暗黒の地 ハヅキ
「今日もとても良い天気ですね。 ハヅキさん、今日はあなたの事が知りたい」
「ええ」
「まずは本名を、漢字も一緒に教えて下さい」
「心葉月音。 心臓の心に葉っぱの葉、月の光の月に音楽の音で心葉月音よ」
「とても綺麗な響きですね。 私好みです。 次は誕生日と血液型を」
「誕生日は7月18日です。 血液型はO型ね」
「なるほど。 では、年齢と家族構成を」
「年齢はこの世界で24になったわ。 家族構成はおばあちゃんだけよ」
「では、心葉月音として、どう生きてきたのか教えて下さい」
「あなたは本当に悪趣味なのね。 でも、必要なことですからお話します」
私は産まれてすぐ、忌み子だと言われた。
これまで大きな病気を一切しなかった母が私を産んだと同時に死んでしまった。
小学校に上がってすぐの事だった。
それまでご飯もろくにもらえず、父の機嫌を損なえば暴力を振るわれる、そんな毎日だったが、父がある日自殺していた。
学校が終わり、家に帰ると父が首を吊っていた。
それからは父方の実家で生活するようになった。
母方の実家は私の事を嫌い、施設に入れようとしたから。
父方の実家ではおじいちゃんは私が生まれる前に亡くなっていて、おばあちゃん1人で生きていたらしい。
父に殴られていることも、ご飯をもらっていないこともおばあちゃんは知らなかった。
おばあちゃんと暮らすようになってからは、毎日が本当に楽しかった。
これまでご飯をちゃんと食べてこなかったからか、おばあちゃんが作るご飯がとても美味しくて大好きだった。
そんな生活を送っていたある日のことだった。
ある日、おばあちゃんが父に兄妹がいることを教えてくれた。
父の妹が、おばあちゃんちに遊びに来た。
そこで出会ったのがアサヒだった。
私より年下のアサヒは人見知りで、あまり話さない子だった。
それでも、アサヒと一緒に遊ぶのは楽しかった。
でも、楽しい時間も幸せな時間もあっという間で・・・。
高校生になった私は学校から帰る電車の中でいきなり気を失った。
次に目を覚めたのは病院のベットの上だった。
腕には点滴が、よく分からない機械に私は繋がれていた。
目が覚めた私は先生に言われて色んな検査をされた。
癌だった。
既にいろんな場所に転移していて、直すのは難しいとのこと。
どうせこのまま死ぬなら、自分のやりたいこと全部やろうと思った。
医師も納得してくれて、私は退院してからやりたいことを書きだした。
治らないと言われて、何回も、何十回も絶望した。
どうして、なんで、神様は酷いって恨んだこともあった。
それでも、やりたいことを書き出して、やりたいことを1つずつ達成していった。
本当なら1年も生きられないって言われていた私は、生に対する執着心で気が付けば高校を卒業していた。
病院からは奇跡だと言われ、癌が転移していたと言われていたものも完治していた。
私は、生への執着心で癌に勝った。
死ぬまでにやろうと書き留めたものも、これからやりたいことに変わった。
どうせ死んでしまうって思っていたから、勉強も何もしなかった。
でもこれからまだ生きられる、それなら、自分がなりたいものになろうって決めた。
おばあちゃんが作ってくれるお菓子が本当に美味しくて、レシピを教えてもらっていいくうちに、このお菓子に合うお茶はなんだろうと、紅茶の勉強を始めた。
そして、個人でやっている喫茶店で働きながら勉強して過ごしてた・・・。




