第五章 悪徳不動産屋復讐される
ある日、岩倉の山林から男性の遺体が発見されたと三係に連絡があった。
所持していた免許証から、被害者は森本儀一、五十歳と判明した。
捜査すると、被害者は悪徳不動産屋と判明し、怨恨の線で捜査する事になった。
被害の実態を捜査した。
詐欺被害者の説明では、一戸建て住宅の展示会があり、見学して購入したとの事でした。
実際に住むと水が出なかった為に不動産屋に確認したそうだ。
「テレビでも、電源を接続しないと見られないでしょう?家も同じですよ。水道工事をしないと水はでませんよ。」と逃げたそうだ。
弁護士に相談すると、「水道設備完全完備と水が出る事とは別です。設備だけあっても水道管が接続されていなければ水はでません。これは悪質な詐欺です。一人ではなく、被害者の会を作って集団交渉する事を勧めます。」と助言されたそうです。
「被害者の会を作っている間に不動産屋が夜逃げしたそうです。」と報告した。
広美は、「被害者は弁護士を通じて交渉しようとしていました。殺人事件に発展する可能性は低いわ。その他の余罪がないか調べて下さい。」と指示した。
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数日後西田刑事が、「十年前、森本儀一の詐欺により夫婦で経営していた工場が倒産して夫婦は首つり自殺していました。第一発見者は、当時高校生だった娘の白井悦子さんが学校から帰宅して発見しています。その白井悦子さんが、最近、その不動産屋の近くで数回目撃されています。今、須藤刑事が白井悦子さんのもとへ向かっています。」と報告した。
やがて須藤刑事が戻ってきて、「白井悦子さんは、犯行時刻にコンビニに行っていたとアリバイを主張されたので、コンビニの防犯カメラを確認すると、確かに白井悦子さんが映っていました。」と報告した。
広美は、「その詐欺に共犯者はいなかったの?もし、その詐欺の復讐だとすれば、その共犯者も狙われるわ。」と指示した。
捜査してもなかなか共犯が見つからず、やっと共犯者の一人が西井元樹だと判明した。
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刑事たちが西井元樹の自宅マンションを訪ねるとすでに殺害されていた。
付近で聞き込みをすると、西井元樹の近辺でも白井悦子が数回目撃されていた為に、再び事情を聞くと、「何度もなによ。人に聞く前に、その時間、自分が何をしていたのか考えなさいよ。」と須藤刑事を睨んだ。
須藤刑事が、「何で俺の事を聞くのだ?その時間なら・・・あっ!」と何か思い出した様子でした。
同行していた前田刑事が、「須藤刑事、どうかしましたか?」と須藤刑事の様子が可笑しいので確認した。
須藤刑事は、「その時間、私は白井悦子さんに事情を聞いていました。」と完璧なアリバイがある事に気付いた。
白井悦子は、「そういう事だから。」とその場から立ち去った。
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その後の捜査でも有力な容疑者もなく捜査は進展しなかった。
広美は、「やはり白井悦子が怪しいわ。西田刑事、アリバイに何かトリックがないか渡辺刑事と調べて下さい。須藤刑事、殺人を依頼した可能性も否定できないので、交友関係も調べて下さい。それと前田刑事、白井悦子を再度出生から洗い直して下さい。」と指示した。
前田刑事が、「生まれたての赤ちゃんに何ができるのですか?」と不思議そうでした。
広美は、「役立たず!もういいわ、私が調べるわ。」と捜査に出て行った。
西田刑事が、「主任を怒らせるなよ。その反動が俺達にくるから。」とぼやいていた。
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数日後広美が、「白井悦子は一卵性双生児でした。ただ貧困の為、一人は出生後すぐに施設にあずけられ、近所の住民達は白井悦子が双子だとは誰も知りませんでした。その後、里親に引き取られて白井から吉田になっていました。吉田恭子を捜して下さい。京都にいれば、お互いに入れ替わってアリバイをつくった可能性は否定できないわ。前田刑事、何故出生から調べたか解ったでしょう?解ったら、吉田恭子の里親に会いに行って!」と指示した。
翌日前田刑事が、「吉田恭子の里親に会ってきました。吉田恭子の写真を確認すると、白井悦子にそっくりでしたので驚きました。恭子さんが今、どこにいるのか聞いてきました。地元で芸者をしていたそうですが、数年前、帽子にサングラスとマスクで顔を隠した女性が訪ねてきて、その後京都で修業してくると出て行ったそうです。その女性が白井悦子だとすれば、吉田恭子が京都にいる可能性が高いです。実の親や復讐の話だけでは吉田恭子も信じなかったかもしれませんが、白井悦子の素顔を見れば信じた可能性があります。」と報告した。
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芸者は白粉で素顔を隠せる為、吉田恭子が京都で芸者をしている可能性が高いと判断した広美は母の初美に電話した。
「私だけれども、吉田恭子という芸者を知らない?」と置屋を経営している母なら知っているかもしれないと期待していた。
初美は、「ええ、知っているわよ。うちの置屋ではなく別の置屋にいるわよ。広美が気にしているのは、何かの犯罪がらみなの?」と興味本位で聞いた。
広美は、「そんな事、どうでもいいから誰なの?」と吉田恭子の事を知ろうとしていた。
初美は、「広美も知っているでしょう?ポンタの本名は吉田恭子よ。」と芸者だったら、花町の事をもっと知っていてほしいと残念そうでした。
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広美は電話を終えると、「花町の芸者でポンタをマークして下さい。」と指示した。
前田刑事は、「そのポンタという芸者は吉田恭子と関係あるのですか?今、誰に電話して聞いたのですか?」と確認した。
広美は、「鶴千代から聞いたのよ。ポンタの本名は吉田恭子よ。普段は白粉で素顔を晒さず、犯行時だけ素顔でアリバイを作ったか犯行に及んだかのどちらかの可能性があるわ。」と説明した。
刑事達が捜査に出て行くと緒方係長は、「林君、誰に聞いたんだ?」と確認した。
広美は、「母に聞きました。母は花町で置屋を経営していて、他の置屋とも付き合いがあり知っていると思ったものですから。母が緒方係長によろしくと言っていました。」と説明した。
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翌日西田刑事が、「確かに白井悦子が同じ時間に別の場所に存在していました。どちらかが吉田恭子だと思われます。任意同行求めますか?」と確認した。
広美は、「森本儀一の詐欺の共犯はもう一人いるわ。田辺健三よ。襲われる可能性があるわ。ガードして。襲った時に現行犯逮捕するわ。」と指示した。
前田刑事が、「ポンタこと吉田恭子をマークすればどうですか?芸者姿の時は大丈夫だと思いますが、素顔になった時に吉田恭子か白井悦子かのどちらかが犯行に及ぶ可能性があります。」と提案した。
広美は、鶴千代が私だと気付かない刑事達には無理だと判断して、「顔は白粉よ。他の芸者と見分けられるの?それは私に任せて下さい。」と指示した。
緒方係長に、「係長も含めて鶴千代の正体に気付かない捜査員達には、芸者と素顔の区別は無理なので、私がしばらく芸者としてポンタに張り付きます。」と報告して、ポンタの本名が吉田恭子だと母から聞くまで気付かなかった私も大きな事を言えないわねと思いながら捜査本部をでていった。
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数日後広美が緒方係長に、「吉田恭子が私服で外出したわ。吉田恭子には私が貼りつきますので、誰かを田辺健三と白井悦子に貼りつかせて下さい。」と報告した。
広美はアリバイ工作に使えないように、コンビニの防犯カメラに吉田恭子が映った時に、偶然会った芝居をして話しかけ防犯カメラに一緒に映った。
広美は、「おはようございます、ポンタさん。何か買い物ですか?」と話しかけた。
恭子は、「あら、鶴千代姉さん。私はこれから外出するので雑誌を買おうと思ったのよ。」と雑談してタクシーで外出した。
広美は、尾行の可能性を考慮して覆面パトカーを準備していて正解だったわ。と思いながら覆面パトカーで尾行していた。
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白井悦子を尾行していた前田刑事が無線で、「公衆トイレから一時間でてきません。」と全員に連絡した。
広美が無線で、「白井悦子は荷物を持っていませんでしたか?着替えた可能性があります。須藤刑事、田辺健三が襲われる可能性があります。」と忠告した。
須藤刑事が、「申し訳御座いません。田辺健三を見失いました。」と報告した。
広美は、「二人とも何しているの!至急二人を捜して下さい。」と指示した。
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翌日田辺健三の他殺体が発見された。
白井悦子に事情を聞くと、予想通りコンビニで買い物をしていたとアリバイ主張した。
コンビニの映像を確認すると芸者が映っていた。
前田刑事が、「コンビニの映像に鶴千代さんが映っていて彼女と話をしていました。鶴千代さんを白井悦子に会わせると、この映像が白井悦子ではなく吉田恭子だと判明するかもしれません。」と鶴千代に電話しようとしていた。
鶴千代専用携帯を、たまたま手元に持っていた広美は慌てて、「鶴千代には私が説明して、可能であれば吉田恭子を連れてきます。」と京都府警を出た。
吉田恭子から事情を聞いた。
その内容から連行は無理だと判断した広美は、一旦置屋に戻り芸者姿に着替えた。
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芸者姿で京都府警に到着した広美は前田刑事に電話した。
「林です。吉田恭子は踊りの稽古があり、現段階で連行は無理でした。鶴千代があなたを訪ねて行くわよ。そろそろ京都府警に到着する頃です。白井悦子に対面させればアリバイが崩れるわよ。」と指示して受付に行った。
芸者が前田刑事に面会だと受付から連絡があり、喜んで受付まで鶴千代を迎えに行った。
刑事でもない鶴千代に容疑者の対応をさせる事に疑問を抱いた刑事もいたが、事情を知っている緒方係長が許可した。
広美が鶴千代として白井悦子に会い、問い詰めてアリバイが崩れた。
その様子を見ていた西田刑事が、「鶴千代さん、問い詰めるのが上手ですね。丸で刑事のようだ。」と隣室からマジックミラー越しに確認して感心していた。
アリバイ工作した事が決定的な証拠になり逮捕され、吉田恭子も、「鶴千代が見破ったのか!余計な事しやがって、覚えていろよ。」と認めた為に逮捕された。
広美は鶴千代だとばれないように、吉田恭子には刑事として会わなかった為に、吉田恭子は鶴千代が刑事だとは最後まで気付かなかった。広美は、吉田恭子が他の刑事に確認して正体がばれる事を避けたかったようでした。
次回投稿予定日は、6月3日を予定しています。




