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剣聖様はなぐらない?  作者: S/Q
1/14

転生とギフト

初の物書きです。

ポカや修正多めなのはご容赦ください。。

 一片の光もない真っ暗な空間。


 なんの匂いもないが、右のほほと半身から伝わるひんやりした感触。

 アンナは自分が倒れていることに気が付いた。


 あれ?なんで倒れてるんだろう、わたし。



 -----------


 高校の卒業式を終えて、来月から大学での新しい生活が始まる。

 高校まで禁止されていた、アルバイトとサークル活動が、大学生になれば許してもらえる。


 学校の帰り道、スポーツショップに立ち寄り、剣道に使う竹刀を手に取ったアンナは、にやけていた…。

 なぜか顔が赤い店員の視線に気付いて、アンナはゆるんだ口元を足早に立ち去るアンナ。


 アンナには二つ上の兄がおり、小学校時代から剣道を続けていた。アンナはよく兄の部屋に入り込んでは、剣道の本を盗み読んでいた。

 自室に戻ったアンナは、本棚から小説を取って、ベットの上で読み始める。

 中世で女性剣士が活躍する物語。アンナは剣士になりたかった。


 女は女らしく、という家訓のせいで、高校まで武道を許されなかったが、それも今日まで。

 剣道か、フェンシングも捨てがたい。というか刀剣を使うなら、何でも来い!


 家族は彼女が剣道に執心していると思っているが、アンナの興味は 剣士 にあった。


 大勢の敵を払いのけ、矢の飛び交う戦場を駆け抜ける。

 敵の刃を舞うようにかわし、敵将を討つ。


 妄想が止まらず、寝付けなくなったアンナは、コンビニに行くことにした。

 散歩を兼ねて飲み物と小説の新刊が出ていないか。そんなことを考えながら歩いていると、車道の真ん中あたりに何かを見つけた。


 「ん?ねこ?あとあのぼんやり光ってるのは石?」


 深夜、街灯の明かりだけなのに、まるで自身が輝いているような白い猫がそこにいた。

 そして道路の真ん中だというのに、じゃれるように薄く光る石で遊んでいた。


 「真っ白ですごくきれい。あ、こっち向いた!」


 なぜか白い猫から目が離せないアンナは、次の瞬間、その猫の背後からライトを付けていない車が迫っているのに気付いた。というか、気付くと同時に体が道路に飛び出していた。


 猫を抱き上げ、そのまま茂みのほうへ放った。アンナの突然の行動に硬直した猫は、それでもきれいに着地を決めて、茂みに姿を消した。

 アンナも路肩に転がり、車の進行方向から逃れた。

 …はずだったが、石を踏んだのか、アンナの目の前で突如その進行方向を変えた車は、寝ころんだままのアンナへ襲い掛かった。



 -----------



 アンナは気付くと、何も見えない漆黒の中にいた。


 「まっくら。あ、でも痛みもないや。」


 「これ、もしかして、あれかな。死んじゃったのかな、わたし。」


 「車が急にこっちに来て、そのあとどうなったんだっけ?」


 「でも、あの猫なんだったんだろ。きれいだったな。」



 『んん』

 だれかが、咳払いをした。


 「え、誰かいるの?」

 アンナが驚いて声をあげると、暗闇が突然、窓も家具もない白い部屋に変わった。


 「わっ」

 『だいじょうぶ。落ち着いて。』


 真っ白な部屋の真ん中、思わず声をあげて体を起こしたアンナの目の前に、白い猫がいた。


 「あ、あの時の猫!」

 『うん、その節はどうも。』


 「しゃ、しゃべったー!」

 『うん、だから落ち着いて?』


 当たり前のように話す猫に、自分の状況や今いる場所もそっちのけで驚くアンナに対し、片手をあげて落ち着くように促した猫は、何が起きたのかをアンナに話した。




 「じゃあ、あなたは神様で、あそこで落とし物をして、それに私が巻き込まれた、と。」

 残念すぎる顛末を聞いたアンナは、神を名乗る猫に低い声で尋ねた。


 『うん、いえ、はい…。』

 無表情ながら、目の奥に殺意をにじませたアンナに、神様はビビりながら答える。


 「で、わたしはこれからどうなるの?」

 『あ、はい。輪廻の輪にのって来世に

 言いかけた神様な猫の頭をわしづかみにしながら、アンナは殺意を隠さずに尋ねる。

 『あの、頭いたいんですが

 「今、この体のまま、あそこに戻してくれたらいんだけど?」

 『実体には戻せないんです、僕は時間も戻せな、痛い、頭が痛い』


 「じゃ、何ができるの?ねぇ?神様なんでしょ?」

 『ヒィ、あ、頭が』


 「それはいいから、答えて?」

 『ひゃい』

 『あ、て、転生ならっいけます!』


 「転生?」

 『はい、あの本棚の奥に入れてたライトノベルの

 「ぎゃあああ!!なに言ってんの!なんで知ってんの!!!」

 『ぎゃあああ!!ああ頭、頭がつぶれるー!!』


 隠してた本のことを話されて、アンナは動揺した。

 その本は女性剣士の活躍する小説本で、テレビCMをみた後にこっそり書店に走って手に入れたものだったが、あからさまに男性向けな表紙の本で、なんとなく本棚の奥に隠しておいたものだった。


 「あ、ごめんね、つい。」

 『いや、死ぬとこだったよ?ぼく神様なのに…。』

 「ごめんって。それで、転生って?」

 『だからあの本の、いえ、すいません。あのですね』



 復活ができないと聞いて、目の前が真っ暗になったアンナだったが、転生と聞いて心が躍った。

 この世界にも未練はあるが、聞くとこの猫神の世界は、剣と魔法、そして魔物や亜人種がいる、まさに王道のファンタジー世界、そこに 特別な力≪ギフト≫ とともに転生できるという。


 「じゃぁそれで!!」

 『・・・』

 悩むことなく即決したアンナを半目で見ながら、猫神は続ける。


 『で、どうするの、ギフトは?』

 『お金?それともどこかの貴族の子供にでもなる?伝説の武具ってのもあるよ?』


 「剣!剣の才能を!」

 伝説の武具に若干の興味を抱きつつ、アンナは自分の欲望に従った。


 『けんの才能?面白いねそれ。わかった!じゃぁそれで。』

 「やった!」

 『とは言っても才能だけじゃアレだし、いくつかおまけも加えとくよ。』

 「へ? あ、ありがとう、ほんとに神様みたいだね!!」

 『いや、ほんとに神様だよ…。』



 こんな感じで、アンナは異世界に転生をはたすのだった。

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