第1話:お告げ
【夢】
<???>
「……聞こえるか、運命の子よ……」
真っ暗な空間から誰かの声が聞こえる。
ミールは辺りを見回した。
<ミール>
「ここは……僕の夢の中? 冒頭の【夢】ってそういう意味?」
<???>
「いきなりメタ発言すんじゃねーよ、雰囲気ぶち壊しだろうが」
どこからともなく声が聞こえる。
<ミール>
「誰なの、あんた?」
<???>
「よくぞ訊いてくれた。ワタシは神。この世界の行く末を見る者」
<ミール>
「うわ、宗教くせぇ……」
<神>
「黙れ!」
空虚な闇に怒号が響いた。
<神>
「あと天の声もいちいち出てこなくていいから! 今、ワタシのセリフの途中だから!」
サーセン。
<ミール>
「……でさー、一体何なのさ。人の夢の中に勝手に出てきて」
<神>
「良い質問だ。ナイスクエスチョン。Nice question.HA☆HA☆HA!」
<ミール>
「マジメにやれや!」
<神>
「すまんすまん。ジョークだよ、ジョーク。まあ、アレだ。君にね、頼みたいことがあるわけだよ」
<ミール>
「頼みたいこと?」
<神>
「そう。今この世界にね、危機が迫ってるわけなの。君には旅に出てもらって、その危機から世界を救ってもらいたいの」
<ミール>
「なんで僕が。あんたがやればいいじゃん」
<神>
「何も理解していないね、君は。ワタシは見る者であり、看る者であり、視る者であり、観る者でもあるの。神とは常に超常的存在でなければならないの。ドゥーユーアンダースタン?」
<ミール>
「傍観者ぶってんじゃねーよ。めんどくさいだけだろ」
<神>
「…………」
<ミール>
「図星か、この野郎!」
<神>
「黙れ! とにかく行けばいいんだよ! グリーンだよ!」
<ミール>
「あっ、こら待て! くそっ、夢から覚める………」
【ミールの家】
<ミール>
「……ってなわけでさ、おじいちゃん。僕、旅に出てかなくちゃならないらしいんだけど」
<おじいちゃん>
「おk、逝ってよし」
<ミール>
「軽っ!? もっとなんかこう、引き止めるようなイベントは発生しないの!?」
<おじいちゃん>
「いやあ、あるにはあるんじゃがね。これやっちまうと、わしの出番がしばらく無くなるし」
<ミール>
「つまらない時間稼ぎすんなよ。どっちにしろ僕が主人公なんだから、僕が一番出番あるに決まってるじゃん」
<おじいちゃん>
「主役に脇役の気持ちが解ってたまるか!」
<ミール>
「はいはい、解らないからさっさとイベントを起こしてねー」
<おじいちゃん>
「…………チッ」
<ミール>
「舌打ちっ!?」
<おじいちゃん>
「あーはいはいさっさとやりますよーだ。『おお……本当に行ってしまうのか、ミール。そうかそうか、どうしても行くと言うのならば、このわしを倒してからにするがいい!』」
<ミール>
「戦闘イベントかよ!?」
おじいちゃんが勝負を仕掛けてきた!
<ミール>
「あっ、天の声復活した」
どもです。
<おじいちゃん>
「この家からは一歩も出させんぞおおおおぉぉぉぉ!」
<ミール>
「おじいちゃん! 出番ないからってそんなにムキにならなくても!」
<おじいちゃん>
「ならば貴様を主役の座から引き摺り下ろしてやる!」
<ミール>
「あんた孫に何言ってんの!?」
しかも微妙に他作品パロってますねー。おじいちゃんのなく頃に、ってか。
<ミール>
「なんか天の声がおかしくなってる!?」
<おじいちゃん>
「余所見しとる暇は無いぞ! 死ねぃ、ミール!」
<ミール>
「おじいちゃん、言葉がすんごい暴力的なんだけど!」
おじいちゃんはメ●ゾーマを唱えた!
<ミール>
「序盤の敵が発動する呪文じゃねーだろそれ!?」
ミールに140のダメージ!
<ミール>
「ぐふ……ッ! だ、だめだ………これは死――――ってあれ、生きてる?」
ミールはきあいのハ●マキでもちこたえた!
<ミール>
「ゲーム違うっ!?」
おじいちゃんの攻撃終了。反撃のチャンス!
<ミール>
「HPが1しか残ってないってことは、次のターンになったら負け確定じゃねーか!」
そう。ですから、このターンで勝負を決めなければ。
<おじいちゃん>
「くそぅ! 天の声はそっちの味方か!」
行動終了した奴は黙ってろ。
<ミール>
「一ターンで倒さなきゃ負けとかどんな無理ゲーだよ! こっちの武器は、初期装備のボロ剣だけだし………くそっ、なんかスキルは無いのか!?」
―スキル―
・足し算
<ミール>
「これだけ!? しかもなんだよ足し算って!?」
さあ選択を!
<ミール>
「選択、って一つしかねーし! もうこれでいいわ! くらえ!」
ミールの足し算!
<ミール>
「って、エフェクトがただの十字斬りじゃねーかくだらねえ!」
おじいちゃんに4のダメージ!
おじいちゃんを倒した!
<ミール>
「ダメージ少なっ!? そして、おじいちゃんもHP激低!?」
<おじいちゃん>
「ゴブハ……ッ! くそ……結局、わしは噛ませ犬かよ……! ちくしょう……」
おじいちゃんはその場に崩れ落ち、静かに目を閉じた。
チャララララララーン
ミールのLvが1上がった!
<ミール>
「自分の祖父を倒して手に入れる経験値ってどうなんだろ……。っていうか、おじいちゃんどうなったのさ?」
へんじがない。ただのしかばねのようだ。
<おじいちゃん>
「勝手に殺すな!」
<ミール>
「おー、生きてる生きてる」
しぶといジジイだ。
<おじいちゃん>
「ジジイは余計じゃ」
<ミール>
「で、おじいちゃん。これで、このイベントは終わりだよね?」
<おじいちゃん>
「ふん、結果は気に食わんが約束だ。お前が主役のまま、旅に出させてやろう」
<ミール>
「いや、旅に出ること自体は僕も不本意なんだけどね? ……ま、いいや。ありがと、おじいちゃん」
<おじいちゃん>
「礼は良い。さっさと行かんか、バカ孫」
<ミール>
「はいはい………じゃあ、行ってきます」
ミールは家のドアを開け、外の世界へと歩を進めた。
こうして、ミールによる世界を救う冒険の幕が上がったのだった!
<ミール>
「そんなに壮大なものなの、コレ?」
らしいです。