畑泥棒
ゴレさんが自分の意思で送還したことで結界に何か異変が起きたことを知った俺とルナは早足で結界に向かっていた。
「みのる、なにがいると思う?」
「……まあ、瀕死になった動物がたまたま結界に入り込んだとかじゃないか?
ていうか、もし人が入ってたら危機的状況なわけだし絶対怪我とかしてるだろうから正直いて欲しくない。」
「?しんでなかったら私が治せるよ?」
「……たしかに。」
俺たちはそんなことを話しながら歩いていると、結界に到着した。
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「じゃあ結界に入るぞ」
「わかった、いちおう魔法をいつでも出せるじょうたいにしておくね。」
まあ、必要ないと思うけど俺たちは警戒しながら結界内に入って行く。
「……別になんともないな。」
「でも私たち以外の匂いがあるから何かいるのは間違いないよ?」
「うーん、どこにいるかわかるか?」
「あっち。」
そう言いながら、ルナは畑がある方を指差す。
『え…畑?
俺、畑を荒らされたりしてたらどんだけ可愛いい動物でも多分殺しちゃうぞ?』
「…みのる…なんか体から黒いオーラ出ててこわい。」
「あ…ああ、すまん。」
俺たち畑にいるやつに気づかれないように近づいていく。
ある程度近づくと畑に人型の影が見え…いや、もしかして畑の野菜を食ってる?
…………
は?…何やってんだあいつ。
あともう少しで収穫だったやつもあるのにのに……
「ルナ、ちょっとここで待っててくれ。
ちょっとしたあいつの脳天、かち割ってくる。」
「え…あ、わ…わかった。」
俺はゴレさんをルナの近くに召喚して、おそらく畑にしゃがみ込んで作物を食べている不届き者の近くに静かに歩いていく。
近づいてみると、背丈から見て女の人…髪は赤ターバンを巻いてるせいでよく見えないがブラウンって感じの色、着てる服は白いシャツに黒の短パン。
そんで、今食ってるのはいちごか…
実が赤くなってあともうちょっとで収穫できそうだったのに…
まあ、収穫時期を早くするために少し成長させるっていう裏ワザ使ってたけど…そんなの関係ないって…うん?
あいつが手に持ってるのはトマト…しかもまだ青いじゃねーか!
たしか青いトマトには弱いけど毒があったはず…
「おい、お前何食って…っつ。」
俺が声をかけた途端、こっちに振り返って腰にある短剣を抜いて俺に攻撃してきた。
俺はとっさに斧を出して短剣を受けようとすると…
『バチィン!』
俺の斧に短剣が当たった瞬間、蒼白い光が出て、さっきまで熟してない実を美味しそうに食っていたとは思えないほどの威力が俺の斧に与えられた。
「っっつ!」
俺は油断してたのもあり、数メートル吹き飛ばされたがうまく受け身をとって俺に攻撃してきた女の人に目を向ける。
するとさっきので限界だったのか女の人…いや畑泥棒は倒れていた。
「いや、なんだったんだよ。」
俺は斧の先で『チョンチョン』とほんとに気絶してるか確認する。
……………
畑泥棒は本当に気絶してたので仕方なくコイツを家の中に運ぶことにする。
一瞬このまま適当な森に捨てようかとも考えたが、この森に来て【人間】と言うのを全く感じたことのなかった俺は『こいつが何でここに来たのか』という疑問が勝ち、それは実行しなかった。
「みのる大丈夫?怪我はない?」
俺が吹っ飛ばされたのを見てこっちに走ってきたのだろう。
ルナが軽く息を切らしながら俺に怪我がないか聞いてきた。
「うーん…ちょっと手が痺れてるくらいだから多分大丈夫だろ。」
「みのる、手を出して。」
「ん?ああ。」
俺はルナに言われた通り手を出す。
するとルナが光だし俺の手の痺れがなくなっていく。
「ありがとうルナ。」
「うん、て言うかこの人なんなの?
一回みのるに攻撃しただけで魔力切れをするなんて…」
魔力切れ?じゃあ今のこいつはあの地獄の頭痛と酔いを感じてるわけか…
「俺はコイツを空き家に運んでくれるから、ルナはゴレさんと一緒に、ゴレさんが作った布の失敗作でもとってきてもらえないか?」
「?なににつかうの?」
「…布団代わりにするつもりだ。」
「………まあ、わかった。」
そう言うとルナは遅れてきたゴレさんと一緒に布を取りに行った。
「さてと…」
俺はこの畑泥棒が使っていた短剣を〈アイテムボックス〉の中に入れ、畑泥棒を空き家に運んだ。
女神 新キャラ出てきたのにどんな人か全くわからなかったんですが?
作者 まあまあ、次で色々わかるから…多分。
女神 ふーん、ちなみにその新キャラが使ったま…
作者 おっとネタバレはやめて頂こうか。