炎の地 再び
僕とレンで話た後、モモは驚くぐらい不機嫌になった。
それは、僕やレンに怒っているわけではなく、マリンに対しての怒りだった。
そしてモモはミカの事を知らないのに、話を聞いたモモは僕達がちゃんと泣けなかった代わりに涙を流してくれたのだ。
「もし何かの間違いでそのマリンって子が現れたら私、本気で怒るからね! 絶対に止めないでね!」
「もう二度と会うことはねーだろ。 それに、会ったとしてもその時は俺も流石に黙ってねーよ」
レンとモモにレオン、この人たちを敵に回したらそれこそ本当に終わりな気がするよ。
「それじゃ、もう今日は休もう! 明日、ここのこと私が分かる範囲で説明するね」
「助かる」
「ありがとう。 それじゃお休み」
「お休みなさいー! ユウマ、しっかり休むのよ!」
「俺がその辺は監視するから安心してくれ」
どうやらレンとモモは意気投合しているようだ。
レオンのおかげかもしれないけど・・・。
そして、僕たちはテントに入り、目を瞑る。
「ユウマ、もうあいつは俺たちの前に現れねぇ。 お前顔にも声にも出してないけど、相当マリンの事恨んでるだろ」
「そんなこと・・・」
「分かんだよ。 お前の目がそう言ってる。 許さない、憎い、恨み足りない、呪いたい、死ねばいいのに、そんな感情が少しずつ混ざり合ってぐちゃぐちゃになってるような、そんな目をマリンのことを話したときにしていたんだよ」
「知らなかった・・・」
「多分、そういうのを見てモモは泣いたんだと思うぜ。 それに、モモは俺達より年下だと思うんだよな。 あまり心配かけないように、明日から切り替えていこうぜ」
レンもこう言ってくれている。
確かにずっとうじうじしていられない。
頭では理解していても心はそう簡単に切り替えられなかったらしい。
「助けられてばかりだな・・・本当に・・・」
あまり眠れていなかったからか、僕はそのまますぐに深い眠りへと落ちて行った。
「ユウマ君~」
聞きたくない声がどこからか聞こえてくる。
「ねー起きてよ~。 早く起きないと、キスしちゃうよ~。 あ、キスされたいから敢えて寝たふりをしているんだね! もう! ユウマったら照屋さんなんだから~」
「・・・は?」
「あれ? 起きちゃったの? つまんないのー」
「レン!! 起きて!!」
「なんだよ・・・」
「目を開けて! マリンが・・・」
「あ?」
僕のその言葉にレンが飛び起きる。
冷静になったところで、テントの外からは低く唸るような声がこの洞窟に響き渡っていた。
「てめぇ、なんでここにいんだよ」
「レン君に教える筋合いないでしょ?」
「ユウマ! レン! 大丈夫!? レオンがかなり威嚇してるから・・・って」
声をかけながら中に入ってきたモモはマリンを見て動きが止まる。
「ユウマ君ひどいんだから・・・。 私がいるのにもう他の女の子をたらしこんでるの~?」
「ユウマ、レン、昨日話してたマリンってその人?」
「うん」
「マリン、てめぇ何しにここに来た。 ミカを殺しておいてよく俺とユウマの前に顔だせたな」
「だってぇ、ゲームマスターさんがいきなり表れて、主役は君なんだから早く行きなさいって、私専用でゲートを開いてくれたんだ~」
「どういうことだよ」
「さぁ? なんかー私はここにいないといけない存在なんだってぇ~。 ほら、私ってばかわいいし、優しいし、天然でほっとけないヒロインでしょ?」
「レオンダメだよ。 確かに豚みたいに丸々していて美味しそうかもしれないけど、食べたら身体に毒だからね」
「どうして、ユウマを好きな人は皆私に酷いこと言うんだろ・・・。 まぁ、なんでもいいよ! 今度はあなたの事、殺すね!」
「私のこと本当に殺せると思っているの?」
「だって、どうみてもその虎がいないとなにも出来なさそうじゃない~? ミカちゃんよりも簡単に殺せそうでつまんなそう~」
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「どうしてマリンが炎の地の更に白虎でしかいけない『洞窟』にいるのか・・・。 ゲームマスターの私から説明させていただきます。 先ほど皆様に問いかけた質問がありました。 彼女を『連れていく』か、『置いていくか』か、といった質問です。 ほとんどの方が、『置いていく』を選択しましたが、やはりそれではつまらない。 私の勝手な判断で『連れて行く』ことに決めました。 それなら、聞いた意味が無いだろ・・・ですか? そうですね。 正直ありませんでした。 が、次に問うものは貴方様の考えできっと展開が変わるでしょう。
マリンを『連れて行く』か、この場で『死んでもらう』か。
悩んでる皆様に、助言を致しましょう。 『連れて行く』場合、彼女はきっとこれから先も出会う女プレイヤーをどうにかして殺していくでしょう。 魔法も回復以外使えず、ユウマ以外回復しない彼女。 お世辞にも、可愛いとも普通とも言えない外見、そして、細いとも、太ってないと思う、とも言えない体型、歪みすぎた性格、自分が1番可愛いと思い込んでしまった可哀そうな女の子。 はたして、彼女が女の『子』なのかすらも怪しい中、貴方がユウマやレン、モモの立場になって考えたその時、貴方様は『連れて行く』かこの場で『死んでもらう』か、どちらがよろしいですかねぇ? 私ならユウマやレン、モモにはもっと苦しんで頂ければ、それこそ最高のスパイスですが、苦しむ姿、絶望する姿、打ちひしがれる姿、心が折れる姿、貴方様が見たくないと、もう幸せになってほしいと、ミカやミアの願いと同じように早く真相を見つけ出してほしいと、そう思うなら、私はマリンが『死ねる』絶好の舞台をご用意致します。
さぁ、貴方様のお心はお決まりになりましたか?
マリンを『連れて行く』か、マリンに『死んでもらう』か。
かしこまりました。 全ては貴方様の仰せのままに・・・」
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「どこだここ」
「崖の上?」
「さっきまで僕達洞窟の中にいたのに・・・」
いきなり崖の上に連れてこられた? 僕らは動揺しながらも周りを見渡す。
下の方からは、波が崖にぶつかる音が響き、かなり荒れているようだ。
それに、雷雨が重なり、海の方では雷が短い間隔で落ちている。
「こんばんわ。 おや、ゲーム時間でいうとおはようございますでしたね。 皆さんお久しぶりです」
「ゲームマスター・・・」
いきなり変わった場所に連れていかれ、更にいきなり表れたゲームマスターにレンが苛立ちを隠さず睨みつけていた。




