エピローグ
「本当に、あれで良かったのですか・・・?」
帰還の途中、アルトラがそう問い掛けてきた。彼女が言うのは波旬、つまり魔王マーラの事だ。しかし信長は首を横に振る。大丈夫だと、その表情は力強く告げている。
「あれとはまた、しばらく話し合う必要があるだろう。波旬にはどの道、対等に話し合える存在が必要だという事だろうの。故に、またわしが行こう・・・」
「・・・そう、ですか」
その言葉に、アルトラは深く頷く。波旬は常に独りだった。だからこそ、対等に渡り合える者が今まで一人として居なかったのだろう。しかし、今は信長が居る。
だからこそ、信長がその《対等》になる必要があったのだろう。だから・・・
「まあ、気楽にやっておくさ・・・」
そう言って、信長は笑った。魔王らしい、泰然とした笑みだった。
・・・・・・・・・
その後、信長は自身が言った通り度々波旬に会いに第六天他化自在天に出向くようになった。最初は困惑していた波旬も、今では楽しげに信長と会話するようになったという。
魔王アロウとステラ王国は、正式に和睦を結ぶ事となったようだ。この背景にも、実は信長が暗躍していたりするとかいないとか?真偽は不明だ。
そして・・・
「信長様・・・」
現在、信長とミア王女は王国の東方に来ている。綺麗な花園が、其処にあった。花園を、妖精が戯れて飛び回る光景が何とも幻想的だ。此処は王国でも屈指の名所である。
ミア王女も今ではすっかり成長し、とても美しい容姿になった。対して、信長はこの世界に転移してから全く歳を取っていない。二人が寄り添う姿は、何処か微笑ましい気もしないでもない。
・・・恐らく、見る者によれば歳の離れた夫婦に見えなくもないだろう。
「・・・・・・・・・・・・」
信長は考える。どうしてこうなったのか?
考えてみても、答えは出ない。しかし、ミア王女の笑顔を見ているとそれもどうでもよくなる。
信長は苦笑して、空を仰いだ。ソラは青く、とても良い空だ。
・・・信長の物語は、これからもまだまだ続く。




