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剣聖様はなぐらない?  作者: S/Q
2/14

目覚めと訓練

 

 とある王国の辺境領地にある小さな村で、アンナは目覚めた。


「アンナ!目が覚めたの!?」

「あ、シスター、おはよう」

「おはようって、体は大丈夫なの?」

「えっ…?」


 ――――――――――


 アンナは、この教会のある村で生まれたが、まだ赤ん坊の頃に両親を亡くし、それから孤児院を兼ねる教会で暮らしていた。

 教会には、他にも数名の子供がおり、不幸にも全員が親を亡くしていた。

 豊かな自然に囲まれ、食料に困らない村ではあるが、それは獣や魔物にも共通するため、野山での狩りや採取に慣れた者であっても命を落とすことがあり、孤児を世話する教会に、子供の姿は絶えなかった。


 最近、一番年上の孤児が、村の職人に弟子入りし孤児院を出たため、今年で9歳になるアンナが最年長になってしまった。

 アンナは、他の年長者に習い、同じ孤児の小さな子の世話や、シスターの教会仕事の手伝いを積極的に行っていた。


 この日も、教会の雨どいにたまったゴミの掃除を買って出たアンナは、3mほどのハシゴを器用に登り、雨どいを掃除していく。

「これで最後っと。」

 雨どいにたまった葉っぱや小さな枝を取り上げ、腰のゴミかごに入れる。

「ん?なんだろう…。」

 何か視線のようなものを感じ、太陽を見上げた途端、頭の中に<記憶>が流れ込んできた。


 !!!

 そうだ、私、転生したんだ。

 え、あ、やばい、意識が、とぶ…


「わあああ、アンナ姉がおちたああ!!!」

「きゃああ」

 そのまま意識を失ったアンナはハシゴから落下し、近くで掃除をしていたシスターや孤児たちから悲鳴が上がった。


 ――――――――――


 ベッドの上で目が覚めたアンナは、そばにいたシスターに思わず おはよう などと声をかけてしまったが、それは高いところから落ちたくせに、どこにも痛みもなく、それどころか非常にスッキリと目が覚めた為だった。


「アンナ、ほんとに大丈夫?」

「うん、もう平気。ほらどこにもケガしてないでしょ?」

「たしかに、そうね…。」

「心配かけてごめんなさい。シスター。」

「ううん。よかったわ。何もなくて。」


 シスターは、それでももう少し寝ているようにアンナに言いつけてから、孤児たちにアンナが無事であることを伝えに、部屋から出て行った。



「さて。」

 一人になったアンナは、記憶を整理する。

「前世の記憶もあるし。」

「こっちで物心ついた時からの記憶もある。」

 さすがに赤ん坊の頭に前世の18歳までの記憶を入れてしまうとマズいことになるのか、神様が気を遣ってくれたのだろうか。

 それなら、記憶の戻し方ももう少し気を遣ってほしかったが。


「そうだ、ギフトもあるんだ!」

 猫神がくれるといった剣の才能のことを思いだし、口元を緩ませるアンナ。


 その後、続々と見舞いに来る弟妹たちに、心配させたことを謝りお礼を言いながら、アンナは明日からの生活、騎士になる未来とそれに向けた準備に胸を躍らせていた。



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