表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7つの大陸と1つの命  作者: 神月しずく
7つめの世界
66/68

暗黒の地 ハヅキ2




「そんなある日、私はアサヒに誘われてこのゲームを始めたわ」


「この世界に来るまでにあなたは1度死への絶望を身をもって体験したのですね。 では、この世界に来てからのことを教えて下さい」


「ええ。 でも、正直ユウマと出会うまでは本当に普通のゲームだったわ」





 アサヒに誘われこのゲームで初めから2人で行動していた。

 チュートリアル、始まりの地では本当に何事も起きず、ただ職業を選択しただけ。

 それで、休息の地で自分が選んだ職業に合う装備を揃えた。


 砂漠、氷、炎、水、それぞれの地のボスはアサヒと2人で簡単に倒せるものだった。

 もちろん、レベルを念入りに上げていたこともあったのだろうが、それでもあっけなくボスは倒せた。

 

 ユウマ達が話していたような、ぎりぎりの戦闘や、誰かが目の前で死ぬといった場面には一切出会わなかった。

 とはいっても、水の地での戦闘でこの先ずっと2人で進めていくのは大変だと思ってユウマ達のパーティーに加わった。

 

 この世界がどういったものなのか、正直まだ良く分からない。

 それは、私達がそんな酷い場面に立ち会っていないからだとは思うけど、ユウマの話が嘘だとは思えない。

 だから、私は一緒にこのゲームの世界をクリアしようとユウマのパーティーに加わった。




「それで今、ということですか。 でもあなた、私に1つ嘘をつきましたね?」


「なんのことでしょう?」


「良いですよ。 大丈夫です」



 マコトがそういうとハヅキの周りに映像が流れた。

 それは、このゲームの世界での映像ではなく、現実世界の映像だった。


 その映像には、包丁を片手に立ち竦む少女がいた。

 少女は全身痣だらけで、包丁を持っていない左手はおかしな方向に曲がっていた。

 包丁からは真っ赤なものが滴り、目の前ではお腹を押さえる中年の男性。

 そんな中年の男性を、少女は穏やかな顔でただぼーっと見つめていた。



「これは一体なんでしょうか?」


「なっ」


「この映像に映っている少女はあなたですよね。 心葉月音さん」


「はぁ・・・。 ええ、そうよ」


「この時のこと、あなたは覚えています」


「そうね。 だってお腹が空いていたんですもの。 それに、毎日毎日殴られ蹴られ、食事も与えてもらえず、給食もお金を払えないから無し。 限界だったのよ」


「限界ですか」


「ええ。 だから殺した。 このままでは身体も心も壊されてしまうと思ったのよ。 こいつから逃げることはできない。 それなら、殺してしまえば良いんだと思ったのよ」


「初めて殺したときの感情は?」


「最高だったわ。 これで生きられるって思ったんですもの。 ずっと私があの男を見上げてた。 そんな男が私の下に崩れ落ちているのよ。 恐怖に満ちた目で私を見上げているのよ? 本当に傑作だったわ!」


「素晴らしい。 人間という生き物は醜く、儚い。 そして、生に対して貪欲。 あなたは私にそれを教えてくれた。 ありがとうございます。 私はとても満足です」


「終わりってことでいいかしら?」


「ええ。 ええ。 ありがとうございます。 明日はモモさんですね」


「では、失礼するわね」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ