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第1章プロローグ 私の想い人

新連載ようやく始めれました。

よろしくお願いします。


私には何年間も想い続ける相手がいる。

そしてきっとその恋が叶うことはない。


なぜなら私は本物になれないから...


-------------------------------------------------


私の名前は藤原柚葉、高校3年生。 

私にはお母さん、ううん、呼んだことない言い方は

やめよう。私にはママがいない。

ママは私が小学2年生の時、つまり今から10年前に交通事故で亡くなった。

血の繋がった本当のパパには私は会ったこともないし、

今更会いたいとも思わない。


じゃあ誰に育ててもらってるかって?


私はママの結婚相手だった男性と一緒に生活してる。



えっ? それって? どういうこと?

なーんて思う人もいるかもしれないけど、単純に婚約状態

だったママが亡くなって岳さんには私を育てる義理は

なかったのだけど、彼は私のお爺ちゃんとお婆ちゃんに

お願いして、私を引き取ってくれた。


と言っても私と岳さんは親子ではない。


それは唯一、お爺ちゃんとお婆ちゃんが残した岳さんに

残した逃げ道。逃げ道なんて言い方はよくないけど...


「あなたにもし好きな人ができた時の障害に なるのは環も

望んでないと思うの。だから、これは私たちの最後の願いを

聞くものだと思って了承してほしい」


岳さんはそんなことはないから私と法律上でも娘をしたいと

言ったけど、2人とも折れず結局私と岳さんは養子縁組は

しなかった。だから法律上でいうと私たちは親子ではない。



今となってはそれが良かったのやら逆に悪かったのやら...だ。



「ほら~!起きてください。早く起きないと悪戯しちゃい

ますよ~?」


岳さんは朝が弱い。

いや、私と暮らし始めてから弱くなった。人間甘えるという

ことを覚えてるとどんどんダメになるみたい。


朝が弱いことをいいことに私はこうやって毎日馬乗りに

なって上で暴れて起こしている。


ちなみに馬乗りは私が好きでやっていること。


「んー。もうあと5分...」


「ほらー!もう年も30超えたんだからそんな高校生みたいなこと言わずに起きてください」


「ふわぁ...おはよう、柚葉」


「うん、おはよ!って、ほら!ご飯できてるんだから

早く顔洗ってきてください」


普段の私は彼に対して敬語。冗談言ったり私が甘えたいときは敬語が抜けたりとこの10年間安定しない。


「よし、柚葉。環さんに朝の挨拶をしようか」


「はいはい」


これは私たちの朝の日課。


「環さん、今日も柚葉と俺を見守って下さい」


「ほら、柚葉も!」


「ママ、ずっと見られてるのも恥ずかしいからたまに見る

くらいでお願いね」


「はぁ、柚葉も素直じゃないなぁ」



ママの遺影を見る、岳さんのその眼差しがいつも悲しげな、

そしてどこか儚げなのを私は知っている。

そして、その表情はママが何かしら関係する時にしか出さ

ない。

また、岳さんはママ以外女の人を見つめる目はどこか興味の

ない、関心のない無の目をしている。


岳さんは今でもママのことが好き。

そんなことはわかりきっている。

彼の瞳には彼女以外映りやしない。


それがたとえ死んだ彼女の娘であっても...だ。


私は彼の瞳に私自身を映したい。

許されるなら彼の隣を永遠に私のものにしたい。


私が望むのは彼の娘としての家族ではない。

私はママと同じステージに立ちたい。女として愛されたい。

ママと岳さんがなれなかった夫婦という形で

家族になりたい。


そう、私はママが愛した、そしてママのことを愛している 

この人に恋をしている。


もし、ママが生きてたら好きにならなかったのかな?


ううん、きっと好きになってた。

そしたら、ママと男の人の好みまで一緒だね!

なんて笑い合って、将来はパパみたいな人と結婚する~

なんてこと言えたかな?


だってね、いつも岳さんは一生懸命で、全部 それが私の為にしてくれてるなんて思ったら普通に惚れちゃうよね?

もし、それがママとの約束だったとしても今その愛情を

一心にもらってるの私。


でもこれも強がり。岳さんは私を見てる時、私をちゃんと

見てくれているけど見ていない。


愛情もたっぷりもらってるけど、どこか違う。

岳さんの瞳には私の奥のママを見つめてる。


年を重ねて成長していくごとにママの写し鏡かのようにママ

に似ていく私。もちろんママは綺麗だったし、私としても

嬉しい。

でも大好きな彼は、そんな私を無意識のうちにママと重ねて

いる。


私の愛情は彼には届かない。彼からの愛情は恋人に向けられ

るものではなく、家族に向けられている愛情。そして今でも

恋人に向けられるその愛情はママに向けられている。


そう、私がどんなにママをなぞっても私は偽物でしかない。

本物にはなれない。


それでもいい。私は彼が好き。


ママの代わりに隣に立てるならなんだっていい。


いつかきっと、ほんの一瞬でもいい。


来るはずもない、いやほぼ可能性のない、彼が映し鏡では

ない本当の私を見てくれるその時を私は待つ。


だから、それまでは偽物でいいの。


彼が望むことが私の幸せ。


これは私の少し捻れた恋の物語。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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