3人での思い出
短編にはない、オリジナルのストーリーです。
短編を書いたときに考えていたネタでした。
本日もよろしくお願いします。
環さんと付き合うことになってから迎えた何度目かのデート。今日は柚葉ちゃんを連れて某ネズミーランドに来ていた。
「うわー人がいっぱいいるー!」
「ほんとだね柚葉!岳くん、柚葉テーマパークに来るの初めてなの!」
「だから朝からテンション高かったんですね。いきなり抱きついてきてびっくりしましたよ」
「あー、娘にデレデレするような岳くんは知りません」
「小学生に嫉妬してるんですか?」
ほっぺを膨らませている環さんが可愛くてもついそんな軽口を言ってしまう。
「ヒーローさん。抱っこ~!!」
「はいはい、お姫様の仰せの通りに」
「くるしゅうない」
そんなやりとりに環さんは優しい笑顔で見守ってくれている。
俺はヨイショっと柚葉ちゃんを抱き上げた。
柚葉ちゃんからひ子供っぽい匂いがしてなんだか自分がお父さんになった気がして少しむず痒かった。
「まずどこから行きます?」
「とりあえずファストパスは取らないとだから」
「あ、知ってますか環さん。アトラクションのところまで行かなくてもスマホで取れるんですよ?」
自慢げにアプリの画面を見せた。
「え、今そんな感じなの?うわーなんかジェネレーションギャップ感じるー」
「またママをいじめてるー?」
「いじめてないよ柚葉ちゃん。そうだ!柚葉ちゃんキャラクター好きだし、熊のポー君の乗り物をファストパスで取りましょう!」
「じゃあそれは岳君に任せるとして、まずはイッツアビックワールドにいこっか!」
「ママ~なにそれー?」
「いろんな人形さんが世界の色んな格好しててお歌を歌ってる空間だよー」
「わーい!ゆずはお人形さん好きだよー」
「でしょでしょ!はやくいこー!」
「15分待ちだからすぐですね」
……
「ぐすっ、、こわかったよぉ」
喜んでもらえると思ったが、逆に人形が不気味だったらしい。柚葉ちゃんはアトラクションの最中ずっと半ベソかきながらも迷惑にならないように声は出さずにすすり泣いていた。
ごめんね、喜んでもらえると思ったんだけどと罪悪感と共に子供って難しいと思った。
「ほら、柚葉。いつまでも泣いてないで次行くよ?」
「ぜったいゆめのなかに出てくるもん」
「ヒーローさん、こんどはおんぶがいい!」
どうぞと背中を下ろすと思いっきり飛び乗られた。
「痛っ、、」
「あ、こら柚葉危ないでしょ!」
「大丈夫ですよ、環さん。ほらお嬢様ご機嫌直してくださいな」
「ヒーローさんの背中大きいねー」
「なんだかあんしんする」
「そっか、柚葉ちゃん乗りたい時はいつでも乗ってくれていいから」
「うん!」
初めて求められたのが嬉しかったのかいつもより足取りが軽くなった。
「岳くん、スキップは流石にどうかと思うよ」
環さん、そんな引いた目で見ないでください。
「ねえねえ、ママとヒーローさんもおてて繋いでよー」
「え、ママはいいよ」
「いやだー!繋いでったら繋いで」
「わかった。が、岳くん。汗かいてたらごめんね?」
俯きながら手を出してくる環さんは最高に可愛かった。
「それは俺もです」
差し出されたその手を俺をギュッと握った。
少しだけ勇気を出して世でいう恋人つなぎをした。
環さんと手を繋ぐのは初めてで、少し照れ臭くて、でも嬉しくて、この時間がずっと続けばいいのにって思えるくらい心地よかった。
「これでみんなかぞくだよ!」
「あのね、友だちがいってたの。手をつないであるくのはかぞくのしょうこだって」
「これでヒーローさんもかぞくだよ!ママとヒーロさんとゆずはでかぞくなの!」
ふと、環さんを見ると彼女は涙を流していた。
「そうね、家族だよね。家族なら、これからいっぱい家族でいっぱい思い出作らないとね」
「うん!」
そして小声で彼女はこう告げた。
「岳くん、もう逃げられそうにないよ?」
茶目っ気たっぷりにいう彼女に、
「望むところですよ」
2人を幸せにするだの覚悟はできてる。
「3人で幸せになりましょうね」
......
その後行ったくまのポーくんの蜂蜜マントでもどうやら子供目線では怖いところがあったらしく(あれは一種の中毒だと俺は思ってる)またもや柚葉ちゃんが涙目になっていたのは秘密だ。
その後も夢の国価格のランチを食べ、後半戦は3大マウンテンと呼ばれるものを攻めたりと3人ともクタクタになっていた。
「いっぱい遊んだね!柚葉のこと私がおんぶしようか?」
「大丈夫ですよ。すっかり寝ちゃましたね」
「あんなにパレード見るってはしゃいでたのにねー」
「まああれだけ遊んだら子どもは疲れちゃいますよね、って俺も正直クタクタです」
「私もだよ。子どもってどこからそんな元気出てくるんだーって時があるよね」
「そうですねー。その元気で大人まで元気にしちゃいますから不思議ですよ」
背中で寝ている柚葉ちゃんがとても愛おしく思える。まだまだ頼りない俺だけど、安心そうに眠るその寝顔は少しずつ俺のことを認めてくれてる気がして嬉しかった。
「ねえ、岳くん。本当に大丈夫?」
「なにがですか?」
「こうして3人で遊んだけど、やっぱり想像してたデートじゃないとかやっていけないとか思ってない?」
彼女の顔は冗談...というわけでなさそうでどこか不安気な様子だった。
「大丈夫ですよ。本当に楽しかったです。それに環さんももう逃げられないよって言ってたじゃないですか。逃げる気もないです」
「それにね」
環さんの手を俺はそっと握った。
「こうすると家族ですから」
「そうだよね。うん!変なこと言ってごめんね。岳くんありがとうね」
「こちらこそです」
こうして俺たち3人でのデートは幕を閉じた。
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