氷の地 小さなひび
氷の地へとゲートを潜った僕たちは1つ問題にぶつかっている。
「あんた離れなさいよ! さっきユウマはあたしと付き合ってるって言ったでしょ!?」
「ユウマ君ーあの子ずっと怒鳴ってて怖い~」
「いや、あの離れてほしいかな」
「えーでも私寒いんだもん」
「さっき寒さが大丈夫になるように薬飲んだじゃない!」
「私寒がりだから飲んでもダメなんだー」
なぜか僕はマリンに腕を組まれている。
その様子をミカが怒っている状況だが、元々僕は強く言えない性格のせいか、マリンは離れる素振りを見せない。
「あの、マリン・・・」
「ん? なーに?」
「歩きにくいから離れてほしいな」
「ユウマ君は私が凍死してもいいの?」
「あんたいい加減にしてよ!」
「ミカちゃんはナマケモノ腕に付けてるから暖かいでしょー?」
「レンからも言ってよ!」
「お前らが言い合ってるせいでモンスターに囲まれたぞ」
「ユウマ君守って~」
「点火!」
どうやらミカの怒りが魔法にも影響しているようで、攻撃力が増していた。
「1発かよ・・・」
「ミカありがとう。ねぇマリン、こうなる事があるからやっぱり離れて」
「そこまで言うなら・・・」
「ありがとう」
「そういえばユウマ君はミカちゃんのどこが好きになったの?」
「ミカの? どこだろ・・・。気づいたときには失いたくない。絶対に守ってあげなきゃってそう思ったんだよね」
「それなら、私にもまだまだチャンスがあるってことだよねー。ほら、私ミカちゃんより弱いし! さっき見てなかったけどモンスターも1発で倒しちゃうんでしょ?」
「僕が好きになったのはそういう守るってのもあるけど、それだけじゃないよ」
「ふーん」
納得してくれたのか、それ以降は話しかけてこなくなった。
しかし、相変わらず隣をずっとくっついていて、正直腕を組まれていた時よりも歩きにくい。
少し離れようとしてもすぐにくっついてくるマリンに僕は諦めレンに話を振る。
「砂漠の地では結構すぐにボス見つけられたけど、この場所でのボスってどの辺なんだろう」
「さぁな。ただ、ボスの前に出てくる他のモンスターよりも強いやつが出てきたらボスに近いってことなんじゃねーのか?」
「何か目印とかがあればいいんだけどね・・・」
「あるよ目印」
「え?」
「ミカってさ・・・本当に見つけるのうまいよな」
「そりゃあたしだって2人の役に立ちたいからね。戦闘じゃ主力ユウマとレンじゃん。それ以外ではあたしだって頑張るよ」
「戦闘でも十分ミカに助けられてるよ。僕も、レンもね」
「やめてよ、もう! ほら、読んでみよう!」
ミカが見つけた看板には、『右側へ進め』といったシンプルなものが書かれていた。
「うーん。罠?」
「あ、小さく何か書いてあるよ」
それを読んでみると、『嘘なんて嫌いだ!』とだけ書かれている。
「それじゃあ、進んでみようよ~」
それだけ言ってマリンは反対側の道へと進み始める。
「あんた右も左も分からないの!?」
「間違えちゃったー。私、天然だからぁ。ごめんね? ミカちゃん」
いくら天然だったとしても左右は分かるだろう・・・。
確か左利きの友達がこんなことを言っていた。
『お箸を持つ方が右、お茶碗を持つ方が左って俺教わってたから右って言われると咄嗟に左に行っちゃうことがあるんだよな』
『そうなことあるんだ』
『右利きの奴がほとんどだろ? だからそう教わってるとたまに間違えるよな。まぁ、すぐこっち左じゃねーか! って気づくんだけど』
そう笑いながら話していたことを思い出した。
しかし、彼女のこれまでの行動を見ていた感じ、右利きだろう。
「ユウマー? レンもう行ってるよ? 大丈夫ー? 意識戻っておいでー」
「あ、ごめんミカ。ちょっと前に友達と話していたことを思い出して・・・」
「ふーん? それ面白い話?」
「面白いかって言われたら、ふーん? って思うだけの話しかな」
「もう! 今真似したでしょ!」
「まぁまぁ。ほら、レンが待ってるから行こう?」
「そうやってすぐ話逸らすんだから! 行くけど!」
本当に表情がクルクル変わって可愛いと思う。
「私のユウマ君にそんな近づかないでよ」
「「は?」」
マリンの言葉が聞こえたレンとミカが思わず言葉が被る。
「あの、僕とミカは付き合ってるしマリンのものになったつもりはないよ」
「じゃあどうして私をこのメンバーに入れたのよ」
「女の子1人で進めるにはかなりきついと思ったからだよ」
「あのね、ユウマは基本的に相手がどんな性格でも、困っていたらほっとけないの。それはあんたも例外じゃないから」
「ミカの言う通りだぜ。お前が入る隙はねーの。理解しろ」
「あ、ごめーん。ぼーっとしてて何も聞いてなかったー。ユウマ君行こ?」
そう言って、マリンは僕の手を掴んで進んでいく。
振りほどこうとしても、驚くほどに力が強いのか分からないけど振りほどけない。
ミカにはマリンと離れたときに謝りに行ってちゃんと事情を話そう。
「私と約束してほしいんだけどね、このエリアにいる時だけはどんな危ないときでも私を1番に助けてね? それと、ミカちゃんとあまり話さないこと。敵が出て来た時の会話は良いけど、それ以外は禁止。それ破ったら、ミカちゃん、死んじゃうかも」
「え?」
「だって、正直ミカちゃんとユウマ君って全然お似合いじゃないしー、私とユウマ君の方が絶対お似合いだと思うんだ~。とにかく、このエリアで私の事優先してね」
ミカが死んじゃうかもしれない。
その一言で僕は約束をしてしまった。
「あ、あとこの話ミカちゃんともう1人の方に話したら分かってるでしょ?」
「・・・言うとおりにするよ」
このゲームの中で死んでしまったらミカは現実でも死んでしまうことになる。
守りたいと思った人を死なせてしまったら僕は一生後悔するだろう。
約束を破ったらミカがどうやって死んでしまうのかは分からないが、その可能性を少しでも低くするためには言うことを聞くのが得策かもしれない。
「やっぱりユウマ君は私のこと好きなんだね」
ミカとレンに聞こえるように言い放ち、ミカが話に入ってくる。
「はぁー? だからユウマはあたしの彼氏だって言ってるじゃん。ね? ユウマ」
ミカの問いかけに頷くだけ、何も言葉は発さない。
好きな子に言葉を伝えられないのはしんどいが、ミカの命を考えれば我慢できる。
「なんで何も言わないの?」
「ユウマ君はミカちゃんと話したくないって」
「は?」
「さっき、そのことで私に相談してきて。ミカちゃん、ユウマ君がごめんね?」
本当は違うんだ。
それでも、ミカがいるこの状態で言葉を出せば約束を破ることになる。
ミカ、ごめん。
「本当なの?」
「本当のことしか言ってないよ~」
僕が首を横に振るも、マリンが僕の前に立ち、それを見られないようにする。
僕が何も言わなかったことからミカは本当の事なのだろうと勘違いして怒ってしまった。
「あっそ。レン、行こ」
「あぁ」
ミカとレンの冷たい視線。
この世界から出たとき、全て訳を話すからそれまで勝手だけど待っていてほしい。
4月に入り、新しくまた1歩踏み出す皆様おめでとうございます。
これから新しく変わる方が多いと思います。
大変なこともきっと多くあることと思います。
それでも、頑張る皆様を尊敬し、応援しています。
私も4月から新しいことが増えますが、小説の更新頻度は変わらず毎日20時に上げられるよう頑張りますので、よろしくお願いします。
固くなってしまいましたが、私は初めてのこの小説を読んでくださる皆様が大好きで、心の励みです!
こんな私ですがよろしくお願いします!




