私と岳さんのデート
本日は少し長めです。あとブックマークありがとうございます!今後も頑張ります。
本日もよろしくお願いします!
私は今とてもご機嫌です。
さて、どうでしでしょう?
正解は...
岳さんからデート(仮)に誘われたからです。
もういつぶりですか!って感じだよね。
経緯としては至ってよくある会話。
みんなで勉強会をしてた日の夜のこと。
「あーそろそろ夏服買わないとだな」
「長袖だともうそろそろ暑いもんね」
「半袖買いに行きたいなぁ」
「私もそろそろ衣替えしたいかも」
「柚葉買い物一緒にいくか?というか行ってくれ。俺服の
センス自信ないから」
「あ、でも来週テストだよな。しゃーないから俺1人で...」
「いこう!うん!行こう!たまには息抜きも大事なの!」
「お、おう...なら明日にでもいくか?」
「うん!いく!」
多少パワープレイだった感はあるけど結果オーライ。ということで今日は岳さんとのデートなのです。
「あーやばい。幸せすぎて死にそう」
中学生にもなって私とお出かけは嫌かなとか、私から誘うの
ってどうなのかなとか、できたら誘って欲しいなとか考えて
るうちに時はどんどん過ぎていき、機会を逃していた。
「どんな服を着ようかなー♪」
自分の中でも珍しいくらい、気分が高揚していくのが感じ
られた。
我ながら初恋相手との初デートかとツッコミを入れたいレベルだ。
もちろん私の初恋相手は岳さん。
「でも友達同士じゃないから肌の露出はあまりない方がいいよね?あと子供すぎもだめ」
結局、白のカットソーにピンクのロングコートという無難なところに落ち着いた。
「髪の毛はお団子にしよっと」
一通りの準備を終えて私は部屋から出る。
「岳さん、準備できたー?」
「もうちょっと待って、服が中々」
「早くしてくださいよー」
急かすような、でも本気なトーンでもない冗談めかした声を
掛けながら私は勢いよくドアを開けた。
「「あっ、!」」
岳さん...服着てない?
「あ、なんか...ごめんなさい」
久しぶりに見た岳さんの体に私は茹でたタコのように真っ赤
になった。
「お、おい。そんな照れたような態度取るなよ。こっちまで恥ずかしくなるだろ」
「う、うん。外で待っとくね」
久しぶりに半裸を見てしまった。がっしりってわけじゃない
けどうっすら割れてる腹筋。岳さんは30超えたら脂肪がつき
やすくなったって言ってたけど、全然そんなことない。大人
の色気が溢れ出てる。
「やっばい、、ふぅ」
興奮を必死に抑えていると、
「悪い、お待たせ」
ど部屋から岳さんが出てくる。
「私服、久しぶりに見たけどな、綺麗だな......
本当、環さんそっくりだ」
「む、娘口説いてどうすんのさ。それに岳さんが知り合った時のママより私の方が若いんだかね!ほら、早くいくよ」
「はいはい、思ったこと言っただけだけどな」
本当鈍感天然惚れさせマシンですかあなたは!
嫌だ、今のゆみっぺぽい。
「はぁ、もぅ...岳さんもかっこいいよ?」
火照る顔で見上げるように、すなわち上目遣いでそういうと、さすがの岳さんも照れたみたいで、
「ほ、褒めてもなにもでないからな...服、1着くらいなら買ってあげてもいいぞ?」
「服1着ゲットー!いこっ!岳さん」
……
私たちは色んなテナントが1つの店に入っている某大手GMSスーパーに来ていた。
田舎では学生のデートコースの鉄板だなんてことを聞いた
ことがある。もちろんここにも学生は多い。テスト期間前と
あって同級生は見当たらないけどね。
「岳さんいっつも白Tにデニムだからたまには違う服も買ってみなよ」
「これが1番無難でいいんだけどなぁ」
カゴの中に数枚入れられた半袖の白Tを見て私は溜息をつく。
「ほら!こんな色とかどう?岳さん似合うと思うよ?」
「それに今は白Tでもビックシルエットが流行だし、こっち
のオーバーサイズとかもどう?岳さん細いからきっと似合う
よ!これなら下は黒スキニーとかでいいし!」
「岳さん!これは夏の新作だって!たまにはシャツも買ってみない?」
気づけば岳さんの買い物カゴの中は私がオススメした商品であふれていた。
「流石にこんなにいっぱい着る自信ないんだけどなぁ」
そんなことを言いながらもオススメされたからか売り場に
戻すことなくレジに並んでくれた。
「そういえば柚葉は服いいのか?」
「私はここでは買わないからいいの」
「それにね、着る機会がないなら着る機会を作ろうよ!私
今年受験生だけど気分転換に色々連れて行って欲しいな!」
「...それもそうだな。メリハリ大事だもんな。
行きたいところがあったら連れて行ってやるよ」
「うん!」
こうしてさりげなくだけど、次のデートの約束も漕ぎつけ、私はご満悦だ。
その後は私のショッピングに岳さんを連れ回し、私は私で
欲しいものを買った。
もちろん岳さんからも約束通り、一目惚れしたワンピースを買ってもらった。
絶対に大切にしよ。
......
「はぁー。疲れたな。なんか久しぶりに買い物したーって気になったよ」
「私もこんなにたくさん買ったのは久しぶりかも!なんかお出かけが楽しみになるね!」
「あ、そうだ柚葉。週末、どうしてもお世話になった人の
退職慰労会があるんだけど行ってきてもいいか?」
幸せだった気持ちに微かなヒビが入る。
「その飲み会って女の人とかいるよね?」
「そうだなぁー人望が厚い人だったから結構な人数集まるんじゃないかな」
何を心配してるかなんて私の気を知らない岳さんは呑気にそんなことをいう。
「わかった。あんまり遅くならないでね?」
「柚葉がいるのに遅く帰ってくるわけないだろ?一次会で
帰ってくるからさ」
「うん。わかった」
元々私のことを思ってか、飲み会などにはあまり参加して
こなかった岳さん。
だから1人で過ごす夜ご飯、というのはその日が久しぶり。
今日服を買ったのもその日のためなんて勘ぐりをしてしまう自分が嫌になる。
同級生にはいろんな面で負けない自信がある私でも岳さんと年の近い、私にとっての年上の人には子供の私は勝てるわけがない。
岳さんかっこいいからきっとモテるよね...
私は不穏な胸のざわめきを感じる。
「柚葉?」
「ううん、なんでもない。ちゃんとお世話になった人なんだから送らないとダメだよ?」
「高校生に言われなくてもわかってるよ。ほら、そろそろ家に帰ろう」
名残惜しそうに建物を見る私ちそっと差し出された手。私はその手をギュッと握りしめた。
「なんか昔を思い出すね...」
「なんだか不思議な感じがするけどなぁ」
「というか、柚葉ももう高校生か」
「これからも私のそばにいてね?」
「最近甘えたがりだな。大丈夫。お前の側からはもう誰もいなくならないさ」
きっと大丈夫。
その言葉信じてるからね...岳さん。
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