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課長ノロウ
初夏。
季節の変わり目に弱い私は、
この中途半端な気候の変化に決まって風邪をひく。
「もしもし、臼井ですが」
午前8時、出勤前。
会社に休みの連絡を入れる。
・・・が、課長が電話に出たのが運の尽き。
くどい説教を永延と聞かされたおかげで、
私の体調不良はもはやピークに達していた。
重い腰を上げ、ズルズルと布団に入る。
死ぬ。このままじゃ。
長年愛用してきた目覚まし時計を手に取る。
長い針と短い針が仲良く重なり、
丁度、午前の11時を指している。
「あのハゲ課長。死んだら絶対呪ってやる」
体力の限界。
頭が朦朧とする。何も考えられない程。
意識を手放す前に私は、課長に対する呪いの呪文を呟き始めた。