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第六天魔王、異世界に降臨す  作者: ネツアッハ=ソフ
異世界へ
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暗雲

 現在、信長は王都(おうと)から少し離れた所にある草原に居た。王都東側、マーナリウス草原。なだらかな丘陵地帯にその草原はある。


 その中央に一本だけ存在する大樹(たいじゅ)。その幹に背を預け、信長は立っていた。


 広大な緑の大地。雄大な自然の息吹。実に見事な物だ。素直に素晴らしいと感じる。


 日の沈む時刻、信長はその景色に見入っていた。


 「・・・やはり、何時見てもこのような自然(あふ)れる景色は素晴らしい物だ」


 夕日の赤と相まって、草原の緑が映えている。これぞまさしく、自然の調和だ。そう思う。


 信長がその景色を見ていると、背後からミア王女の声が聞こえた。


 「・・・そんな事を言う為に、私を此処に呼んだのですか?」


 「まさか。此処にお前を呼んだのはもっと重要な理由がある」


 そう言って、信長はミア王女に笑い掛けた。その笑顔は珍しく、暖かな物だった。


 その笑顔に、ミア王女は何故か懐かしい気持ちになった。しかし、その気持ちの出所をミア王女はまだ知らなかった。


 「・・・・・・どんな理由ですか?」


 「お前の前世の事だ、帰蝶(きちょう)


 「・・・・・・私の前世?帰蝶?」


 怪訝な顔をする王女に、信長は頷く。その顔は相変わらず暖かい笑顔を浮かべている。


 ・・・何故か、懐かしい気持ちが強くなっていく。この気持ちは一体何だろう?


 ミア王女は不思議な感覚を味わっていた。


 「お前も感じているのだろう?不可思議な懐かしさを・・・」


 「それは・・・」


 「その感覚は正しい。何故ならお前は・・・・・・」


 信長は一瞬の間を開け、ミア王女に告げた。


 「お前は我が妻、濃姫(のうひめ)の生まれ変わりだからだ」


 「っ!!?」


 愕然。ミア王女はそんな表情をする。前世の縁を持ち出すなど馬鹿馬鹿しい。しかし、否定出来ない。


 何故ならその名を出された瞬間、何故か納得している自分が居たからだ。


 濃姫。その名を聞いた瞬間、何故か納得した自分が居た。


 その話を詳しく聞きたい。そう思った。しかし・・・。


 「へえ?なるほど、お前達はそういう関係かい?」


 不意に、話に割り込んでくる者が居た。それは一匹の魔物、否、魔族(まぞく)だった。


 「っ、魔族!?」


 「ふむ、無粋な真似を・・・っ」


 信長は腰に差した刀で即座に魔族の首を()ねた。しかし・・・。


 「むっ?」


 「ひゃはっ、一名様ご案内~!!!」


 瞬間、空間に黒い穴のような渦が発生し、信長がそれに呑まれる。黒い渦は信長だけではなく、魔族すら呑み込みそのまま閉じた。


 「・・・・・・・・・・・・信長様?」


 呆然としたミア王女の声だけが草原に(むな)しく響き渡った。

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