表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脅かさないでよ、如月くん!  作者: 豚ゴリラ
1/2

Prolog 死にたいから

この世界にはどうしようもないことがあって、人間どうしようもないことがあると決まって神様や存在しない何かに頼ってしまう節がある。私もその一人だ。


きさらぎ駅。


ホラーや都市伝説を好きな人なら聞いたことのあるその摩訶不思議な駅の名前は今も尚、形を変えて語り継がれている。午前零時。某県にある大きな山に囲まれた日本でも有数の湖の奥底。実在したといわれるきさらぎ駅があるという。その湖に飛び込み奥底に沈んでいくと異世界に繋がる扉があるといわれてる。きさらぎ駅という異世界の扉。電車でたどり着くのではなく飛び込むというのがなんとも斬新だがその噂が本当でも嘘でも今の私にはどうでもよかった。もし行けるのなら異界に。行けないのなら死なせてほしい。スマートフォンに映る言葉の羅列に森の奥へと投げ捨てる。

「さようなら」

遠く見えない濃霧の曇り空の下。夜見 聖奈[よみ せな]17歳は今日死ぬ。大きく息を吸って着慣れた制服で勢いよく湖へと飛び込む。ぶくぶくと息継ぎをするにつれて肺活量のない私はすぐに苦しくなる。このまま死ねればいい。目を開けて沈んでいく身体に身を任せる。嗚呼、これでお父さんとお母さん楽になるかな。瑠璃ちゃんたちは私を許さなくても楽しく暮らせてるといいな。走馬灯のように巡る思い出と何も見えない湖の底にやっぱり都市伝説は都市伝説なんだと痛感する。きさらぎ駅どころか何もない底なし湖じゃないか。遠のく意識とバラバラになる思考回路。これでやっと楽になれる。空も湖も暗い今日この日、私はやっと息ができたような気がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ