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この星の名前は  作者: いちじく
第一章 学生編
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午後の授業もおわり

 「今日はここまでだ」


 17時ちょうど、コラン先生の言葉でようやく授業が終わった。

 教室に、ほっとしたような息が漏れる。


 午前中は戦術、午後は魔法理論に属性制御、そしてマナ干渉の初歩。

 内容はどれも難しくて、5歳の体にはちょっと堪える。でも、理解はできていた。不思議と、話がすんなり頭に入ってくるのだ。


 ——私は、やっぱりこの世界の“中の人”なんだなって、改めて思った。


「ふぁ〜……リィーエル、大丈夫? 疲れてない?」


 隣の席から、バニラさんが優しい声をかけてくれる。


「はい。ちょっと疲れましたけど……でも、すごく楽しかったです」


「そっか。えらいえらい」


 頭をぽん、と軽く撫でられて、少し照れくさくなる。


「おーい! おつかれさまーっ!」


 扉が勢いよく開いて、元気な声が響いた。

 入ってきたのは、昼間からハイテンションだったトマスさん。手には大きな籠が抱えられている。


「メイドリア、準備できてるってさ! ほら、歓迎会だよ歓迎会!」


「うおーっ!」


「トマス、もうちょっと静かにしなさいって……!」


 周囲がざわざわと騒がしくなっていくなかで、私は窓の外をちらりと見上げた。

 空はうっすら夕焼け色に染まり始めていて、学園の影が長く伸びている。


「……歓迎会、楽しみだな。どんな料理が出るんだろう」


 ぽつりと呟いた声は、誰にも聞かれなかったはず。

 でも、自分の胸の中に小さな火が灯ったような感覚があった。


 これから始まる日々に、不安はある。

 でも、それ以上に——今は、楽しみの方が大きい。


 そんな自分の変化が、少しだけ誇らしかった。


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