氷の地 嘘
城の中に入り、周囲を簡単に調べるもただ静かなだけで、敵は1体も出てこない。
静まり返った城はどこか不気味だった。
「絶対あそこの扉の先だよね・・・」
「そうだろうな。大丈夫か?」
「大丈夫。倒さないと先に進めないんだから」
「だな」
4人で行動するようになって、関係がおかしくなって、僕は2人と会話をすることが無くなった。
そのせいか、先に進むかどうかなども、全てミカとレンが決めている。
僕はただただ2人に付いていくだけだ。
レンは扉に手をかけ、ミカと顔を合わせて頷く。
「待ちすぎて怒りが抑えられねーぞ」
「この世界のボスか・・・」
「ボスって・・・。 俺にだってちゃんとした名前があるのにそれを聞かずにいきなりボスは流石に怒り狂いそうだぜ?」
「じゃあお名前は・・・?」
「俺は憤怒のサイス。この氷の地のボスってことだな。意味わからねーな。本当にふざけてるぜ」
憤怒の神だから怒っているのか?
色欲では妖艶な感じの人だった。
「お前ら俺の相手になるぐらい強いのか?」
「その女の子はすーっごく強いですよ~」
「それなら俺と戦え」
「えっ」
「そこの女、まさかとは思うが俺に嘘はついてねーよな? 嘘は嫌いだ」
「嘘じゃないですよ~。私も嘘は嫌いです! でも、サイスさんが強かったら、もしかしたらその女の子のミカちゃん負けちゃうかもしれないですけどぉ~」
「俺が強いのは当たり前だな。なら、俺とそこの女2人きりで殺ろうぜ」
サイスはそのまま言い終わるが早いか、すでにミカの顔面を目掛けて蹴りを入れようとしていた。
助けなきゃ・・・。
「ユウマ、まさか助けようなんてしてないよね?」
「離せ!」
「離さないよ」
マリンと言い合いをしているうちに、ミカのHPはどんどん減っていく。
回復する余裕すら与えてくれず、攻撃を受けるばかり。
何とかミカの攻撃も当たるが、相手はボスだ。
「弱いな」
「あたしは前線じゃなくて後衛で後ろからカバーする方が得意だから・・・」
「俺に嘘ついたのか・・・」
「ユウマ助けて! ミカちゃんが強いって言ったのユウマでしょ!」
「なるほど。めんどくさいな。まとまって来いよ。全員殺してやる!!」
ボスであるサイスが他の人に意識を向けたのを見逃さず、その隙にミカは回復の呪文を唱える。
僕はミカやレンへの申し訳なさから、1人で突っ走りボスへと向かう。
ほんの少しの瞬間に、後ろから舌打ちが聞こえてきた。
誰が舌打ちしたのかは考えなくても分かる。
「お前が最初の獲物か。いいぜ」
涼しい顔をしながら飄々と僕の攻撃を避ける。
「お前はそこそこ強いらしいが、俺には勝てないぜ? じゃーな」
僕は死ぬ。
この一撃はこれまで見てきた攻撃の比にならない。
きっとこの一撃で僕を殺して他の3人も殺すつもりなのだろう。
「えっ・・・?」
僕に攻撃は当たらなかった。
目の前には真っ赤に飛び散っていく血。
驚いたように目を見開き、口から血を吐き出しながら倒れ込む彼女。
その後ろでは楽しそうに、嬉しそうに笑うもう1人の彼女。
状況が理解できない。
思考が何もかも全て止まった。
「許さない」




