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怒られました。

いきなりお気に入りが50こえてて笑った。


みんな…… ありがとう!

「にゃ… にゃぅ…」


僕は今、恵太と一緒に家路へと向かっている。


恵太の腕に捕まりながらびくびくとして道を進む。


「け… け、けいたぁ… ちょ、歩くのはやいよぉ」


僕は恵太の腕に捕まりながら歩いているのだけど、恵太が歩くのが早すぎてついつい足がもたれてしまう。


恵太が大きくて、僕は小さいからこうして捕まって歩くと歩幅が違いすぎるのだ。


「……捕まって歩かなければいいじゃないか」


「にゃ…ぁ!?」


恵太が冷たく僕にそう言う。


な…… なんでそんな冷たいこと言うんだ。


ぼ、僕… だ、だって凄く怖いんだもん!!


なんか… なんでかわかんないけど、とにかく不安なんだもん!!


この良く分からない白猫の体も、道ですれ違う人たちも、外の世界も……


昨日まで、特に何も感じていなかったすべてが…… こんなにも…… 怖い。


これがユキさんの言ってた「恐慌」のバッドステータスなのだろうか?


だとしたら…… これは酷すぎる…… 精神が情緒不安定すぎる。


僕はいったい何に怯えてるんだ……?


何でこんなに…… こわいんだよぉ……


「離れて歩けよ」


「!!」


恵太が僕の腕を軽く振り払ってそう言う。


その表情は何か少し怒っている様に見えた。


「にゃ……ぁ」


僕はその恵太の行動に、ショックで思わず呆然としてしまう。


そして、それと同時にとてつもない不安と恐れが体中を支配してゆく。


街中の、人ごみの中で…… 僕は今… 一人。


この… 家族も知り合いのいない異世界で… 僕一人。


恵太に取り残されたら… 僕は一人だ。


「ひっ……」


そう、意識した瞬間。


僕の鼓動は呼吸を責めたてるように早くなり、足はがくがくと震え、尻尾とみみがシュンとしてしまう。


「けいたぁ……」


僕は泣き出しそうなのを…… いや… ちょっと泣いちゃったけど…


必死で堪えながら恵太の服の裾を掴む。


「にゃ… ぃや…」


恵太だけが怖くないんだ。


今の僕には…… 恵太しか… 絶対に僕を裏切ったりしない… 恵太しか信じられないんだよ。


この小さい体、白猫の体、女の子の体…


自分ですら… 信じられない。


だからお願いだよ、けいたぁ… 今離れろなんて言わないでよぉ…


「にゃぅ… おねがぃ… ごめ… あ、あやまるから…! おねがいします…! 僕を一人にしないでぇ…!」


手が震えて、奥歯がカチカチいう。


あ… やば… 涙が、こぼれちゃぅ…


僕は恵太を見上げながら、必死にそう訴えた。


「ぐ………」


恵太は、小さく息を飲んで僕を見下ろす。


「お前… なんで俺が怒ってんのか分かってんのか?」


「にゃぅ……?」


「はぁ…… 分かってねぇな?」


「にゃ…… ご、ごめんなさぃ」


恵太のあきれたような顔に、何だかとっても申し訳ない気持ちになる。


みみと尻尾が、もっとシュンとしてしまう。


「今回の事だ……」


「にゃ…?」


「今回、お前がこうなったのは、俺がいつも言ってる通り… お前が考えなしに動いてきたからだ

そのつけが一気に回ってきて、こうなったんだ…… 分かってるのか?」


「ぅ…… ぅん」


「いいや、お前は分かってない」


「わ… わかってる…… もん」


「分かってないね…… お前、これからどうするつもりだよ」


「にゃ…? どうするって?」


「これからの生活だよ…… お前、これからどうやって生活していくんだ? 冒険者を続けるのか?」


「ぇ………」


そ、そうだ…… 全く考えてなかった。


ぼ、僕… これから… ど、どうしよう。


「冒険者なんてまず無理だよな… その状態で、その貧弱な体で冒険者なんて無理だ」


「にゃ………ぅ」


「その、様子だと他の仕事も無理だろうな…… そんなに怯えてて出来る仕事なんてない」


「ぅ…」


た、確かに… 出来ない、気がする…


いや… 出来る気が、しない。


あぅ… や ば 泣きそぅ。


「出来るのなんて…… せいぜい泣き叫ぶ奴隷が大好きな変態に売り飛ばされることくらいだろうな」


「ひッ……!」


あ あぁ…


やばい、腰に… 足に… 力が入らない。


「にゃ…ぁぁ…」


僕は地面に座り込んでうつむく。


もう… だめだぁ…


僕は… もう… だめなんだ。


だめだ… 震えが… 止まらないよぉ。


「反省してるか? 全部、お前が招いた自業自得なんだぞ」


座り込んでしまった僕に、恵太がしゃがみこんで声をかける。


「ぐすっ…… ひっく…… にゃ…ぁ ごめ…な、さぃ」


僕はそんな恵太を見上げて、泣きながら、恵太の手に触れてすがった。


「おね…がぃ… です…! ぅ… にゃぁ… ぼく を 助けて…くだ…さぃ」


涙で… 恵太の姿が霞む。


ぼくは… どうすれば…


「もし… あれが使えば死んでしまうようなタイプのアイテムだったらどうするつもりだったんだ」


恵太が真剣な顔で僕を睨む。


「俺を置いて死ぬ気かよ…… 親友」


「けい… た…」


そして、その後に見せた、恵太の寂しげな表情に息を飲んで……


僕はズキリとして…… ドキリとした。


「ご、ごめんなさい! ごめんなさい! けいた… ごめんなさぃ」


僕は泣きながら必死に恵太に謝罪したのだった。









「はぁ…… 許してやるよ…」


恵太は、いつもの様にため息を吐いて苦笑すると、僕の頭をぽんと叩く。


「にゃぅ…」


僕は地面にへたり込んだまま、両手をついたままに、恵太の顔を見上げる。


「お前は俺が面倒みてやる…… ユキさんの話だと戻す方法はないらしいけど、一応探してやるよ」


恵太はそう言って、僕に微笑みかけてくれたのだった。


「にゃぁぁ…… けい、たぁ…!」


僕はその、やっと見せてくれた恵太の笑顔に…… 思わず顔がほころんでしまう。


みみがピピっとなって、しっぽがふるふるしてしまう。


にゃー!ってなってしまう。


「けいたぁ…」


僕はぴょんと立ち上がると、恵太の腕に飛びつく様にしてまた捕まる。


「おし… じゃあ、今度こそ帰ろう」


「にゃぁ! ぅ… じゃなくて…… う、うん!」


僕達は再び、街中を歩き出す。























少しだけ…


本当にすこしだけ…


周りが怖くなくなった。


「にゃぅ」


恵太が…… いるから。



これで下地は整った… 次回からいくぜ! 甘甘の波状攻撃をなぁ!!

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