砂漠の地 クリア
「ん・・・」
「ミカ!? 大丈夫!?」
「あ、ユウマ・・・。眠らされてただけだから大丈夫だよ」
「じゃあ毒って言ったのも死ぬって言ったのも全部嘘だったのか・・・」
「!! ベルは!?」
「あそこに・・・」
プレイヤーだと分かり、僕たちはベッドに運び、シーツを上からかけた。
真っ白だったシーツは真っ赤に染まっている。
ミカには見せたくない。
「彼女はプレイヤーだったんだ」
「そんなっ・・・でも、それならどうしてあたし達を殺そうと・・・」
「分からない。助けてって言ってた。きっとその助けを求めた人間が僕たちが求めてる真実を知っているんだと思う」
「そう・・・だったんだ。それなら、きっとベルも被害者なのかもしれないね」
そっと顔が見える位置までシーツを下げる。
ベルフェールは泣いていた。
ミカは泣きそうな顔を一瞬するも、すぐに手を合わせる。
「ミカ・・・」
「レン、ユウマ・・・帰ろう。休息の地に」
「ああ」
入ってきた扉はゲートに変わっていて僕たちは休息の地へと戻る。
「どういうことなんだろうね」
「意味が分かんねぇ」
「そういえば、ミカが一緒にゴーレムの所に投げられたときモケは大丈夫だったの?」
「うん。モケは大丈夫。どこも怪我してなかったよ」
「とりあえずここで話してるのもあれだし、ホテルの談話室行こうぜ」
「そうだね。その前に何か適当に食べ物買って行こう」
「あたしあまり食欲ないかな・・・」
「それでも、少しは何か食べた方がいいよ」
「ユウマの言う通りだ。何かしら胃に入れとけ」
市場で適当に食べ物を買った僕たちはその足で談話室に向かう。
「「「・・・・・・・・・」」」
何か言いたそうな雰囲気はあるものの、誰も言葉を発せない。
しかし、ここできちんと話さないと何も変わらない。
「ミアのこと、街の人のこと・・・。きっと全員僕たちと同じプレイヤーだ。それと同時にベルフェールもプレイヤーだった」
「俺達プレイヤーは攻撃を受ければ血が流れる。でもモンスターは血も出ずブロック状に消えていくだけ・・・」
「ベルフェールはもしかしたらこのゲームをプレイして、そのまま何かのきっかけでボスとして、記憶を書き換えられたんじゃないかって思ってる」
「記憶を?」
「うん。僕の推測にはなるんだけど、職業を選択した時に、ゲームマスターが言ってた。思考にデータを入力って。つまり、それは人の思考を操作できるってことなんじゃないかなって思ったんだ」
「ゲームマスターか・・・」
「僕の推測に過ぎないから本当のことは分からないけど」
「でもユウマのその推測、結構合ってるんじゃないかな? ベルはね、本当に楽しそうだったんだ。一緒に寝たときも、凄く話盛り上がったし・・・。でも、昔の事っていうのかな? 全然覚えていなかったんだ。まるで何かに言わされてるかのように自分の事のはずなのに、どこかベルのことじゃないような・・・。ちょっと説明するの難しいんだけどね」
「そうなると、これからの世界で戦うボスは皆プレイヤーってことになるな」
「そうだね・・・」
「どうにかしてボスを倒さず真実を見つける方法があればいいんだけど」
「話は通じるだろうが、そんな簡単にはいかねぇだろうな」
「やっぱりそうだよね・・・」
「なんか嫌な展開になってきたね・・・」
「でも、俺達も必死なんだ。例え同じプレイヤーを倒していくことになっても、真実を見つけられなければずっと同じような人が増えるだけだ」
「レンの言う通りだね」
「僕たちは必ず真実を見つける」
「うん」
「ああ。俺は先に行くわ。ミカ、ユウマが話したいことあるらしいぜ」
「え?」
「じゃあな」
「え? ちょ、レン!?」
ニヤニヤしながら部屋を出ていくレンを止めることも出来ず、ミカと2人きりになる。
「それでユウマ、話したい事って?」
「え、それはレンが勝手に・・・」
「じゃあ先にあたしが話したい事、話してもいい?」
「うん。なに?」
「ユウマと最初に出会ったとき、アイが死んだっていうのが分かったすぐ後だった。それでユウマはどこか信じていなかったでしょ? 本当は凄くムカついたんだ」
「ごめん・・・」
「いいのいいの。だってあたしも逆の立場だったらユウマと同じ感じだったと思うもん。でも、そんなユウマがアイのことゲームマスターに聞いて殺意湧いたって言ってくれて、なんか凄く嬉しかったんだ」
「ミカからアイさんの事聞いたし、レンのこと見てたらどれだけ大切か分かったから、会ったことも話したこともないけど、そんなアイさんを救いたいって思ったんだ」
「その気持ちが凄く嬉しいんだよ。レンも言葉にはしないけど、ユウマには凄く感謝してた。あたしも一緒。って、こんな話じゃなくてさ・・・その・・・」
「ミカ、やっぱり僕が先に話してもいいかな?」
「あ、うん」
これまでのミカの笑顔や泣き顔、そしてベルフェールに刺された時のことを思い出す。
「失いたくない、そう思ったんだ。ミカ、好きだよ」
「え・・・うそ・・・」
「本当だよ。僕にとってミカは守りたいと思う可愛い女の子なんだよ。僕の方が年下なのは分かってる。でも、それでもミカを守りたい」
「嬉しい・・・」
「僕が話したいのはこのことだよ」
「あたしもユウマが好きだよ。自覚したのはユウマがあたしを女の子扱いしてくれた時なんだけどね」
ミカも同じ気持ちでいてくれたことがこんなに嬉しいものだと僕は初めて知った。
「僕と付き合ってくれますか?」
「もちろんだよ!」
人は大切な人ができたときに強くなるっていう。
僕はミカを守るためにもっと強くならなければいけない。
そして、必ずこのゲームを終わらせる。




