収穫と出発準備
まだ辺りが暗い時間、俺たちは畑の前に来ていた。
「それでは収穫を始めます。」
「ねえ、こんな朝早く…ていうか朝にもなってない時間に始める必要ある?」
「収穫って言ったら朝早くだろ。」
「そうなんだ…」
そんなこんなでさっそく収穫を始める。
詳しくは覚えてないが、トマトとかの実が食べれるものは朝早くに収穫したほうがよかった気がする。
というわけでまずは全員でトマトを収穫する。
「うー〜ーん、美味しい。」
「おい、お前なにつまみ食いしてんだ!」
ベリルがトマトをつまみ食いしていたので注意する。
「別にいいでしょ、朝ごはんちょっとしか食べてないんだから。」
まあ採れたてが美味しいのはわかる。
「まあ、食った分ちゃんと働けよ。」
そうして俺たちは3日間程度で畑の作物を全て収穫することができた。
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「めちゃくちゃな量になったな。」
俺は収穫した作物を入れた食料庫を見ながらつぶやく。
その食料庫も1つじゃ足りなくて急きょ新しいものを作る必要があったほどだ。
「まあ、私からしたらよく3日で収穫したなって感じだよ。」
「それはまあ、ゴレさんがめちゃくちゃすごかったからな。」
ゴレさんは小さいながら、俺たちの2、3倍のスピードで収穫してたからな。
ちなみに今はルナと一緒にここ2週間で作ったでかいオオカミに色を塗っている。
ゴレさんが〈裁縫〉のスキルで染色(布に色をつけれるようになる)を手に入れて、そこから俺とゴレさんの2人で協力して作った簡単な色の絵の具を使っている。
「あれももう一種の芸術よね。」
俺がオオカミの木彫り細工…というより木像を見ているとベリルがそうつぶやく。
「まあ、あれを覆うように小屋を建てるみたいな計画も立ててるしな。
将来、ここに人が来たら観光の名所みたいになりそうなぐらい出来がいいしな。」
「ホント、子供の想像力と遊びに対する熱意はすごいよね。」
「俺たちもまだ子供だと思うが?」
俺の外見は15くらいだし、ベリルも同い年くらいに思える。
「なにってるの、私はもう15だし大人よ。」
「………さいですか。
…ところ昼飯なに食いたい?
ここにある食料から作れるのならなんでも作ってやるぞ、ご褒美で。」
「うーん……じゃあハンバーグってやつ。
ルナちゃんが美味しいって言ってたからね。」
「ハンバーグ作るならわたしも手伝う!」
いつのまにかルナが俺たちのそばにいてそう喋りかけてきた。
相変わらず、動きが早い。
「そんじゃあ、ドラゴンの肉も使って美味しいの作るか。」
「おーーー」
「じゃあ私はのんびり休ましてもらうね。」
ベリルが一人椅子に座って休もうとする。
「いや、お前も手伝えよ。」
「えー〜、私疲れたんだけど。」
「リルお姉さんは一緒にやらないの?」
「うっ…」
ルナが少し悲しそうな顔で言うとベリルがたじろぐ。
ちなみにルナがベリルを呼ぶ時は『リルお姉さん』と呼ぶ。
なんでも『ベリルって名前は変な気がする』とのことだ。
「はあ、わかったよ。」
「うん!じゃあこれを一緒にやろう!」
今、ルナがやっている作業は肉をミンチにする作業だ。
ちなみに今回ルナがミンチにしようとしている肉の量は20人分はある。
………俺はあからさまに疲れているベリルに『ご愁傷様』と心の中でそっと手を合わせた。
そうして今回使う以上に肉をミンチにしたベリルはその作業が終わるのと同時にリタイヤしたが、あとは順調に料理を作ることができた。
「おーい、ベリル。料理できたぞ。」
「…食べる!」
そう言うとベリルは勢いよく椅子に座ったが、よく見るとフォークを持つ手が震えていた。
『あれでメシ食えるのか?』そう思ったが少なくとも問題はなさそうだ。
「「「いただきます」」」
「んーーー、やっぱりおいしい!」
「ホントにうまいな。
にしてもあれだな、ハンバーグ以外にもいろいろ作ったせいで【収穫祭】みたいになってるな。」
「まあ、実際収穫祭みたいなもんでしょ。」
「確かに…それなら神様に対して何かしたほうがいいのか?」
たしか【収穫祭】って『豊作を神様に感謝する』みたいな感じだった気がする。
「まあ、どっちでもいいんじゃね?」
「……じゃあゴレさん、ちょっといいか?」
俺はご飯を食べている(意味があるかはわからない)ゴレさんに簡易的な祭壇を建てようと提案する。
ゴレさんは胸に手を当てるいつもの『任せて』と言うポーズをする。
そうして木を削ったり組み立てたりすること1時間。
俺たちは小さめの簡易的な祭壇を作り、そこに今回収穫した作物を奉納した。
「なかなかいい感じになってるじゃない。」
腹一杯に食べたのか、お腹を触りながらベリルが偉そうに言う。
「まあ、豊作をありがとうってことで…。」
こうして夜は更けていった。
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畑の収穫を終えて1週間、収穫の疲れもなくなり、俺はベリルの宝探しに必要な荷物(食料)の準備をしている。
ちなみにかなり急いでだ。
なぜかと言うと、
「実、わかってると思うけど明日出発するからね。」
と、朝食の時にいきなりベリルが言ってきたからだ。
………いや、わかってる、明日に出発するのは収穫が終わった時に決まってたんだ。
ホント誰だよ、今日まで準備しなかったバカは…。
………………バカは俺だよ。
まあ、こんなこと言ってないでさっさと準備しよう。
と言っても持って行くのは基本食料だけだ。
というわけで収穫した作物が入っている食料庫から1ヶ月程度の食料を〈アイテムボックス〉に入れて行く。
「うーん、なんか他にいるのあるか?」
俺は大量の食料を〈アイテムボックス〉に収納しながら考える。
するとタイミングよくゴレさんが食料庫に入ってきた。
何か俺に見せたいものがあるらしい。
ゴレさんは忙しそうにしている俺に無意味なことをさせることはしない。
そういうわけで俺はゴレさんについて行き、裁縫小屋にやってきた。
中に入ってみると、少し大きくて暑い布が置いてあった。
「これ、もしかして毛布と布団?」
俺がそう言うとゴレさんが頷く。
「いや、マジか!
今までなかったからな。
ありがとう、大事に使わしてもらうわ。」
ゴレさんは嬉しそうにしながら、再び裁縫を始めた。
こうして俺は急いで準備をし、しっかり寝て、次の日。
出発の時が来た。
作者 やめて、このまま主人公一向が旅に出たら辺りにいる動物が全員狩られてしまう。頑張って森のクマさん、あなたが今ここで倒れたらナワバリや森の生態はどうなっちゃうの?まだ魔力は残ってる。ここを耐えれば主人公たちに勝てるんだから。
次回、クマさん死す。
来週もまた見に来てね、じゃんけん…ポン(パー)
うふふふふふ。
女神 あなたなに言ってるんですか?しかも微妙に下手くそですし。
作者 そういう気分だったんだよ!