チュートリアル 2つ目のミッション
「ねぇ! 洞窟あるよ! 入ってみようよ!」
「今の所ミッションも何もないし、洞窟入ってみるのもありだな。ユウマはどう思う?」
「進めるのに洞窟に入ってみるのはありだと思うよ。それにこの先に何かあるかもしれない」
洞窟に足を踏み入れてみるものの、想像より湿ってもいなければ、嫌な感じもしない。
灯りを持っていなくても、洞窟を進んでいくとキラキラ光るものが洞窟内を照らしている。
「これって、鉱石みたいな感じかな。綺麗だね」
「流石にこの量だと洞窟内も明るいな」
「売ったら高そう~」
「多分ここにあるものは、もし売ったとしてもそこまで価値が無いと思う」
「こんなに綺麗なのに!」
まずこの鉱石を手に入れる手段がないから、持っていくことも不可能なんだけど・・・。
「あれは、明かりか?」
「もう外なの? ここの洞窟短いね」
「とにかく行ってみよう」
そうして洞窟を抜けたところは、広い市場になっていた。
洞窟の出口からでも分かるほどに人がたくさんいる。
「情報収集のためにも、行ってみよう」
「もしかしたら装備とかも手に入るかもしれないな」
「それなら早く行こう!」
『ミッション 街の教会に向かい職業を選択』
「あっ! 2人も出た!?」
「うん」
「あぁ。そしたら進むところは決まったな」
洞窟を抜けやっと出てきたミッションに半ば安心しながら教会へと向かう。
街に入り、教会を目指すものの、それらしい建物はどこにも存在しない。
ミカの様子を見る感じここまでの道のりでそこそこ消耗している。
「僕は街の人に教会の場所聞いてくるから、2人はこの噴水の前で待っててほしい」
「分かった」
「ユウマありがとう」
――――――――――――――――――
「すみません。お聞きしたいことがあるんですけど・・・」
「ん? なんだ?」
「えっと、教会の場所を知りたいのですが・・・」
「教会? そんなもんこの街にはねぇよ」
そこから商売をしている人に教会の場所を聞きまわるものの、誰も協会の場所を知らない。
怪訝そうな顔で追い返されるだけだった。
ミッションでは教会って出ているのに誰も知らないのは変だな・・・。
日も暮れ、もう少しで太陽が沈みそうで、いったん2人と合流しようと戻ろうとしたその時、漆黒のフードを被った人が話しかけてくる。
「プレイヤーの方ですね。教会の場所へ案内いたします」
「え? なんでそれを?」
「付いてきてください」
話も聞かずについて来いというこの人は何なのか。
疑問に思いながらも別に人を待たせていることを伝える。
「では、その2人も一緒に」
「助かります。噴水の前で待っててもらうよう伝えてますので」
噴水への道中フードの人との会話はなくただ無言で歩く。
なんとなく気まずく思いながらも、自分から話を振るのが苦手な僕は無言で噴水を目指す。
「ユウマ! 遅いよ」
「ごめん。教会を知っている人がいなくて」
「で、そのフードのやつは誰だ」
「この人教会へ案内してくれるって」
レンに近づき耳打ちをする。
「ちょっと半信半疑なんだけど、正直もう手がかりが無くて」
「なるほどな。それなら付いていってもし敵なら・・・」
「うん」
「2人して何話してんの?あたしにも教えてよ」
彼女に話したら明らかに挙動不審になるだろう。
「なんでもねーよ。ほら、行くぞ」
「えっと、教会までお願いします」
「こちらです」
そう言ってフードの人は噴水に手をかざす。
今まで2人が座っていた噴水は半分に分かれ、下へと続く階段が現れる。
フードを被った人が初めに進んでいき、続くように僕たちも降りていく。
「ここが教会に続く階段なの?」
「はい」
「本当にこの先に教会なんてあんのかよ」
「ございます」
2人の質問に一言だけ返すと、また無言の時間へと変わる。
薄暗い階段にコツン、コツンと降りる足音だけが響く。
本当にこの先に教会があるのかは疑問なところだけど、誰に聞いても協会の居場所は知らないどころか怪訝そうな顔をしていた。
それを見てきた僕にとっては、この先に教会がある方が真実味が増す。誰も知らない教会。
それは、きっと誰かが意図的に隠しているのだろう。