砂漠の地 星空
「ユウマも眠れなかったの?」
「ミカも?」
テントを出て火を熾した場所の近くにミカが座っていた。
近くにあった植物を投げ入れながら火が消えないよう見ていたらしい。
「寝ようと思っても、中々眠れなくて。ホテルに泊まった時は、疲れとかそういうのが一気にきて眠れたんだけどね」
「それなら、少しだけ話そう」
「うん。あたし達なんだかんだちゃんとお互いの事話したことなかったよね」
「そうだったかも・・・」
「あたしとアイって、実は施設育ちだったんだ」
「え?」
衝撃的なその言葉に驚くものの、本人はそれに関しては何も思っていないようでそのまま話を進める。
「驚くよね~。でね、中学生の頃までは施設から学校に通っていたんだけど、高校からはアイと一緒に施設を出て、バイトしながら2人で暮らしてたんだ。大変だったけど、アイと一緒なら頑張れるって2人でお互い励まし合って、支え合って生活してたんだ」
「ミカにとっては、それすらも楽しかったんだね」
親友と一緒だから、つらくても頑張れる、大変でも楽しめる、そんな子なんだろう。
「楽しかったよ。すっごく! それで、高校の頃にレンとアイは付き合い始めた。あたしはそれが凄く嬉しかったな。アイはどこかほっとけなくて、誰か近くで支えていないと、あの子は優しいから自分よりも人を選んじゃうような、そんな子だったから。それからは、もう2人とも必死にバイトしたよー。自由登校の時なんて入れる時間いっぱいにバイトしたり・・・」
「なんでそんなに?」
「アイはレンと付き合ってるでしょ? だから1人暮らしになれば2人の時間増えるじゃない?」
ニヤニヤしながら話すミカの考えていることはなんとなく察する。
「アイは乗り気じゃなかったみたいだけど、同じマンションで! ってことでアイの事納得させたんだ」
「それならレンも同じマンションでってことになったんだ」
「全部あたしの計算通り!」
探偵になったかのように、指をあごの下に当てポーズを決める。
「まぁ、それもあってバイト三昧って感じだったんだ。大学に通い出してからは、サークルのも入らず、バイトして夏とか冬はキャンプしたり、スキーしたりと充実してたよ」
「そういえばミカって今大学何年生なの?」
「ん?あたし大学2年だよー。そういうユウマは?」
「高3・・・」
「年下だったのかー。でも、ユウマって高3には見えないよね。性格が落ち着いてるからかな? あ、でもあたしが年上だからって敬語とかはいいからね!? レンも気にしないタイプだし!」
「分かった。ありがとう」
「そういうところー。動じないって言うか・・・んー難しいな。それよりも、ユウマの話聞きたい!」
「僕の?」
自分のこれまでを思い出すが、特に特徴もない話をミカが聞いていて楽しいのか・・・。
「自分の話つまんないとか思ってる? あたしはユウマのこと知りたい」
「そんなに言うなら・・・」
「うん!」
嬉しそうに笑うミカを前に話さないという選択肢はないようだ。
「僕には妹が1人いるんだ。両親は妹のことを可愛がっていて、いつもお兄ちゃんなんだから我慢しなさいとか、妹に譲りなさいとか、そんな家庭だったんだ。それで、段々僕は何かを言うことを諦めていくようになって、それと同時に誰とも関わらないゲームにハマっていったんだ」
これまで自分の話をする機会が無かったからか、ちゃんと話せてるか不安になりミカを見るも真剣に聞いてくれていた。
「それで、夏休みとか、冬休みにバイトして、お金貯めてゲーム買ったりしてたよ。友達とどこか行くとかは全然なかったから・・・。ミカが少し羨ましいな」
「それなら! このゲームをクリアさせて、そしたら皆で遊びに行こうよ! もちろん、皆でゲームするのもきっと楽しいよ!」
「うん。ありがとう」
「あっ・・・流れ星」
「え?」
僕が空を見上げたときには既に流れ星は消えてしまった。
それでも、この満天の星空の下でミカと話したことは消えないし、そして忘れないだろう。




