暗黒の地 経緯と疑問
「真っ暗だね」
「ミカ、魔法で照らせる?」
「魔法使うのも久しぶり! それじゃ照らすね!」
ゲートを潜った僕達は次の世界である暗黒の地へと足を踏み込んだ。
ミカの魔法で照らしても見える場所はほんの1、2m先しか見えない。
「私も手伝うわね」
ハヅキの魔法が加わっても、見える範囲がほんの少し広がっただけだった。
「これだけ真っ暗だとモンスターが現れても分からないし、モンスターからしたら私達の方が格好の餌かもしれないね」
モモの言う通りで、これだけ真っ暗な世界で明かりがあるのは僕達がいる場所だけ。
そんなもの、向こうから襲ってくれと誘っているようでしかない。
「これだけ暗いと弓使いであるアサヒは役に立たないわね。 ユウマ達のパーティーに入れてもらって良かったわ」
「お前はいちいち一言多い。 でも、確かにハヅキの言う通り、俺はこの場所では役に立たない」
「でも、敵が出てきそうな・・・なんて言えばいいか分かんないけどその感覚ないんだよな・・・」
「レンはすーぐ勘に頼ろうとするんだから」
「ミカだって俺の勘が良いのは知ってるだろ」
「レンって勘良いんだ? 確かにそう言われてみればベルゼブブだっけ? 暴食のボスと戦ったとき、私達よりも攻撃避けてたね」
確かにこれまでもレンの勘の良さに救われたことは何度もあった。
そのレンが何も感じないということは、上手く気配を消しているのか、本当に敵がいないのか・・・。
どちらにせよ、前者だった場合のことを考えたら警戒はし続けておいた方が良いかもしれない。
「でも、これだけ暗いとどこに向かえばいいのかも、言葉の通りお先真っ暗よ」
「木でもあれば、それに火をどんどん点けてそれを目印に進んできた方向が分かるんだけどね」
「モモの言う通りだよね。 これじゃちゃんと真っ直ぐ進めているのかも分からないもん」
「1回どう進むのが最適か、全員で話し合うべきだと思うが」
「そうね。 これだと、時間だけがかかってしまうかもしれないわね」
アサヒの言葉に全員が頷く。
「どうしたら・・・」
話し合うとは言っても、これだけ暗く何もないこの場所ではどうすればいいのか、誰も言葉が出なかった。
「こんな時は、甘いものでも食べて、ちゃんと糖分摂取して考えよ!」
「単純にお前が食いたいだけだろ!」
「レンは黙っててくださーい!」
「私もミカにさんせーい!」
「私も賛成だわ。 紅茶も一緒に入れましょうか」
ミカ、モモ、ハヅキの言葉にレンとアサヒは呆れた視線を送る。
「それなら、このタイミングでこれまでの事話そう。 どうかな?」
「俺もそれで良い」
「ったく・・・」
僕は始まりの地で起きた出来事、アイさんやミアの事、ミカが一度殺されたこと。
ゲームマスターによってマリンが殺されたこと。
その全てをハヅキとアサヒに告げた。
「ねぇ、あまり疑問に思っていなかったんだけど1つ良いかな?」
「ん?」
「ユウマとミカ、レンは始まりの地から一緒にいるからあれなんだけど・・・、私は炎の地で一緒になったでしょ? この世界って7つ世界と休息の地があるんじゃん? それで、ボスって全部7つの大罪だと思うんだけど、私もレンとユウマと出会うまでに色欲と憤怒のボスと倒してるんだけど・・・」
「私達も色欲、憤怒、傲慢、暴食のボスを倒しているわ。 手応え無く簡単に2人でも倒せたわ」
「ちょっと待て。 それじゃあその7つの大罪であるボスは、俺達が倒した以外にももっといるってことか?」
進めていくたびに謎が深まり一向に答えに近づけない。
「モモ、ハヅキ、アサヒ達のこのゲームを始めたきっかけってなに? 私達は誰かに誘われてこのゲームを始めたんだけど、その『誰か』が分からないんだ」
「私も誰かに誘われて始めたよ」
「私はアサヒに誘われたのよね」
「俺も皆と同じ。 誰に誘われたか全く覚えてない」
まず、このゲームをプレイしている人は全員誰かに誘われて初めて、その肝心の誰に誘われたか全く覚えていないことが確実になった。
少しづつでも、あやふやな部分を確実にしていく事も必要かもしれない。
「これって順を追って全員の話した方が良いかもしれないね」
「ああ」
「僕達はさっき言った通りなんだけど、始まりの地での最初のミッションってなんだった?」
「私は大きなイノシシみたいな獣を檻を壊して逃がすことだった」
「イノシシみたいな獣? その場所って洞窟の近くだったりするかしら?」
「え? そう! なんで!?」
「俺達が洞窟に入った時、ミッションが出て獣を洞窟の外に誘導して檻に閉じ込めるのが最初の・・・」
それって完全に・・・。
「繋がってる・・・。 ハヅキとアサヒが誘導して檻に閉じ込めて、モモがその檻を壊して、ミカとレンが倒して、傷口から出た血で川が汚れたのを僕が治して綺麗にする・・・」
それだとマリンや他のプレイヤーは何をしたんだろう・・・。
「3人は始まりの地で職業選択しなかった?」
「黒いフードの人に連れられて私は猛獣使いに・・・」
「私達も同じね。 その時にアサヒがこのゲームからログアウトしようとすれば、現実世界で死ぬって・・・」
「私もそれ言われた! でも、それ以外は何も覚えてないんだよね」
僕だけが、あの場所でのことを覚えているってこと?
どうして?
何のために?
「ユウマだけがあの場所でのことを覚えているのか」
「そうみたいだね。 何の為かは分からないけど・・・。 3人は始まりの地で戦った?」
「ううん。 気が付いたら休息の地にいたよ」
「私達もモモと同じね。 武器とか防具も休息の地で買ったものよ」
話を聞けば聞くほど謎が深まって、更にこの世界は何をしたいのか分からなくなっていく。




