砂漠の地 破滅的
あれから何体ものモンスターを倒しているうちに、時間は17時を過ぎていた。
ベルが言うには、ボスのいる場所まで半分も来ていないらしい。
後3、4日はかかるそうだ。
「そろそろ今日の拠点を決めた方がいいかもしれないわね」
「暗くなると進めないし、それに、モンスターも見つけにくいからね」
「そんならこの辺で休むか」
「そうだね!」
ベルが簡易テントを2つ持っていたことで、全員で一緒に寝るということは避けられた。
ミカとベル、僕とレンで別れてテントを使わせてもらう。
「ご飯温めるだけだから先にやっとくね~」
「んじゃ、俺とユウマでテント組み立てちゃうわ」
「私も手伝うわ」
「あーベルはミカを手伝ってあげてくれ」
「そう?それならミカの方行くわね」
「ミカはさ・・・破滅的に料理ができねーんだよ・・・」
「え?」
「面倒見いいし、周りをよく見てるし、明るいし馬鹿だけど・・・なぜか料理だけは・・・はぁ」
そんなレンの様子を見たら、なぜミカの方に行かせたのか納得がいく。
破滅的にできないとは、どこまでできないのか興味湧くけどきっと・・・。
「興味湧くなよ。死ぬぞ」
「えっ!?」
「あいつが作ったもので何回三途の川渡りかけたと思ってんだ・・・」
「そんなに酷いの?」
「目玉焼きって卵を焼くだけだろ?」
「うん」
「出てきたものは真っ黒の得体のしれないものだった。どうにか頑張って一口食べたんだが、苦いししょっぱいし辛いし、悲惨だったぜ」
「焦げてるなら苦いのは分かるけど」
「なんでも味付けをしたとかで、醤油と塩コショウを入れたらしいけど・・・」
人が美味しいと思って食べれる量の倍以上をミカは入れたんだろうな。
「でも買ったものは温めるだけだよ?」
「ミカが本当に温めるだけで終わると思うか?」
「あー・・・思わない・・・かな?」
そんな話をしていれば、奥からベルの声が聞こえる。
つまり、ミカは何か変なものを加えようとしベルが止めているのだろう。
「後でベルに謝らねーとな」
「そうだね・・・。今はテント組み立てちゃおう」
テントを組み立て、4人で火を囲む。
「前にもこんなことしたね」
「そうだな」
「前にも?」
「うん。1番初めの世界で、ぼったくる宿屋にたまたま入っちゃって・・・。夜も遅かったから他に見つけられないと思ったあたしたちは市場の近くで野宿したんだ」
「そん時は良く分かんねぇ果物だけだったな」
「あははっ。確かに! それが今では温めたらこんな美味しいものになるなんてね~。ミネストローネとかコーンスープとか、他にもラーメンとか、現実と似たようなインスタントが食べられるのには驚いた!」
「ミカがこのスープに良く分からないものを入れようとしたときには驚きましたわ」
「あー・・・。その事なんだが悪かったなベル」
「はい?」
「ミカは既製品のご飯にも変な物入れる癖があってだな・・・。それを止めさせようとして・・・」
口ごもりながらも説明するレンに何のことだかすぐに理解したようでクスっと笑う。
「これからのご飯はお任せください」
「助かる」
「え~? あたしは??」
「ミカは私を手伝っていただければ十分ですわ。無理を言って一緒に行動していただいているので」
それを言われてしまえば、ミカは何も反論できないようで黙ってしまう。
こんな穏やかな時間が続けばいいと願いながらも、普通とはかけ離れた場所で普通とは思えないことをしている。
僕はそのことに少しだけ感謝しながら、3人の話を聞きながら夕食を済ませる。
あれから、各々テントに入り明日に備えて休むことになったが、僕は中々寝付けず、静かにテントを出た。




