チュートリアル 真っ赤な街
「は? なんだよこれ・・・」
街へと戻ってきた僕たちは、その街の様子に呆然とした。
賑わっていたあの街は建物が崩れ、白かった道は赤い血で染まっていた。
人の形が残っている人や、原型すら残っていない人。
見渡す限り生きている人間は誰もいなかった。
「うっ・・・」
「あまり見ない方がいい」
「うん。でも下を見ても前を見ても・・・」
「僕に捕まってていいから・・・」
「ありがとうユウマ・・・」
これだけの人が死んでいて耐えられるはずもない。
僕自身も少しでも気を抜けば吐きそうだ。
今日は風がない。
血の匂いがこの場所に留まっていて、それが更に吐き気を誘う。
「ここってシグさんの店だったよな・・・?」
「うん」
シグさんはまだ人の原型があり、なんとか見分けることができた。
頭からは血を流しているだけだが、胴体や腕がぐちゃぐちゃに潰されたような感じだった。
目を開いたままだったシグさんの瞼を閉じさせ、手を合わせる。
レンとミカも僕に続いて涙を堪えながら手を合わせていた。
「一体誰がやったんだよ・・・」
「この街の全員を殺したってことは相手は相当強いと思う・・・」
「今あたしたちが鉢合わせたらあたしたちも殺されるかもしれない・・・。死にたくないよ・・・」
「くそっ・・・」
それからは誰も喋らず、ミアの店へと向かっていた。
ミアの店も半分程崩壊していて、外から見てもどうなっているのか認識できた。
「ミア・・・」
「ミアも・・・」
ミアはうつ伏せで上半身と下半身が別れていて、そこには真っ赤な血だまりができていた。
まるで何かを守るように広げた手からどのように殺されたかすぐに想像がついた。
「モケ・・・?」
「生きてるのか?」
「あそこ」
そう言って指をさした先には、頑丈な檻に入れられたナマケモノが丸まっていた。
「この檻が頑丈だったから無事だったのかな・・・?」
「かもしれねーな」
「モケ、おいで」
外側からなら簡単に開けられるようで、ミカがモケを出す。
モケはそのまま腕に捕まり動きを止める。
「ミアがモケを守ってくれたんだね」
「ミアの後ろにあるものって双剣と装備じゃないか?」
「これを守ろうとして・・・僕たちがもっと早く倒してたら救えたのかな・・・」
「誰がこんなこと・・・ぜってー許さねぇ。例えどんなに強い奴だろうとこんな最低なことする奴・・・俺が・・・」
「うぅ・・・」
耐えられずミカは泣き出し、レンは怒りに震え、僕はまだこの現状を受け入れられていなかった。
こんな残酷な光景をすぐに受け入れることは不可能だった。
「ゲームマスター・・・見てるんだろ・・・どうしてこんな・・・」
そんな僕の問いに答えてくれるはずもなく、ただ口から出た言葉は宙に消えていった。
どのくらい経ったか分からないまま、レンがポツリと呟く。
「ミアの手紙」
そう言って、レンは手紙を読み上げる。




