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第六天魔王、異世界に降臨す  作者: ネツアッハ=ソフ
異界のダンジョン
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蹂躙劇

 「ふははははっ!!!蹂躙(じゅうりん)の始まりだっ!!!」


 影が地面を走る度に、魔物の軍勢が血しぶき上げて倒れていく。魔王城に住まう魔物の軍勢が、信長の繰り出す影の魔物達によって(ほふ)られていく。


 ・・・それはもはや、戦争とすら呼べない。只の掃除だ。魔王城は現在、文字通りに信長によって蹂躙を受けているのだ。それを、ヨーランは只呆然と見ている。


 「えっと?ノブナガさん?」


 「・・・ん?なんぞ?」


 ヨーランが話し掛けると、信長は首だけ振り返った。その隙を見て、一匹の魔物が斬り掛かる。


 それを、信長から躍り出た影が微塵(みじん)に切り刻んだ。


 「えっと、さっき異界から脱出した時もそうだったけど・・・。その影の魔物は一体・・・?」


 「うむ、わしは体内で無限に魔物を産み出し()っているからの」


 「へ・・・?っはぁ!!?」


 ヨーランは驚愕の余り思わず絶叫を上げた。まさに魔王、これぞ第六天魔王波旬(はじゅん)の本領であると言わんばかりの所業である。まさしくこれぞ、魔物の王だ。


 魔王の息子、ヨーランは唖然とした。強いとは解っていたが、これはもはや別次元だ。


 ・・・いや、もはや強いとか弱いとかの次元には居ない。文字通りの怪物だ。


 そうこうしている内に、信長は魔王の城の深奥に近付いていた。もう、魔王アロウの許まですぐだ。


 と、その直後・・・。


 「ギイイイアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!」


 魔王城全体を揺るがす咆哮(ほうこう)が響き渡る。直後、信長のすぐ横の部屋から巨大な閃光が奔った。


 それだけで、魔王城が半壊する。信長とヨーランは・・・普通に無事だ。二人は影に守られ、傷一つ付いてはいなかった。どころか、信長に至っては余裕そうに笑っていた。


 「・・・ほう?これが噂に聞くドラゴンという奴か・・・・・・」


 「いや、ずいぶんと余裕だな?魔物の中でも最上位の怪物(かいぶつ)だぞ?」


 そう、其処にはドラゴンが居た。数多と居る魔物の王にして、怪物の王。黒い鱗に身を包んだ燃える真紅の瞳のドラゴンである。その力は、文字通り魔物の中でも最上位。


 しかし、信長に焦りは一切ない。それと言うのも、信長は例え最上位の魔物が相手でもそれを上回る怪物を産み出す事が可能だからだ。


 ・・・そう、例えば。


 「星喰(ほしく)いの魔物———」


 星々を喰らう魔物であってもだ・・・。


 信長の影から、()せ衰えた巨人のような怪物が現れる。その怪物が放つ、途轍もない異様な気配にドラゴンは思わずたじろいだ。魔物の王であるドラゴンが、後退ったのだ。


 この怪物の危険性を、獣の本能で正しく理解したのである。こいつはヤバいと。


 しかし、星喰いの怪物は逃がしはしない。四つん()いの体で怪物はドラゴンに躍り掛かった。


 「ギ、ギイイアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」


 ドラゴンは咆哮と共に閃光を放つ。しかし、その閃光を物ともせず、怪物はドラゴンに食い付いた。


 ドラゴンは必死に暴れる。しかし、怪物は決して放さない。ドラゴンの肉を、骨を、全てを喰らう。


 やがて、絶叫が小さくなりそのままドラゴンは怪物に食い尽くされた。


 ・・・そして。


 「よくやった、星喰い。我が胎内(たいない)に戻れ」


 「ギイッ」


 怪物は一声鳴くと、信長の影に戻っていった。その光景を、ヨーランは呆然と見ていたのだった。

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