私の憂鬱
本日も元気よく投稿していきます。
よろしくお願いします。
「あー楽しかった」
「なんだかんだで結構課題進んだね」
「もうなんかテスト当日まで勉強しなくてもいい気までしてきちゃったよー」
あれから黙々と勉強しては少しだらけたりを繰り返しているうちに、気づけば太陽は本日役割を終えたとばかりに西の空
へと沈もうとしていた。
「じゃあ、そろそろお開きにしよっか?」
コンコン...ガチャッ
タイミングよくノックと共に部屋が開く。
「そろそろ勉強終わる頃かなと思ってな。最近変な人多い
し、弓理ちゃんと美優ちゃん家まで送るよ」
「うわ~柚葉パパマジ紳士~」
「確かに同級生に今の発言は真似出来ないかもしれないわね。車もないし」
「大丈夫?1番岳さんが危ないなんてことにはならないよね?」
「やめてくれ柚葉。それ1番笑えないから」
「それと美優ちゃんもそのガォーって狼の真似するのやめてくれ」
「柚葉は1人で寂しいんじゃないの?」
「柚葉1人で寂しいんだー!」
「違うから。私これでも忙しいし。じゃあ岳さん...私は
晩ご飯の準備してるから2人のことよろしくね?」
「あぁ、ちゃんと送り届けてくるよ」
「じゃあね~柚葉~」
「柚葉、また学校でね」
嵐のような2人(主にみゆっぺ)が帰り、家は私が岳さんが帰ってくるのをいつも待っている時のような静寂を取り戻す。
楽しかった。でもどうしても岳さんが他の女の人と話して
いるのをみると例え友達だとしてもモヤモヤとした気持ちになってしまう。
いくら岳さんがママのことを今でも1番に想ってても、
いつかまた恋をするかもしれない。
その時の候補に私は入らない。
彼にとって私は娘。今は2人が彼の中でも娘の友達でも何か
の拍子でそれは1人の女性に変わるかもしれない。
それが私は怖い。
「ねえ、私だけを見てよ」
そんな台詞が言えたらどんなに楽だろうか。
楽しかった反動なのだろう。抑えかけた心の闇の渦が再び
吹き荒れようとしていた。
「早く帰ってきてよ...岳さん」
ガチャッ
「ただいま、柚葉ってなんだ?どうした?」
玄関に涙目で立ち尽くす私に心配して少し狼狽えている彼が今はとても愛おしい。
「ねえ、ギュってして...」
「急に寂しくなったのか?いいよ。ほらおいで?」
私は腕を広げた彼に思いっきり抱きつく。
「なんか寂しくなっちゃって...ね」
「今日は久しぶりに騒がしかったもんな」
「うん...ごめん、まだご飯作ってなくて」
「いいよ、いつも任せてごめんな」
「それとね、も少しこのままでもいい?」
「うん。ちょっと恥ずかしいけど」
「女子高生に抱きついて貰えるなんて岳さん役得だね」
ようやく涙が止まったグシャグシャの顔で私は彼に笑いかける。
「ばかやろ、そんなこと言うんだったらもうしてやらないからな」
少し照れた様子の岳さんは頬をかきながらそう言う。
「また寂しくなったらギューしてくれる?」
少し間が空いた後、
「2人だけの家族だからな。辛い時はいつでも来い」
今はそれでもいい。
家族だから一緒にいられる。
この一瞬に感謝しよう。
「素直じゃないなぁー抱きつかれて嬉しいくせに」
「今日はそういうことにしといてあげるよ」
「そうだ、もうこんな時間だし久しぶりに外に食べに行くか?」
「こんな泣いた顔で外にでさせようなんて女心が分かってなさすぎだよ」
だから岳さんはモテないんだよって笑いながら言うと、
「いいんだよ、モテなくて。それに俺には柚葉がいるからな」
「そういうところだよ。本当にもう...」
聞こえないくらいの声量で私はそっと呟く。
「え、なんて?」
「なんでもないですよーだ。本当、まあ岳さんらしいですね!準備してきますからボケッと立ってないで部屋の中で
待っててください」
「結局外に行くのかよ」
「今日は美味しいお肉食べさせてもらうから!」
「はいはい」
少しだけさっきまでのモヤモヤが晴れた気がした。
我ながらチョロすぎだよ。チョロインだよ。
でも捉える意味は違っても私がいるからって言って
もらえた。
私は岳さんのものだからね?
さて、こんな顔で岳さんの隣は歩けないから化粧で誤魔化さないとね。
「よしっ!」
独り言のように気負いを入れ、私は自分の部屋へと
向かった。
「あー!部屋の掃除忘れた!」
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