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ギャグミール!  作者: Sal
2/2

第2話:仲間

 ミールは自分の額に巻かれているきあいのハ●マキを外し、掌に乗せてまじまじと見た。


<ミール>

「そういえば、なにゆえ初期装備でこんなの持ってたの僕?」


 神からのプレゼントだそうです。


<ミール>

「プレゼントだったらもっと法的に安全なのは無いのかよ?」


 しかし、その装備で命を救われた以上、何も言い返せないでしょうに。


<ミール>

「うるさいわ!」


 あーあ、勿体無い。ミールはきあいのハ●マキを捨ててしまった。






 【はじまりの村】


<ミール>

「なんて安直なネーミングの村だよ」


 いや、だって解りやすい方が良いですしね?


<ミール>

「無茶苦茶だな…………ま、いっか。んでさ、世界を救うって言ったって、どこに行って何をすればいいんだ? 具体的なこと何も話してなかったじゃないか、あの神とやらは」


 そうですね。とりあえずまずは情報収集なんてどうでしょう? 流れ的に。


<ミール>

「雰囲気で行動決めんの? なんか先行きが不安だな……」


 まあまあ、そう言わずに。


<ミール>

「あっ、そういえば村人がいるけど、話しかけた方がいいの? ストーリー的に」


 確かにストーリーに関わってくるサブキャラもいますが、そこは主人公の自由で。話しかけても無意味な住人がほとんどで、しかも独り言喋っているのがRPGの鉄則ですが。


<ミール>

「じゃ、とりあえず情報収集にもなりそうだし、ちょっと話してみるかな。おーい、そこの人ー」


 ミールは村人に話しかけた。


<村人A>

「おれの名前は刺身丸。なにかおもしろいことないかな~」


<ミール>

「おい、天の声インフォメーション。これはツッコミ待ちなのか? なんだ刺身丸って。自分の名前がおもしろいことになってんじゃん」


 無意味な発言をするパターンのやつだったようですね。


<村人A>

「おれの名前は刺身丸。なにかおもしろいことないかな~」


<ミール>

「しかも、ぶっ壊れたおもちゃみたいにセリフを繰り返してるぞ」


 だってそれがRPGってもんでしょうよ。


<ミール>

「そこ一点張り? でもランダムでセリフ変わるとか、そういうのは無いの?」


<村人A>

「おれの名前は刺身丸。なにかおもしろいことないかな~」


 そう言われても無いものは……。


<村人A>

「おれの名前は刺身丸。なにかおもしろいことないかな~」


<ミール>

「お前は少し黙ってろ!」


 って言っても同じこと繰り返すだけですよ。


<ミール>

「あーもう! だったらこいつから離れればいいんだろ!」


 ミールは村人Aから離れた。


<村人A>

「おれの名前は刺身丸。なにかおもしろいことないかな~」


 ところが、村人Aが追っかけてきた。


<ミール>

「なぬっ!? なに完全なエキストラキャラが勝手に動いてんの!?」


 バグってやつですかね。ほら、キャラが移動すると残像になったり、棺桶状態になるとかそういうのです。


<ミール>

「なに悠長に説明してんだよ! 止めろよアレ!」


 いや、無理ですよ。あくまでも、私はただの天の声インフォメーションなんで、どうしようもできません。


<ミール>

「ちくしょー! 役に立たねーぞこいつ!」






 【なんか魔物とかよく出てくる道】


<ミール>

「はあ……はあ……何とか撒いた……。いつの間にかマップ移動しちまったよ」


 まぁ、前に進めたので結果オーライってことにしましょう。


<ミール>

「前に進めた、って……さっきの村で僕、何も情報仕入れてないんだけど……」


 適当にやってれば何とかなりますって。


<ミール>

「いよいよ不安が明確になってきたな………ん? 何だあれ」


 ミールは何かを見つけた。

 なんと、青年が魔物に襲われている!


<ゴブリン>

「はっはっは~! 獲物がちょこまかと逃げ回んなよ!」


<青年>

「く……ッ! だがここで戦ったら、俺のこの薄型ノートPCの液晶ディスプレイに傷が付く恐れが……!」


<ミール>

「おい、あんなバカ助けなくちゃいけないの?」


 んまぁ……世界を救うんだったら、これくらいは………。


<ミール>

「もうしょうがないな………ちょっと! そこの人!」


<青年>

「おお! オレの代わりに戦ってくれるのか!」


<ミール>

「まだ何も言っとらんわ!」


<青年>

「すまない! あとで、お礼に神MAD動画紹介するよ!」


<ミール>

「人をナメてんのか!」


 戦闘始まりますよー。


<ミール>

「ああくそっ、この世界の戦闘っていつもこんなノリなのか!?」


 ゴブリンが襲い掛かってきた!


<ゴブリン>

「魔●剣!」


<ミール>

「それ魔物が使う技じゃねーし!」


 ミールに12ダメージ!


<ミール>

「……ふん! おじいちゃんに比べれば全然ザコだな! 今度はこっちの番だ!」


 ミールの足し算!


<ミール>

「相変わらずカッコ付かない技だなこれ!」


 ゴブリンに45ダメージ!

 ゴブリンを倒した!


<ゴブリン>

「ぐああ……! もっと出番がほしかった……!」


<ミール>

「なんつー断末魔だ」


 本音でしょうねー。


<ミール>

「さて、と……さっきの青年さんは……」


<青年>

「クソがッ! アンチも信者も動画に安易にコメすんじゃねえ! 荒れんだろうが!」


<ミール>

「なんか一人でヘッドホン着けてPCの前に正座してる!?」


 多分、戦闘終わってるのも気付いてませんね。


<ミール>

「おいテメエふざけるなぁ! それが人に助けてもらったやつの態度か!」


<青年>

「ん? あぁ、さっきの人。終わったのねとんくす。これが例のMAD動画だけど」


<ミール>

「人の話を聞けぇ!」



 ~五分後~



<青年>

「やあやあ、助けてもらって悪かったね。俺の名前は、たやかって言うんだ」


<ミール>

「たやか、ね(田中の出来損ないみたいな名前だな……)。僕はミール。何て言うか、目的がはっきりしてない分、ただの旅人としか言い様がないけど、そういうことで」


<たやか>

「あぁ、かくかくしかじかってやつね。ゲームって便利だなー」


<ミール>

「こそこそ……(おい、天の声インフォメーション。救出イベントがあるってことは、ただのキャラじゃないってことは予想付いたけど、それにしてもセリフが自由すぎるし、この人一体何なんだ?)」


 んー……、まぁ、あれですよ。いわゆるフラグですよ。


<ミール>

「はい?」


<たやか>

「そういうことだよ。『助けてもらったお礼に自分の村へ招待します~』っていうアレ。ついでに『村まで案内しますので~』っていうパーティー追加も」


<ミール>

「…………なるほど。これさえやれば勝手にストーリーが進んでく、っていうそれね……。ちゃんとあったんだそういうの」


 今までのは、杞憂だったようですね。


<たやか>

「というわけで、この先よろしくだね。ミール。村まで案内するよ」



 たやかが仲間になった!






<ミール>

「ところでパーティーに入るのはいいけど、戦闘できるの?」


<たやか>

「斧使い、っていう設定だけど、PC守るので精一杯だから大体はよろしく」


<ミール>

「これ苦労が増えただけじゃ……」

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