暗黒の地 モモ
「おや、いつもニコニコしているモモさんとは思えないほどの表情をしていますね」
「そんな事を話すために知りたいと言ったわけではありませんよね。 ユウマとハヅキから聞きました。 最初は面接のような感じだと。 本名は白土恋百。12月17日生まれ。 血液型はA型。 年齢は今年で26になります。 家族構成は父と母の3人構成です。 そして、あなたが知りたいのは私がこれまでどう生きてきたのか、ということですね?」
「おや、お話が早いんですね。 ええ。 私はあなたがどう生きて来たのか知りたいのです」
私の家は世間一般で言うお金持ち。
父と母は医者で、初めは個人で病院を経営していたらしい。
私が生まれたときにはもう大きな病院を経営していて、成功していた。
私は小さい頃から英才教育だと言われ、外国語はもちろん、医学の論文も読まされ、父にレポートを提出していた。
色んなことを学ぶのは楽しかったしそれほど苦ではなかった。
テストもいつも全国1位、世間は天才が生まれたって騒いでいた。
いつからかそんな生活に嫌気が差し、中学に通う頃には親の言うことを聞かない子供になっていた。
それでも、幼い頃からの教育のおかげで勉強はしなくてもいつも全国で上位には入っていた。
あの日も友達と遊んでいた時だ。
オールで友達とカラオケに行ったその帰り、朝日が目に染みるねって話しながら2人で帰ろうとした。
信号が青に変わり、2人で話しながら渡っていた時に、車が突っ込んできた。
友達が早く気づいて私を突き飛ばしたおかげで、私は擦り傷程度だった。
しかし、友達はそうともいかず、慌てて救急車を呼び、父に連絡した。
父の病院に運んでもらい処置をしてもらう。
でも、父が言ったんだ。
「友達を助けてほしいなら、お前は医者になると約束しろ。 家政婦からお前の行動は全部聞いている。 俺が望む道を歩まないというなら、彼女は助けない。 すでに手遅れだったと、友達のご家族に説明する。 お前が殺すんだ」
「良いよ。 分かった。 医者になる」
その時は私も必死だったから、その時に流れていたニュースなんて見ていないし、情報を知ろうとも思っていなかった。
それが、後から知った話では、全て両親の目論見通りだったようで、友達に車が突っ込むよう裏でお金を払って指示していた。
そのことが世間に公表されることはなかった。
友達の様子がおかしいと思って元気になった頃、問い詰めたら何者かから毎日手紙が届いていたと教えてくれた。
その期限が1か月で、あの日は丁度その1か月だったらしい。
だから、何か起こるのは分かっていたらしい。
相談してほしかったけど、友達が言ったたった一言で私は何も言えなくなってしまった。
「殺されるとか当たり前に怖いけど、それよりも一緒に遊べなくなって馬鹿な話ができなくなる方がもっと怖いよ」
その言葉があまりにも嬉しくて、両親は許せないし、心の底から恨んでいるけど私も医者になれば、救える命があって人を笑顔にできるって思った。
両親の前では自分の心を守るために本性を隠しながら生活してきた。
そんな調子で勉強して、日本でも最難関と言われる大学に主席で入学。
卒業までずっと1位を取り続け、私は父が経営する病院で働くことになった。
外科医として勤務するようになってから、私は父のようには絶対になりたくない。
治すことはしても、傷つける言動だけは絶対にとりたくないと思って患者さんにも接してきた。
それで年齢の近い患者と仲良くなって、退院したらこのゲームやるんだって笑って話してくれた患者がいた。
しかし、その患者は世界でも難病と言われている病気で、私はただただ延命させることしかできなかった。
その患者が亡くなった後、メモを見つけた。
「先生へ。 このゲームきっと俺にはプレイすることができないから、代わりに先生がやって感想教えて」
メモの隣には、患者が見せてくれていたゲームが置かれていた。
そして私は気が付けばこの世界へと来ていた。
ただ、その患者の顔も名前も、本当に難病だった患者なのかすらも思い出せない。




