目覚めた直後の珍事
「・・・・・・・・・・・・む?」
信長が目を覚ますと、妙に頭の下が心地良かった。何か、柔らかい物の上に頭を乗せているような。
それに、目の前に誰かが居る?その誰かが、信長の頭を撫でている?
その直後、答えの方から話し掛けてきた。
「目を覚ましましたか?ノブナガ?」
「む、貴様か。古き神よ」
「ですから、その古き神というのをやめてくれませんか?」
創世神アルトラだった。現在、信長は彼女の膝枕の上で寝ていた。普通なら、いきなりの展開に頭が混乱して挙動不審になる所だろう。しかし、其処は信長だ。この程度、動じるには値しない。
全く、これっぽっちも混乱など見せずに創世神に問う。むしろ不敵に笑う。
「何だ?そんなに嫌か?」
「ええ、嫌です。だって年寄り臭いじゃないですか」
何だ、そんな事かと信長は呆れ果てる。一瞬で、信長の表情が呆れに変わる。ジト目で女神を見る。
「そもそも、お主に年齢という概念など無いだろうに?」
「じゃあ、私の事を名前で呼んで下さいよ。ノブナガ?」
照れたように頬を染め、指先をつんつんと合わせる女神。その姿に、威厳など欠片も無い。
むうっと、信長は唸る。面倒臭い事この上ない。しかし、この神は絶対に納得しないだろう。それを信長は嫌というほど知っているのだ。創世神は、期待するように信長を見る。
この女神、もう駄目かもしれない。そう、信長は思った。威厳の欠片も無い女神、致命的だ。
信長は深く溜息を吐き、言った。
「アルトラ」
「っ!!?」
顔を真っ赤に染める創世神。一体何がしたいのかと信長は半眼になって彼女を見る。
一応、これでも女神アルトラは美女の類に入る。否・・・むしろ、彼女と比べたら人類など全員が醜い豚に見える事だろう。全く見惚れない信長がおかしいのだ。
しかし・・・まあ・・・
信長は思う。世の女性全てがうらやむ美貌を持つ女神が、今現在頬に両手を当ててイヤンイヤンと嬉しそうに頬を染めている様は、どうにも俗っぽい。本当に彼女は女神か?思わず疑いたくなる。
信長は思う。初めて会った時は、もっと威厳のある女神だったのにと。それが今やポンコツ女神。
実に泣けてくる。泣かないけど。全く泣かないけど。
「して、其処の阿呆女神?」
「誰が阿呆ですかっ!!?」
「お主だお主。して、アルトラよ。少し聞きたい事があるのだが?」
アルトラは少し不服そうに頬を膨らます。対する信長は相手にもせずに問い掛ける。
「わしが寝ている間、一体何があった?」
それだけが重要だと言わんばかりに、信長はそう問い掛けた。




