水の地 強敵
ゲートを潜った僕達は次の場所である水の地へと降り立った。
真っ暗な洞窟で天井は所々穴が開いており、月の光に反射された水辺がキラキラと光っている。
足首が浸かるくらいの水で覆いつくされ、気を付けなければ足元を取られてしまう。
「この場所での戦闘は気を付けないと危ないかも」
「しっ」
「どうした?」
「奥の方から何か音がする」
「敵かもしれないし静かに行ってみよう」
「ああ」
水の中を歩いているようなものだから完全に音を消すことは難しかったが、近づけば近づくほど音はどんどん大きくなっていった。
「他のプレイヤーかな」
「多分」
それなら協力して敵を倒して先に進めるかもしれない。
淡い期待を抱きながら音のする方へと向かう。
「おい」
音の主を見つけたとき、僕は咄嗟に顔を背けた。
「モモ、大丈夫?」
「うん。 って言いたいけどこれはちょっと・・・」
「モモはもう見るな。 ユウマ、あれは・・・」
その場景は見るに堪えないほど、悲惨なものだった。
一面は真っ赤に染まり、そこら中に腕や足、頭、お腹をまるで食いちぎられたかのような死体。
そして、6人で組んでいたのかまだ生きているプレイヤーが必死に逃げている。
それを面白そうに笑いながら追いかける大きな体をした男。
1人、また1人と捕まっていく。
捕まった人たちは皆、足やお腹だけを一口食べられ身動きできずその場でうずくまる。
「もしかしたら・・・」
「あぁ」
「ボスなの?」
目を背けているモモが小声で問いかける。
「多分そうだと思う」
「暴食の俺はいくら食べても腹が減る。 お前たちはこれから、ベルゼブブである俺の栄養になるのだ」
「レン、いったんここは引こう」
「おう」
僕達は音を立てないよう、来た道を引き返す。
ゲートを潜ってからあの場所まで1本道。
更にはこれまでいたモンスターは1体も現れなかった。
「普通のモンスターまでもがあのボスに食べられてるのかもしれない」
「レベルアップもできないから、いきなりボス戦ってことになるな」
「かなりきつい戦いになるかもしれないね」
それにあのボスの残虐さ。
あの感じを見るに、これまでのボスよりも質が悪い。
いきなりボス戦になるとは思っていなかったことから、心臓がまだ落ち着かない。
「生きてたプレイヤーはもう・・・」
「あいつに今頃食べられているだろうな」
「ここに来るまでずっと叫び声があったけど、今はもう無いってことは・・・」
逃げていたプレイヤーを見たところ、あの場所はこことは違い膝元まで水があった。
ボスの身体は、手足に水かきのようなものがあり、口だけはワニのように大きかった。
あの場所ではボスの方がかなり有利だ。
「でも、あいつを倒さないとここからは出られない・・・」
「そうだな」
「覚悟、決めないとだね」




