表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この星の名前は  作者: いちじく
第一章 学生編
4/14

この世界について

いわゆる設定です。

 私がリィーエルになって10日目。学園生活まで、あと4日。

 いつも通りに過ごしながら、この世界について少しずつ調べることにした。……というか、思い出している、と言ったほうが正しいのかもしれない。覚えていないことが、あまりにも多すぎるから。


 まず、この星は『リーヴェ』と呼ばれている。

 リーヴェを創ったのは、命の大神・アルテマリーヴェとサルテマリーヴェ。私の称号「大神の子」は、おそらくこの二柱の子供、という意味だと思う。


 その大神から生まれたのが、四柱の神——

 風神エアリィシャフト、地神ブレイルガルム、水神ウォーレンスーフィ、火神フレイアチャルガ。

 彼らの子たちは“精霊”と呼ばれていて、人々がマナを使えるのは、この精霊たちから力を借りているからだと言われている。


 特にカルフ族は、精霊に愛されているとされ、マナの扱いに優れる。一方で、ヒト族はほとんどマナを持たないため、「愛されていない」と冗談のように言われることもあるが、誰も気にしていない様子だ。……まあ、私もヒト族だけどね。


 リーヴェは四つの大陸に分かれている。

 ヒバリィ、カルフェ、グレランド、オーヴェ。

 ヒバリィとカルフェは魔物の出現率も低く、比較的住みやすい環境。一方、グレランドは山岳地帯で、凶暴な魔物が多く出現する。伝説のドラゴンが棲んでいるという噂もあるらしい。

 オーヴェは広大な雪原で、人が住めるような環境ではない。


 ちなみに、ヒバリィとカルフェは巨大な橋でつながっているけど、他の大陸に行くには船か飛行船を使うしかない。


 ざっと世界についてはこんな感じかな。

 本で読んで知ったというより、記憶を“思い出した”って感覚なのが、自分でも不思議だ。やっぱりこれは「転生」じゃなくて「前世の記憶」なのかな……? だとしたら、「縦文字の名前」はどう説明すればいいんだろう。うーん、謎が増えた。


 ちなみに、私がこれから通うゼアス学園は、なかなかの大きさだ。王都を外から見ると、お城の次に目立つのが教会、そして三番目が学園って感じ。

 学園都市を作る計画もあるみたいだけど、大人の事情で進んでいないらしい。


 学園と寮は同じ敷地内にあるから、いくら迷子スキル持ちの私でも、さすがに歩き回って迷うことはなさそう。たぶん。


 学園は、下級生・中級生・上級生の三つに分かれていて、みんな最初は下級生として入学する。

 五年に一度の試験に合格すれば中級生に進級できて、そこからは年に一度のテストで昇級/降級が決まる。

 試験に落ちれば下級生に逆戻り、受かれば上級生になれるというシビアなシステム。

 そして、上級生になると一年過ごすだけで卒業が可能になるらしい。……けれど、上級生について書かれた情報は、なぜか少ない。


「……お嬢様!」


「わっ!? メ、メア……急に大きな声を出さないで」


「本に集中されていたので、つい」


「ごめんなさい……」


 何度も名前を呼ばれていたのに気づかなかった。かなり考え込んでいたみたい。


「そういえば、メアは聞いたことある? 学園で上級生になったあとの卒業方法とか」


「うーん……ユキは『いろいろ大変だった』って愚痴ってましたけど、具体的に何が大変だったのかは話してくれませんでしたね」


「そうなんだ……」


 メアはカルフ族の父と、ヒト族の母の間に生まれたハーフだ。

 マナに恵まれなかったメアと違って、弟のユキはマナ持ちとして生まれ、学園に入学した。確か、3年前に卒業しているはず。


 それでも内容を教えてもらえないということは、何かしら“言ってはいけない”ルールがあるのだろう。

 ……「騎士になる!」って簡単に言ったけど、これは想像以上に大変な道かもしれない。


「お嬢様、お食事の時間です」


「もうそんな時間? 最近、時間の流れが早く感じるなぁ」


「本ばかり読んでいるからです。皺を寄せて読むのはおやめくださいね」


「寄ってたかな……。気をつけます」


 自画自賛だけど、リィーエルの見た目はかなり可愛い。

 商人の娘にもかかわらず、貴族の子と間違われるほど。実際、サルバドール家は平民だけど、下級貴族よりはずっと裕福で、貴族の地位にいてもおかしくないくらいだ。


 たまに王様から招待されてるし……アレって、地位を上げるための話じゃないのかな?

 父様、いつも手紙と睨めっこして「今回はどう断るか……」って呟いてるし。

 そのときの父様のしかめっ面、私も将来あんな顔にならないように気をつけなきゃ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ