの釣り竿が振り上がり海面から何かが飛び出してきた。


「つれた〜」


 ルナが初めて魚を釣ったことに興奮している様子を見ながらほっこりしていると、俺の体に影が映り、その影の持ち主が俺に突っ込んできた。


 そいつは俺の腕の中でピチピチして、水を撒き散らしている。


 そう、ルナの釣った魚が俺に突っ込んできたのだ。


 しかも長さが1メートル近くあるくらいでかい。


 俺はルナが初めて釣った魚ということもあって砂浜に叩きつけることも出来ず、取り敢えず持ち上げて俺の後ろで爆笑しているベリルのところに放り込んだ。


「ん!ちょっと何してくれてんの?」


「…ちょっと机出すから持っててくれ。」


「ねえ、別に私の上に置く必要なかったよね?ね?」


 俺は後ろでぐちぐち言っているベリルを放って魚を置くための机を出して机の上に魚を置く。


 するとルナがこっちに到着して、自分が釣った魚を眺めている。


「さかなって大きいね。」


「いや、この魚が大きめな魚ってだけだから。

 ていうか、なんで釣り糸切れなかったんだ?絶対体重オーバーだろ。」


「…多分だけど魔力ね。」


「魔力?」


「そう。ルナちゃんは釣り糸を魔力で覆って糸の強度を強化してるんだよ。

 巨大で凶暴な魚を討伐するために陸に引っ張り出す時に使う方法だね。」


「……ベリルはできるのか?これ」


「まあ出来ないことはないけど、普通ならもっと強度のある糸を使えばいいだけだからね。

 できるけどやる必要がないって感じの技術だね。」


 へー、まあ確かにそんなもんか。


「て言うかみのる、もう釣りはしないの?

 もしかしてルナちゃんがこんな大物釣ったせいで自信無くなっちゃった?

 自分はさっきスカだったもんね。」


「は?まだまだ釣る気満々ですけど?なんならルナより大物釣ってくるつもりなんだけど?」


「わたしもまだまださかな釣る!」


「っと、そのに前にルナちゃん、この魚どうする?

 食べるんなら私がさばいておこうか?私、みのるより上手くできると思うよ〜」


「なんでお前はちょくちょく俺をバカにするんだよ。」


「う〜ん、わたしがやってみたいから後でやる。」


「わかった。じゃあ私はもう一回のんびりさせてもらうね。」


 そうして俺はルナの釣った魚を〈アイテムボックス〉から出した丸太を加工した水槽すいそうもどきに入れて釣りを再開した。



 そして2時間ほど経った頃、俺は砂浜で日光浴をしていた。


 理由はまあ…聞かないでほしい。

作者 釣り、釣りか…

女神 ?どうかしたんですか?

作者 いや、これ描いてる途中、知り合いに釣り針が肌に刺さって病院で抜いてもらったって話を思い出しただけ。んでその人、その治療に数千円取られて、『これなら適当な店で魚買って食べればよかった』って愚痴ってたわ。まあそれを話してた次の週にはもう釣りに行ってたんだけどね。

女神 …なんて言うか、人間って意外とタフですね。

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