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剣聖様はなぐらない?  作者: S/Q
3/14

剣と魔法

「シスター、薪拾いに行ってくるね。」

「あ、ありがとうアンナ。でも森の入り口までにしてね。」

「わかってるよ。それじゃ。」


 教会の懐事象はそれほどよくないので、孤児たちも畑の手伝いなどをして、シスターの手助けをしていた。

 薪拾いもそのひとつだが、薪を得るには森まで行く必要がある。

 もちろん、森の中には、獣や魔物が潜んでいるため、いつもなら村人に頼る必要があるが、あいにく今は畑の収穫期にあたる時期で、村人の助けを借りられず、シスターはアンナの薪拾いを許可した。


 村から少し離れ、森の入り口までやってきたアンナは、手早く薪になりそうな木の枝を拾い集め、その中から一本の枝をつかんだ。


「長さはこれくらいでいいかな。」

 その後、うっかり夕方まで剣の素振りを繰り返したアンナは、教会でシスターからすんごく怒られた。



「昨日はちょっと時間を忘れちゃったから、今日は気をつけよう。」

 昨日、数日分にはなる量の薪を持ち帰ったので、シスターは反対したが、まだ同じくらい落ちていたからと、説得し、アンナは今日も再びの薪拾いに出向いていた。


 昨日は素振りばかりだったので、今日は大きめの木を使い、打ち込みの訓練をすることにした。

 それから、村の外れの森の方からカンカンカンと小気味よい音が響き、近くを通った村人は何の音かと首をかしげた。


「うーん、今日はこれくらいにしておこうかな。」

 ほどよい汗をかいたアンナだったが、その表情はさえない。

 なんというか、上達した実感がないのだ。木に打ち込んでいるとき、たまに葉っぱが落ちてきたが、それに剣(を模した木の枝)を振っても、葉っぱはひらりとすり抜け地面に落ちた。


 なんかこう、話に出てきたように、スパッとまっぷたつとかならないかな…。


 それから数日、アンナは剣の上達に向けて、いろいろな訓練を行った。

 時には木の枝を削った木剣で木に打ち込み、また時には薪を数本ロープでくくったものを木にぶら下げ、それに打ち込んだり。

 だが、どのように訓練しても上達を実感する効果は得られなかった。


 剣の才能って本当にあるのかな…。

 あ、そうだ!村長に聞いてみよう。


 一般的なことならシスターに聞けばわかるが、村長は若い頃に冒険者としても活躍していたそうで、武道の訓練ならば、いろいろな知識をもっていそうだ。

 また、生活魔法と呼ばれる簡単な魔法も使える為、それも教えてもらえれば、村を出るときに役に立つ。



 翌日、村長の家を訪れ、庭の草むしりなどをして、お布施をもらった後に切り出してみた。

「あの、村長様。」

「どうした?アンナ。」

「剣の訓練の仕方って、わかりますか? 教会の弟たちにせがまれまして。」

「うーん、ワシは剣が専門ではないから分からんな。 でも昔パーティを組んでいた剣士は、よく素振りをしていたな。まぁ、実戦が一番とは言っていたから、木の枝でも与えて、チャンバラごっこでもさせてみればよいのではないか。」

「そ、そうですか、ありがとうございます。」

 あまり参考にはならなかった。実戦形式の稽古に、孤児院の幼児を付き合わせることはできない。


 となると、結局素振りかぁ。


「あ、そうだ、もう一つ。 あの、魔法ってどのように覚えたのですか。」

「ん、魔法か。ワシのは王都にある下級学園で覚えたんだ。かなり苦労したがの。

 魔法に興味があるなら、そうだ、良いモノがあるぞ。」

 そういうと村長は、そばの戸棚の奥の方から一冊の本を取り出し、アンナに渡した。

「これは、亡き妻の本だが、貸してやるから、読んでみるか?」

 手渡された本には『魔法学入門』と書いてあった。

「村長様ありがとうございます。お借りします。大事に読みます。」

 その日から、アンナは教会の手伝いや弟妹の世話の合間に、剣の素振りに加えて、魔法の訓練、夜には魔法学の本を読むことが日課になった。


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