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Virtual World of WarⅢ・仮想世界の戦争  作者: 11月 ミツシ
序章
10/15

第9話

 授業が終わり、俺は歴史資料室へとやってきていた。歴史資料室はこの高校の歴史や祭りごと、町内の歴史などが一度に保管されている。

 時代が進み、インターネットやPCに保管している地域や自治体も多いそうだが、何故か友晃高校がある区は資料による管理の義務があった。


「し、失礼します…。」


 薄暗い室内、俺はおずおずと中へと入る。


「む?ああ、木津川か。ちょうどいい、そこにある紐を持ってきてくれ。」


 ええっと、紐紐紐…あった、これか。

 確かに入口の横にぽつんと置かれた、学習机その上に紐とはさみが置いてあった。


「先生!はさみはいりますか?」

「ああ、それも持ってきてくれ!今手が離せんでな!」


 俺はそれを手に持ち、先生の声が聞こえてくる方向へ歩き出した。確か声がしたあたりは……2-A、これは国語の資料集が多く残っている場所か。


「あの、先生。やってきましたけど、俺は何をすればいいんですか?」

「ああそうだな…。とりあえずここの2-Aの資料をいったん外に運び出して棚に積もっている埃を払いたいから、お前は私が棚から取り出した資料の束をその紐で何個かにまとめておいてくれ」


 先生は2-Aの資料を脚立で一つ一つ取り出している最中だった。その脚立の下にはここにあったのであろう資料の束(ほとんど本だが)がタワーのように積み重なっていた。


「あの、先生。どこに何があったか覚えとかなくていいんですか?」

「いいんじゃね?どうせ私の管理じゃなく区の教育委員会の責任だし」


 本当に大丈夫なのだろうか?

 

「じゃ、早速始めてくれ」

「わかりました」

 先生の指示通り、積み重なっていた国語の教科書などの資料を紐で何個かに仕分け、廊下へと運び出す。

 先生は棚から取り出した資料を床に落とし、その資料があった場所をきれいに雑巾で拭いていく。

 

 1時間後―

 2-Aの棚に積もっていた埃は…、あら何という事でしょう?!先生の雑巾がけのおかげで綺麗さっぱり無くなったではありませんか!そして国語の資料もこうして元通りの場所に置かれ、きれいになった棚を心なしか喜んでいるようにも感じられます…。なんかこんな番組ありそうだな…


「ふぅ…、ようやく綺麗になったか。よーしお疲れ様、もう帰っていいぞ!」

「あ、はい」


 結局何しにここへ来たんだっけ?


「んじゃぁ、気を付けて…ってそうだったそうだった。肝心なこと忘れるとこだった。」

「ま、まだ何か?」


 まさか、本題は別にあったとか!?


「最近、君の家やその近隣に不審な男2人組が出没するそうだ。もし不審車を見かけたり、何か気が付いた事があったらすぐに私に報告してくれ。まぁそれだけを言いたかった」

「不審車?」

「ああ、何でも、大きなバッグを背負った40~50代ほどの男二人組だそうだ。最後に目撃情報があったのは昨日の午前中、お前の家の前でな…。何か心当たりはあるか?」

「心当たりですか…。」


 日曜日と言ったら、俺や柚木が丁度VRを買いに行っていた時だった。ええっと、帰ってきたのが5時30分ほどで、親父が帰ってきたのが5時だそうだから…。家を出る前になくて帰ってきた後にあったもの…。あっ!


「一つだけあります!」

「なんだ、それは?!」

「丁度風呂に入ろうとしたときです、俺の部屋は2階にあるんですがその廊下に黒色の粉が落ちていたんですよ。」

「黒色の…粉?」

「はい。その時は黒コショウが何らかの拍子にこぼれ落ちたのかな?と思っていましたが、考えてみると、父は仕事で海外から帰ってきたばかりだし、俺は買い物に行っていたんで…」

「なるほど…。取り合えずこのことは校長に話しておく。もし、また何か変化や見つけたものがあったら知らせてくれ」


 そういうと、先生は急いで資料室を出ていった。

ポツンと取り残された俺は、何もできないので鍵をかけ、職員室へ戻すことにした。


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