088 紳士だけの二次会① 〜『あの』ワインの味は?〜
★★★
「わっ!?」
僕が窓のほうを見て再び驚いた声を上げたために、部屋の中のメンバーもまた警戒態勢をとった。さっきと同じように、窓の両サイドに立つグラスとパイン。そっと、慎重にグラスが窓を開けたところ。一見するとなんの変化もなかった先ほどとは違い、すぐに「キキッ!」という音が聞こえてきた。……。「キキッ!」って、なんだ? あれ? でもどこかで聞いたような記憶が……。
グラスとパインが困った表情を浮かべながら、互いに顔を見合せている。少しして結論を出したのか、パインが窓を閉じた。
「お騒がせをしてしまい、申し訳ございません」
そう謝罪を口にして、頭を下げるグラス。彼の腕の中には、昼に父上の私室部分で一緒に昼食を摂った、オレンジ色の体毛を持つサルの魔物が抱きかかえられていた。昼間と違って、今は緑色のリュックサックのような物を背負っているけど。あのサルの体格に誂えたみたいにぴったりで、かわいいな。
「あれー? マリーさんじゃない。久しぶり、やっほー!」
サルを目にしたとたんに発せられたパンジーの気安い挨拶に、僕も名前を思い出す。マリー……マリー……。正確にはマリーゴールド、だったよな? うん。
マリーはパンジーやセドロに向かって、「久しぶり」とでも言うように手をちょいちょいと振る。グラスはそんなマリーをたしなめるように手をそっと掴むと、再度頭を下げてマリーに関しての説明をし始めた。
オレンジ色の体毛を持つサルの魔物は、主に『ハーモニー山脈』内で現界する種であること。今グラスが抱っこしているのはテイム済みのメスの個体であり、マリーゴールドと名付けられて普段は『“影”の里』で飼育されていること。額に第三の目を持つ聡明な種の魔物で、敵味方の区別はきちんとつけられるし、この部屋にいる面々には攻撃したりはしないこと。などなど……。
昼間の僕もそうだったけど。初めて見る生き物に、マクローリンとシルヴェスター、両公爵家の関係者は興味津々といった感じで見つめている。
ひとしきり、グラスの説明が終わったことがわかったのか。マリーはリュックサックをガサゴソと漁り、一通の手紙をグラスへと差し出した。グラスが受け取るのを確認すると、邪魔にならないように配慮をしてか、パインが差し伸べた腕に自発的に移動をするマリー。本当に頭のいいサルだな。
封筒の表書きを、グラスが確認している間。パンジーがデザートで使い切らなかった皮ごと食べられるブドウの実を幾つか持って、パインの腕の中のマリーの近くへとやって来た。
「ねー、マリーさんさぁ。ミスルトゥってわかる? 他の木に寄生している植物。――わかる!? オッケ、オッケー! マリーさんがいる間でいいんだけど、王宮の敷地内のミスルトゥに目印をつけるとか、『土のクレイグ』と一緒に伐採するのを手伝ってほしいんだよねー」
ブドウの実を与えながら、そんなことをマリーにお願いするパンジー。マリーは手渡しされた果物を食べる合間に、「お任せあれ」と言っているかのように「キキッ!」と鳴いた。なるほど。サルという生き物は、木々の間を縦横無尽に飛び回れるって話だし。マリーゴールドが協力してくれるのなら、ちょうどいいのかも。シルヴェスター公爵やバーチ、オーキッド嬢も感心したように頷いているな。
「詳しい段取りは、決まったら教えるねー。たぶん、陛下の誕生祝いの催しの全日程が終了した後からになると思う。それまではクレマティスのお目付け役、ヨロシクー」
ブドウを全部食べきったマリーの頭をひとなでして、ワゴンのほうへ戻っていくパンジー。クレマティスのくだりを耳にしたパインは、マリーゴールドのあごの下辺りをこしょこしょしながら苦笑している。
パインの腹違いの姉でグラスの妻であるクレマティスは、【剛力無双】というスキルの持ち主で素の力が大変強い。強すぎる。王宮の備品や壁などの設備を破壊しないためのストッパーとして、マリーはクレマティスと共にいるのだという。
封筒に書かれていたメッセージを確認し終えたグラスが、顔を上げて口を開いた。
「マリーゴールドを通じて、この手紙を手配したのが私の妻で。中のカードは、マクローリン公爵婦人からのようです」
グラスの話を聞いたバーチやオーキッド嬢は、「おや?」と表情を動かす。バーチが「こちらへ寄越してくれたまえ」というように手を差し出したので、グラスがその上にカードを置いた。
「……ああ。もうこんな時間なのだな。普段のオーキッドならそろそろベッドに入っているはずだと、母が心配をしている」
「おお、私としたことが。配慮が足りなかったですな。申し訳ない」
「まぁ、おじ様。そんなふうに、おっしゃらないで下さいませ。私、この夕食会で耳にした話はどれも興味深かったですし、とっても勉強になりましたわ。リンデン王子・ローレル王子と共に歴史の話を聞けたことは、これからの王国にとっても必要な機会だったのだと思います。時間がたつのを忘れたのは、私もですわ。それに……。今日の食材が、どれも特別な品だったからでしょうか? 私、まだちっとも眠たくありませんの」
「おやおや。魔力が満ち満ちているのでしょうなぁ。それでも、もう遅い時間なのは確かです。今宵の夕食会はここまでとして、お開きと致しましょう」
オーキッド嬢のお母さんが心配しているとメッセージを受け取って、シルヴェスター公爵とオーキッド嬢は互いに言葉を交わし合う。そう言えばってアレだけど、オーキッド嬢ってまだ八才とかなんだよなぁ。夕暮れの時点でおネムだった、アコナイトやローズ嬢と同い年生まれの。オーキッド嬢のほうが大人顔負けのしっかり者だから、忘れそうになるけどね。
うん。僕も、この夕食会には参加して良かったと思う。勉強になったし、ためになる話も気になる話も注意をしなければならない話も聞けたし……。あとなによりも、料理がどれもおいしかった! 満足。満足? ……まだ食べられそうだけど。さすがに、これ以上はちょっと……ね? グラスが許してくれなさそう。
僕が、そんなことをつらつらと考えていると。誰かが「あ……」と呟く声が聞こえてきた。今の声は誰だ? バーチ?
「いえ、大したことではないのですが。まだ、伝えなければならないことがありまして。ああ、オーキッドは母の元へ向かってくれ。気になるというのなら後で教えるが、知らないままでも全く問題はないぞ」
バーチは「伝えなければならないこと」と口にしながら、僕達のほうをぐるっと見回した。ふむ。つまりは、フォレスト王家や“影”への伝言ってことだね。この後もこの部屋に残って、バーチから話を聞けばいいのかな。いよいよお開きかぁ。なんだかなごり惜し……
「旦那様」
「ああ! 本当に、私としたことが。今日のこの夕食会の、最大の目的をうっかり忘れてしまうところでした。――ローレル王子」
シルヴェスター公爵が席を立つ準備をし始めたタイミングで、腹心の部下のスコーが主人にそっと耳打ちをした。そのことがきっかけで、シルヴェスター公爵は大切な用件を思い出したらしい。そして公爵に呼びかけられた僕も、「そういえば。そもそも夕食会に呼ばれたのは、僕がメインで誘われたって話だし。ってことはつまり、僕だけに向けての言葉かなんかがあってしかるべきだよね」と思いいたる。
「陛下には、事前に話をしておりましたが。今夜のこの会食でローレル王子の人となりを確認した上で、あるものを託したいと考えていたのです。リンデン王子も共に。お二方には、是非とも受け取って頂きたい」
シルヴェスター公爵の言葉に、兄上は片眉をわずかに動かした。そんな兄上と公爵の顔を何度か見比べてから首を傾げる僕。
シルヴェスター公爵はおもむろに立ち上がると、兄上と僕の間くらいの位置で立ち止まって小さく呪文を唱え始める。やがて全身が魔力によってうっすらと輝きだすと、発動待機状態のままで公爵が僕達に語りかけてきた。
「我がシルヴェスター公爵領にも、ドラゴン様の住処がございます。普段は没交渉という体裁をとっておりますが、シルヴェスターの当主や跡取りに引き継がれる連絡手段が存在するのですよ。ローレル王子、リンデン王子。どうぞ、お手をお出し下さい。この『証』があれば、ドラゴン様に速やかにお目通りがかなうでしょう」
シルヴェスター公爵からの突然の申し出に。僕はちょっぴり戸惑って、兄上のほうを窺ってしまう。兄上は公爵の話を吟味するように目を閉じて考えていたが、やがて空色の瞳で僕を見るとしっかりと頷いた。
兄上が右腕を伸ばしたのにならって、僕もシルヴェスター公爵のほうへ右腕を差し出す。公爵は、呪文の中に僕と兄上の名前を組み込んで続きを詠唱し、魔法を完成させたようだ。全身を包んでいた魔力の光が弾けると、僕と兄上の右手の甲に魔法陣を刻んでから溶けるように消えてしまう。なんだか、前に父上から禁書庫への入室許可をもらった流れと似ているな。
僕はあの時と同じように、消えてしまった魔法陣を確かめるように手をグーパーと閉じたり開いたりしてみる。すると、突然。僕の右手を、シルヴェスター公爵が両手でしっかりと握り締めてきたではないか! えっと、兄上は? なんで僕だけ???
「ローレル王子。どうか、今のまま、健やかにお過ごし下さいませ。貴方様が成長した後には、シルヴェスターの、他の全てもお任せしたく存じます」
僕には、公爵がなんのことを言っているのか、全くわけがわからない。深く考えないままに「えっと……。ハイ、どうも?」と、思わず口が滑りそうになるが。シルヴェスター公爵が僕を見つめるあまりにも真剣な瞳に、僕はなんにも言えなくなってしまう。
……どれくらいの時間、そうしていただろうか? 部屋の中の誰もが黙って、ことの成り行きを見守っている。――と。シルヴェスター公爵が僅かな間、両目をきつく閉じた後で僕背後へと視線を移した。
「マクローリンのバーチが、シルヴェスターに許された『証』の委譲に立ち合い、見届けた。『提案』に関しては――積極的な賛成の立場であると表明する」
「同じく。マクローリンのオーキッドが、シルヴェスターが預かる『証』の委譲に立ち合い、見届けました。『提案』に関しては、私も賛成いたしますわ」
僕が、声のしたほうを振り返ると。バーチとオーキッド嬢が揃って右手を上げて、こむずかしい言い回しでなにがなにやらな内容のことを喋っている。えっと……え? ええっ? 部屋の中で僕だけが、なんにもわかってない空気なんだケド。これって、僕の被害妄想だよね? ね? ねぇっ?
そうやって、僕が心の中でプチパニックを起こしていたら。シルヴェスター公爵が握っていた手を離して、僕を落ち着かせるように、ゆっくり優しく僕の頭をなで始める。
「今は、まだ。そのままのローレル王子でいて下さい。私も。お渡しする物を見つけ出して取り戻せるように、精一杯の手を尽くしたいと思います。また、いずれ。時間をとってゆったりと心ゆくまで語り合いましょう」
シルヴェスター公爵は手を下ろすと、僕に「ニッコリ」と笑いかけてきた。今イチ状況がよく掴めていないけれど、悪い内容ではないっぽい? たぶん。うん。「また、いずれ」今夜よりも、もっとたくさんの時間でいろいろなことを教えてもらえたらいいな。
★
シルヴェスター公爵はオーキッド嬢の座る席の近くまで歩いて行くと、「スッ」と手を差し出した。
「お待たせしてしまって申し訳ない。マクローリン公爵婦人の元へは、私が責任を持ってエスコート致しましょう。お手をどうぞ、オーキッド嬢」
「まあ。おじ様にエスコートしていただけるなんて、光栄ですわ」
オーキッド嬢は、椅子から立ち上がるとシルヴェスター公爵と腕を組む。スコーが先導するように二人の前に立って歩き出し、リナロールがオーキッド嬢の斜め後ろの位置で付き従う。
部屋の扉の前まで進んだところで、シルヴェスター公爵は振り返って口を開いた。
「今宵は、非常に有意義な時間を共に過ごすことができました。楽しい夕食会に、感謝を。後はどうぞ、紳士達の集いということで。また、明日。劇場でお目にかかりたいと思います。では……」
シルヴェスター公爵が兄上や僕に礼をしたので、僕もペコリと頭を下げた。おやすみなさい。オーキッド嬢もね。
スコーが扉を開けた先。廊下には、幾つか色の違う制服を身に付けた護衛の姿がチラホラと見えた。えっと。紫色がマクローリン公爵家のシンボルカラーで、シルヴェスター公爵家のほうは紺色だったよな。それぞれの家で、しっかりと守りを固めているのがわかって安心だね。
「マリーさん。おいでー。クレマティスのところへ送ってくよー」
壁際のテーブルの上になんらかの目的で置かれていた大きな布を広げて、パンジーが声をかける。パインの腕の中で大人しくしていたサルのマリーゴールドは、するすると床に下りるとまっすぐにパンジーの元へと歩いていって、自分から布にくるまって姿を隠してしまう。パンジーがワゴンの上に謎の布のカタマリをのせているほうが、テイムされているとはいえ魔物を堂々と連れているよりいいのだろうね。
ワゴンの一番上に金属製のカバーをした後で、マリーゴールドが中にいる布を置いたパンジー。彼女は弟のセドロに「んじゃ、私達も戻ろっかー」と声をかけると、僕達のほうを見回しながら口を開く。
「じゃー、後は。紳士の皆さんでごゆっくりーってことで。あ、明日の晩餐も楽しみにしていて下さいねー」
と、なんともパンジーらしい挨拶をしてから、セドロと共にワゴンを押しながら夕食会の会場を去っていった。
……。紳士の集いっていうのも、大人になったみたいでなんだかドキドキするね。
★★★
人が次々と夕食会の会場から去っていき、なんだかちょっぴり寂しく感じてしまう僕。部屋に残ったのは、兄上と僕、グラスとパイン、バーチとウルガリスの六人。このメンバーで一体なにをするのかな? 大人と同じように、カードなんかのゲームをしながら政治の話ってことはないと思うんだけどさ。
僕が、部屋の中をぼんやりと見回していると。ウルガリスが【生活魔法】で洗浄を済ませた洗面器をグラスへと返し、その際に魔道具の『アイテムボックス』の使用許可を得ているところだった。
ウリスが所持しているのは、腕輪型の『アイテムボックス』のようで。彼が右手に持ったワインボトルを左手首の腕輪に近付けると、「パッ」とボトルが消えてしまう。
この夕食会のために会場へ持ち込まれたワインは、全てシルヴェスター公爵家が用意した物らしい。公爵が褒美として与えると明言をしたため、ウリスは空き瓶も含めて次々と収納していく。
一番最後に残ったのは、大きいテーブルにぽつんと佇む、【舌への暴虐】スキルでとんでもない変質を遂げちゃったワイン。ここで僕は好奇心から、近付いてきたウリスに対して問いかけてしまった。よせばいいのに。つい、口からポロっと質問の言葉がね。
「えっと。ねぇ、そのワインは今、どんな味なの?」
僕に話しかけられたことで、動きを止めたウルガリス。彼は一瞬だけ考えた素振りを見せた後、ボトルを手に取っておもむろに【舌への暴虐】ワインをラッパ飲みする。
「っ!? 〜〜〜〜!」
「ウリス!?」
なんということだ。僕が内心で「お行儀が悪いデスヨ」と呟ききる前に、ウルガリスは左手で口元を押さえてその場にうずくまってしまったじゃないか。
自身の部下の急変に、慌てて立ち上がり駆け付けるバーチ。彼が心配して「ウリス、大丈夫か?」と声をかけている目の前で、何事もなかったかのようにバーチの護衛は「スッ」と立ち上がった。
ウルガリスは皆の見ている前で二度・三度とボトルに口をつけて、ソースの材料を見抜こうとする料理人がごとく、ブツブツと独り言を口にしながら分析している。ワインの原料って、ブドウだけなんじゃないの? なんで魔物の名前らしき単語が、何種類も聞こえてくるのだろうか???
「……。南の大陸の砂漠地帯に、触れた物を溶かしてしまう酸のブレスを吐く生き物や魔物が、十種類以上います。その酸を加工してできる毒物が、これまた幾つもあるのですが。私は、それらの味がけっこう好きなのです」
南の砂漠の酸のブレスの話をされても、僕の人生に関わるかはわからない豆知識で。あと、ソレはどういう自己紹介なんだろうか……?
「えっと……。なんで平気なの? 毒なんだよね? 溶けちゃったりしないの?」
「私以外のフツーのヒトが毒として盛られた時には、おっしゃる通り溶けてしまいます。私の場合は、『気合い』? というか、スキルの効果と言いましょうか。経口――つまり口から摂取する物は食べられるモノと見なすがゆえに、私の体内は溶かされたりなんかはしないわけです」
「……なにがどうなったらそうなるのさ」
まるで「えっへん」とでも言うように胸をはるウリスに対して、兄上のひどく疲れたようなボヤきが響く。そんな兄上の表情は半眼で、呆れているのもあるんだろうけれど。よくよく観察すれば、どうも兄上はまたおネムになってきてるっぽいな。
ウルガリスは、飲むタイプの毒ではほぼ致命傷にはならないそうな。ダメージを受けたとしても舌先がピリッと痺れたり、眠気を覚えたり、喉が焼けてガラガラになったりとかの程度。矢や刃物などで毒を受けた場合は、想定の範囲内で普通に毒の影響が現れるそうだ。うわー。不思議、不思議。本当に、ナニがどうなったらそーなるんだろうねぇ……。
「十数種類の酸のブレスから作られた毒。以前に、カクテルにして楽しんでいたところ。どうやら毒ガスが発生してしまったようでして。妹や“隊”の仲間にガッツリと叱られて、以後は禁止されてしまったのです。このワインは、その時に辿り着いたお気に入りのブレンドよりも上を逝きます。刺激的過ぎて気に入りました。――気にかけて頂いたようで。嬉しいです、若。私一人だけが楽しんでいて、申し訳ございません。これからの話し合いに向けて、なにかお飲み物でも用意いたしましょうか?」
まてまてまてまて……まって! 話さないでこの流れが飲み物を用意されてウルガリスって……シャレにならないからカンベンしてほしいんだケド!? 混乱し過ぎて、自分でもナニ言ってるかワケわからん。
「飲み物は不要だ、ウリス。それほど時間のかかる内容ではないのだから。……あの素晴らしい料理の後には、正直キッツい」
主人であるバーチが、責任を取ってウルガリスを制止してくれた。最後に小さく漏れたなぁ、バーチの本音が。
部下のウリスに問題がなかったとわかったバーチは、その場で姿勢を正した。お。いよいよ、彼の本題に入るみたい。用事があるのは誰かな? 兄上? それとも僕?
部屋にいる面々がバーチの動向を見守っているなかで、彼は動き出す。傍近くへ寄って耳元で話しかけた相手は、兄上でも僕でもない。
バーチからの言葉を受け取ってキラキラと笑顔を輝かせたのは、兄上の専属従者のパインだった。
読んで下さって、ありがとうございます。
さて、次話は
『089 紳士だけの二次会② 〜オトナ向け。ディープな世界を知っておこう〜』
を、投稿予定。
お楽しみに。
えー……。『小説家になろう』様の、フューチャーフォン/ガラゲー向けサービス終了に伴い、次の更新をいつ・どの手段によって行うか、まだ不確定です。間が空くかもしれません。 また、誤字・脱字の修正もすぐには対応できなくなります。




