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第六天魔王、異世界に降臨す  作者: ネツアッハ=ソフ
異世界へ
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対話、そして

 現在、王城のある一室は極限の緊張状態にあった。魔王、織田信長の存在があったからだ。


 近衛の騎士達は王を守る為、身構えている。


 信長はそれを鼻で笑い、王と向き合う。その威圧感に王は一瞬たじろぐ物の、何とか信長を睨み返す。


 「わしは言ったぞ、無粋な者には容赦(ようしゃ)はしないと」


 「・・・・・・ああ、その通りだ。して、そちは何が望みだ?」


 邪魔をしようとした伯爵(はくしゃく)は殺された。その後、この魔王は何を望むのか?


 それが問題だ。しかし———


 「いや、特に何も無いな」


 「っ、何だと?」


 王は怪訝な顔をした。そして、同時に不気味に思った。


 この状況下で何も要求(ようきゅう)しない事ほど不気味な事は無い。そう、理解した。


 と、その瞬間宮廷魔術師長のクリフォトが間に割って入った。


 「ふむ、何の用か?」


 「では、話に割り込む事をお許し下さい。貴方は特に何も無いとおっしゃった。しかし、何かあるから我等の前に姿を現したのでは?」


 「・・・・・・ふんっ、そうだな。ならば一つ、要求をしようか」


 「・・・・・・・・・・・・っ」


 信長の言葉に、緊張が高まる。一体どんな要求が来るのか?全員が身構える。


 そんな姿を、信長は嘲笑(あざわら)った。


 「わしの要求。それは、この王城を我が拠点(きょてん)にする事だ」


 「「「!!?」」」


 戦慄が走る。それは即ち、国の中枢を明け渡せと言っているような物だ。


 思わず怒声を浴びせようとした王の前に、ミアが立った。


 「それは聞けません。貴方に、国は(わた)せません」


 「ほう?それはわしを敵に回すと(とら)えてもよいか?」


 信長はじろりとミアを見る。しかし、その顔は楽しげだ。


 王と騎士達、宮廷魔術師達は黙ってミアを見ている。ミアは信長を真っ直ぐ見据えて言った。


 「貴方と敵対する気はありません。しかし、国は渡せません」


 「では、どうする?お前はわしに何を渡す?」


 「魔王の領域です」


 「「「っ!?」」」


 周囲は愕然とした。そして、同時に妙手(みょうしゅ)だと全員が思った。それは、つまり———


 「我が国は渡せません。しかし、魔王を倒せばその領土は譲りましょう。・・・その為に、どうか魔王を討って下さい」


 つまり、そういう事だ。魔王を討つのに力を貸して欲しい。その代わりにその後の領土は譲ろう。


 要はギブアンドテイクだ。


 信長は笑みを浮かべ、(たの)しげにミアを見た。


 「ほう、小娘がわしに交渉を持ち掛けるか」


 「はい、それに信長様は私を小娘と侮ってはいないでしょう?」


 この時、初めてミアは強気な笑みを浮かべた。どうやら、信長を相手に微塵も臆していないらしい。


 今度こそ、信長は盛大に笑った。


 「はははははははっ!!!良い、実に良い!!良いだろう。魔王アロウを討つ力を貸そう!!!」


 信長は、そう宣言した。

ちょっとした豆知識。信長を裏切った明智光秀だが、むしろ光秀は自身を取り立ててくれた信長に感謝していたらしい。

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