異界ダンジョン
「・・・・・・ぬ、此処は何処ぞ?」
気付けば、其処は何処かの遺跡の中だった。古びた石造りの遺跡、その内部に信長は立っていた。
窓の類は無く、壁に生えた苔のような物が光を発している。
信長が首を傾げていると、背後から声が掛かった。
「おじさん、誰?」
唐突に聞こえてきた声。その声は背後から聞こえてきた。声からして、少年を思わせる。
信長は薄っすらと笑みを浮かべて振り返った。自身の背後を取った者の顔を拝みたくなったのだ。
すると、そこには・・・。美しい容貌の少年が居た。その少年の顔に、信長は目を見張る。
「・・・蘭丸?森蘭丸か?」
「いや、誰それ?・・・俺の名はヨーラン、魔王アロウの息子さ」
「・・・何?いや、しかし似ておる」
・・・珍しくうろたえる信長。それもその筈だ。このヨーランと名乗る少年、信長の家来の森蘭丸と瓜二つなのである。それも、生き写しと呼べるくらいにそっくりだ。
ヨーランは首を傾げながら、まあ良いかと笑った。その笑みが、ますますあの蘭丸にそっくりで信長は更にうろたえる。信長を此処までうろたえさせるとは、中々の人物だ。
それもその筈。森蘭丸は信長の家来で数少ない信長のお気に入りだったからだ。
「まあ、良いや。おじさん此処で何してるんだい?」
「そのおじさんと言うのはやめんか。わしには信長という名がある」
「そう、じゃあ信長。此処で何してるの?」
その問いに、信長はふむっと唸った。顎に手をやり考える仕種をする。
「わしにはまず、此処が何処なのかも解らぬのだがな・・・」
「・・・?そうなのか?」
「うむ、実はお前の父を倒そうとしたのだが・・・逆に此処に跳ばされてきたのだ」
その言葉に、ヨーランが驚いた。目を見開いて、珍獣でも見るかのように見る。
「信長は馬鹿だなあ・・・。あの父さんに勝てる筈が無いのに・・・・・・」
「む?何を言うか。わしとて此処とは違う世界では魔王と呼ばれた者ぞ?勝てぬ道理など無いわ」
第六天魔王・・・。その名は決して伊達では無い。魔王に相応しい力が信長にはあるのだ。
その名乗りに、ヨーランは面白そうに笑った。
「へえ?異世界の魔王か・・・。だったら、一つ賭けをしよう」
「・・・・・・む?」
信長は怪訝そうに首を傾げる。ヨーランは不敵に嗤って信長の顔を覗き込んだ。
その表情は、なるほど魔王の息子と言うだけはある。怪しい美貌を放っていた。
そして、信長に宣戦するように言った。
「この異界ダンジョンから見事抜け出す事が出来たら、俺は信長の支配下に入ろう。その代わりに脱出出来なければ・・・信長は永遠に俺の玩具だ」
「・・・・・・ほう?」
その言葉に、信長は嗤った。
さて、森蘭丸のそっくりさん登場。




