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冒険者

西部劇なんかでよく見るような酒場を小綺麗にして、この国に伝わる昔話「勇者ハイド」の一場面、龍に挑む聖騎士モチーフの看板をかけた建物。


エルフ、獣人、リーザードマン、ドワーフ・・・様々な種類の亜人と、色とりどりの装備を身につけた人間達が出入りするこの建物こそ、かの有名な冒険者ギルドなのです!


「・・・の割には人がいないね〜」


併設されている酒場で飲んだくれている中年冒険者数人と多分食材採取の依頼をしに来たらしき屋台のおじさん。

そこには想像していた活気溢れる冒険者ギルドではなかった。


「私が想像してたのはたくさんの冒険者達が集まって意気投合したり、一喜一憂したりしててすごく騒がしいと思ってたんだけど」


ベルゼブブと念話で話す。


最初にこの能力を知った時は驚いたものだがよく考えれば最初に出会った時にも使っていたので、最近はずっとこれで会話をしている。傍目から見ればハエと話している訳だし、この能力があってよかったとつくづく思う。


そんなことを話していると、ベルゼブブが不意に何かに反応した。


「どうした?」


「朝方、もしくは夜ならばそのような光景が見れるかと。冒険者と言っても所詮は力自慢しか能のない野蛮人の集まりですのでオススメはいたしませんが。昼時はクエストの遂行や装備の新調、携帯食やポーションなどの補充を行うことが普通なので、あまり冒険者は居ません。いるとすれば中途半端な実力しかなく行き詰まった中堅冒険者のみです。」


・・・おかしい。念話を使わず、わざと周りに聞こえるように言ってる。澄ました顔をしているが、明らかも声が大きい。ただ、何か考えがあってのことだし、何も言わない方が良さそうだよね


「おい!」


やはりしっかり聞こえていたらしく、酒場にいる呑んだくれ中年冒険者四人組だけでなく、受付のお姉さんまで営業スマイルが崩れかけてこめかみがピクピクしている。


特に四人組のリーダーっぽい人は一番苛立っているようで足踏みが激しくなっている。


そのうちに我慢できなくなったのか、立ち上がって


「なあ、あんた。ちょっと外出ようや。話し合いが必要みたいだしなぁ」


そう言った後何か受付のお姉さんに目配せしてお姉さんが少し強張った様子で返すのを確認した後、入り口に向かって歩き始めた。


「行きましょう、お嬢様」


え、行くの?と聞くと、行けばわかります。とだけ言ってさっさと出口へ歩き始めてしまった。


ベルゼブブがいないと何かあったとき危ないし・・・仕方ない。行くしかないか


私がベルゼブブの後について歩き始めると後の三人も示し合わせてあったかのように迷わず私たちの後ろについた。


・・・


・・



「ねえ、大丈夫なの?」


歩き始めてから十数分が経ち、どんどん薄暗い路地に入っていくので流石に不安になってベルゼブブに尋ねたが、返ってきたのは、


「私がいる限りお嬢様には一歩たりとも近寄らせません」


という、頼り甲斐はあるがなんとも漠然とした返答しか返って来ず、次第にもやもやが強まるばかり


(ああああ、我慢できない!私は知りたいことをお預けされるのが一番嫌いなんだよ!さっさと教えろ!)


と我慢の限界に達し怒鳴りかけた瞬間、くるりとリーダー格の男がこちらを振り返った。


「やれ」


その言葉を合図に周囲の家の屋根から軽装の男たちが飛び出し、一斉に襲いかかってきた。


それと同時にベルゼブブの体から煙のようなものが溢れ出してあたりを包み込み、視界が晴れた時にはおそらく刺客だったものが無残な姿で地面に転がっていた。


「さて、話してもらいましょうか。君たちの所属するチームについて。そして、帝国からの依頼について。」


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