砂漠の地 ベルフェール
「ミカにはね~私の毒を打ってあげたのよ? 幸せなまま死ねるそんな毒」
「ふざけんな!」
「そんな怒鳴らないでよレン君? 誰も助けられないなんて言ってないじゃない」
勿体なさそうに笑う姿に流石の僕も怒りを覚える。
「あなた達2人が死ねば助けてあげるわ」
「ふざけんな!」
「それか、まぁ無理だと思うけど私を殺しなさい」
「やってやるよ!」
「私の名前だけ教えてあげる。本当の名前も知らずに死ぬのはかわいそうだもの。私の名前はベルフェール。色欲のベルフェールよ」
「これから死ぬ人間の名前なんて興味ねぇよ!」
レンが飛び掛かり攻撃を仕掛けるも、簡単にかわされ攻撃を受ける。
ボスでミカがいないこの状況では不利だ。
考えろ。考えろ。
「レン無理に攻撃を出したらダメだ!」
「ミカが死ぬんだぞ!?」
「あ、そうそう。長期戦もめんどくさいから1時間以内に私を倒せなかったらミカは死ぬわ。後54分ってところね」
「1つだけ聞きたい。そうやって人の命を弄ぶのは楽しい?」
「愚問ね。楽しいわよ? 人を騙して、絶望した人の顔を真っ赤な血で汚すのがどれだけ幸せで楽しいことだと思っているの? あなたも真っ赤に染め上げてあげるわ」
あぁ、この人は何を言っても無駄なんだ。
もう無理だ。
「│激浪」
「あら、それは初めて見るわね。でも当たらなきゃ意味がないわよ?」
「どこに話しかけてるの?」
「なっ!?」
早い動きの中に遅い動きを混ぜれば通った所に自分の影ができる。
「残念だけど、僕もレンもこんなところで負けるわけにはいかないんだ」
僕はそのまましゃがむ。
「ユウマの言う通りだぜ。1時間と言わず30分で殺す!」
僕の攻撃で動揺していたベルフェールはそのままレンの攻撃を食らう。
いくらこの砂漠のボスでも体には水分がある。
その水分を奪われてしまうのは苦痛だろう。
「苦しいか?」
「こんなっ・・・」
「どうして僕たちを殺そうと思うの?」
「・・・・・・・・・」
黙りこくるベルフェールに疑問が浮かぶ。
「もしかして知らないの?」
「早く喋らねぇと身体、土になるぜ?」
「・・・あははっ」
「なんだこいつ」
「ふふ・・・あはははははっ」
ベルフェールは凄い速さで離れそのまま人間の身体から巨大なサソリへと変化する。
「そう、もう手加減なんてしないわよ」
そこからはもう防戦一方で何をしても無力化されてしまう。
剣士というだけ剣の使いが上手い。
それに加えサソリの毒にも気を配らなければいけない。
下半身はサソリで上半身は人間。
「その姿きもいな」
レンのその言葉に怒り狂ったのか、レンを集中攻撃するも、理性を失っている敵の攻撃は中々当たらない。
それが更にイラつかせているのか、どんどん隙ができる。
「君は全然綺麗じゃないよ」
「うるさい!」
やはり思った通りだ。
彼女はイライラすればするほど攻撃が大きくなる。
そして、それを避け続ければ隙がさらに大きくなる。
僕の意図を汲み取ったのかレンも一緒に言い続ける。
「てめぇみたいな化け物のどこが奇麗なんだよ!」
「殺す! 殺す! 絶対許さない!」
「君に僕たちは殺せない」
「そんなことないわ!」
「だって攻撃当たってないよ?」
「うるさい!!!!」
大きく動いた彼女を見て、すぐにレンと連携を取る。
「│泥沼!」
「│万波!」
レンが地面に拳を叩きつけた途端、その場所が泥沼のように変化する。
バランスを崩したところで一気に畳みかける。
「いや、いやぁぁあああ!!」
ベルフェールは甲高い声で叫びながら崩れ落ちる。
真っ赤な血を辺りに飛び散らせながら・・・。
「なんでブロック状に崩れないんだ」
「いやよ! 私まだ死にたくない! 助けて・・・いや・・・」
「もしかして、本当にプレイヤー・・・?」
ベルフェールは自分の周りを真っ赤に染めながら、そして誰かに助けを求めるように手を上に上げて死んだ。




