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Virtual World of WarⅢ・仮想世界の戦争  作者: 11月 ミツシ
序章
14/15

第13話

 日本国大阪市某所。

 彼らはある遊園地にいた。


「先生…」

「どうした?」

「いえ…、先生は何故政界に入ることにしたんですか?」

「…。」


 先生は観覧車の中で静かに外の景色を見ていた。

 

「秘書君、理想的な指導者とは何だと思う?」

「理想的…、ですか…?」

「左様」


 秘書は必死に考えた。理想的な指導者とは何か…?


「…。すみません、思いつかないです」

「だろうな…。理想的な指導者は私欲で動かされることなく、強くカリスマ力もあり、民衆をも虜にできる公約と演説力が必要だ。だがね…、君はこれらすべてを携えた政治家を見たことはあるか?」

「……。」


 今度は秘書の男が黙り込んだ。


「私はね、これらすべてを携えた男になりたかったのだよ…。だが、現実はそう甘くはない。結局私は私欲に物を動かされ、それに抵抗する力もなくなった。衆議院議員でしかなくなったのだよ…」

「…!そんなことは…」

「いいんだ…。君も政界に入るには十分注意したまえ。絶対に金で動かされる政治家になるな」


 観覧車は静かにゆっくりと地面へ近づいていった。

 そして彼らはまた、静かに無言のまま観覧車のゴンドラを降りていった。


 ♦♦♦


 初期リス地点の広場の一角、そこに俺はたたずんでいた。

 周囲にはプレイヤーと思わしき人たちで溢れかえり、広場の様々な場所では武器や食料など様々な露店が並んでいた。

 その理由はフレンド申請が来た俺の幼馴染兼母親(本人談)の神奈 柚木ユズを待つことである。

 フレンド登録をすると、ログイン中か否かや殿ゲームにログイン中かなど一通りのことを把握できる。

 そのユズはというと…


「お待たせしました~」


 相変わらずのゆるぽわどでやってきた。

 

「ええっと、ユズさんで間違いないかな?」

「そうだよ~。ええっと…先生は諭吉ちゃん出会ってるよね…?」

「そうだけど…。あんまり本名で呼ぶなよ…?」

「はぁい…?ん?あれ?」

「どうした?」


 自分用のウィンドウを覗いていた柚木が、ポピュ?と首を傾げた。


「ねぇ先生…。何で基本値が0なの?」

「はぁ?どういうことだ?」

「だって、ほらここ…」


 そういい柚木…もといユズは自分のウィンドウを他人にも見えるようにした。

 そして、フレンドリストのところの俺をよく見てみると…。


「なっ?!えっ?」


 そこにはこう書かれていた。


・HP、100

・MP、100

・忍耐力、0

・技術力、0

・特殊能力なし


 ってええ?!!


「ちょ…、これ…」

「先生…。」


 俺は絶句した。この数値は常識というよりシステム上あり得ないはずだ。何せ、所属兵科が無くてもある程度の補正はかかり、平等的に分配される。つまり忍耐力や技術力がオール0はありあえなはずだ…。なのに…


「何で…?0…?」


 2度見してしまうほど衝撃的であった。


「先生…。運営に問い合わせてみる?」

「…。そうだな…ちょっと落ちるな…」

「うん、そっかぁ…。もう遅いし私も落ちるよ。」

「そうか…」


 俺は首元をダブルクリックした。

 ウィンドウが表示され、俺は底のゲームを終了するを選択する。なおセーブは基本的に自動的に行われているが、抜けるときでもセーブは出来るので、心配だったらそっちの方がいいと思う。

 

「じゃあね~」

「おう」


 ユズがログアウトし、アバターが消えていくのを確認したら、俺もログアウトボタンを押す。

 視界が暗くなっていき、次の瞬間、俺の意識はリビングのソファーに座っている現実世界の俺へと戻っていく。

 ヘッドギアを外し、テーブルの上に置かれていたVR付属の小型端末の電源を入れた。

 メニュー画面が表示され、画面の一番下…『?』と書かれているところをタップした。


『はい、こちらはサポートセンターです。ご用件をお選びください

・質問、感想

・ゲームの不具合

・お問い合わせ

・ルールの確認』


 ゲームの不具合と書かれたところをタップする。


『ゲームの不具合ですね。内容をお伝えください』


 記入欄が表示され、そこを埋めていく。


『…。以下で間違いないでしょうか』


 はい。


『運営に問い合わせをしました。返事が来るまで少々お待ちください』




 数分が経過し、運営からの返事が来た。

 だが、俺はその内容に目を見張った。運営は…


『お客様のプレイヤーIDから確認しましたところ、確かに不具合がございました。ですがサーバーシステム上1度設定されたアカウント情報は再入力できません。再入力を行う方法はデータの消去は望ましいですが、もしかすれば不具合は治らない恐れもございます。サーバーを管理するAIシステムを現在確認中ですが、独立したAIによって作られたデーターを書き換えられることは出来ません。申し訳ありませんが諦めてください。』


 つまり、不具合によって俺のスペックは世界で一番最弱という事になった。

 



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