終わりの始まり
俺の名前は竜師アキラ。大学生だ。2年前から学校をやめ、今謂わゆる社会の最底辺の最弱、つまりニートということになっている。
コートを着て少し身震いする。
ニートの俺にとっては二ヶ月ぶりの外だ。無理もない。
「今日は今月一番の冷え込みとなっています。昨日から雪が降り続いており、道路が非常に滑りやすいので運転する方は気つけてください。また....」
テレビを消してコンビニへ向かう。今日は家に親がいないので食料調達のためだ。
「サンドウィッチとコーラですね。二点で243円になります。」
コンビニを出て交差点を曲がれば俺の家だ。距離は300mほどである。
突然足がズキズキと痛み出した。
「おいおい、たった300m走っただけで筋肉痛かよ。笑えねぇなw」
「しっかし、さすがに家に引きこもるのも飽きてきたな。もっとなんか刺激のあるものでも欲しいな。例えば空からお金が降ってきたり、チート魔力に目覚めたりしねぇかなぁ・・」
「まっそんなことはないか」
ここら辺は俺の前の学校の知り合いも通る。なるべく会うのは避けたいので俺は家に向かって走った。
筋肉痛がズキズキと痛んだが、それよりも見つかるのが嫌だったので全速力で走った。
ちょうど交差点を抜けた先、俺は黒い蝶を見た。それはとても綺麗で、とても不気味だった。
交差点で俺がその蝶々に見入っている時に何か音がした。クラクションの音だった。
「キィッーキィー」
次の瞬間、俺は宙を舞っていた。体は言葉に表せないほどの衝撃を受けたが、なぜか頭は冷静だった。
「確かに刺激的なものが欲しいって言ったけどこれは求めてねぇよ。まぁこんな人生を送るくらいなら死んだほうがマシだったかもしれんな。俺が消えたら親は悲しんでくれるのだろうか?俺の知り合いは悲しんでくれるのだろうか?俺の友達は?そもそも俺に友達なんかいたか?あぁ...もう少しだけ生きていたかったかもなぁ・・・」
その後すぐに意識が暗闇に消えてしまった。